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異国文化を紹介する活動

日本とは全く異なるアメリカの大学事情を専門家がわかりやすく解説!
現地校生にもアメリカ留学希望者にも役立つ情報がたくさん。

異国文化を紹介する活動

アメリカで受け入れられ始めたアジア系文化

「アメリカズ・ゴット・タレント」という毎年の公開オーディション番組では、スターのたまごたちが歌や踊りなど得意技で競い合います。セミファイナルやファイナルまで進むと、アメリカで人気のアーティストが出演して盛り上げるのですが、今年は驚きました。今までにない、非英語圏のアジア系アーティストだったからです。BTSというK-POPアイドルの7人グループの登場に、新鮮さを覚えました。アメリカでもビルボード1位だそうで、欧米人のみが上位を独占する時代ではなくなってきているのですね。人種や文化を超え、受け入れられているのはうれしいことです。最近ではアメリカでもお互いの文化を尊重し合う意識が高まり、他国への興味が増してきているようです。

大学でも異文化を紹介する活動があります。留学生には、自国の文化を紹介する場としてクラブを立ち上げてもらっています。キャンパス内のみならず、コミュニティーに広く異国文化を紹介できるよう、学校側もサポートします。エドモンズ・カレッジでは、インドネシア、韓国、中国、ベトナムなどのクラブがあり、各国の文化の紹介をしています。今回はそのひとつ、日本文化クラブをご紹介します。

日本風の成人式をアメリカで実現

エドモンズ・カレッジには多くのクラブがあり、もし自分の興味がある分野のクラブがない場合でも、気軽にクラブを立ち上げることができます。5人の学生と1人のアドバイザーとなる大学職員が確保できれば、クラブ設立の申請が可能で、大学の支援の下、クラブ活動開始となります。この日本文化クラブも、そのようにして2019年から活動をスタートしました。

最初の大きなイベントは、今年1月に行われたJIA Foundation主催による日米友好成人式への参加。成人する日本人はもちろん、日本に興味がある外国籍の人でも出席できます。エドモンズ・カレッジからは成人年齢の若者50人が集結しました。当日、学生たちはまず、エドモンズのキャンパスへ。希望者はボランティアの方による振袖の貸し出しと着付けを受けました。会場への出発前には、日本文化クラブのメンバーがラップにご飯を包み、個人個人で握ってもらうおむすびランチを用意。日本の典型的なランチの説明もありました。会場までの送迎には、貸し切りの大型バスを手配しました。日本の成人式に参加できなかった日本人学生はもちろん、日本の成人式というものに興味を示してくれている学生も大いに楽しみました。

お正月文化からソーラン節まで日本の文化に大反響!

次に紹介したのは日本のお正月です。お正月と言えば、やはり餅つき。在シアトル日本国総領事館のサポートで、石臼と杵、法被を貸してもらい、今年1月に餅つき大会を開催しました。羽子板やけん玉、こまなども借りることができ、典型的な日本のお正月遊びを紹介。学生が日本から持参していた書道セットで、日本語での名前書きなども行いました。内容盛りだくさんのお正月イベントは、大きな反響を呼びました。

そのほか、エドモンズ市内にある劇場を貸し切って毎年行っている、カレッジ恒例のインターナショナル・ナイトでも、日本の文化を紹介しています。今年2月は2つのグループに分かれ、それぞれ工夫を凝らしました。1つのグループでは、お正月イベントで好評だった書道を舞台上で披露。観客からリクエストをもらい、その人の名前を書くという、観客との一体化を図ったパフォーマンスで書道を紹介し、またまた大反響でした。もう1つのグループでは、ソーラン節を企画。毎週練習を積み重ねた成果が、迫力のある舞台を通して観客に届き、こちらも大成功でした。

普段も、日本文化の紹介日を隔週設けており、興味のある学生たちと一緒にけん玉やかるた、折り紙などをしています。みんなで「だるまさんがころんだ」などのゲームをすることも。今は新型コロナの影響で対面でのイベントはできませんが、また状況が落ち着いて元に戻ることがあれば、どんどん日本の文化を紹介していく予定です。多くの人にとって、少しでも視野を広げるきっかけになればうれしいですね。

2011年よりアソシエイト・ディレクターとしてエドモンズ・カレッジにて勤務。1999年に夫、1歳半の息子とアメリカ移住。子育てに専念した後、息子の中学入学を機に以前から興味のあった教育分野へ。現在は入学から進路、イミグレーションのアドバイザーを務める傍ら、日本文化クラブのアドバイザーとして日本文化を学内や地域に広めようと学生たちと共に活動中。