Home 学校・教養 コロナ禍で子どもと帰国、ど...

コロナ禍で子どもと帰国、どうだった?日本人ママの本音座談会

新型コロナウイルスの蔓延で、多くの人の日常が大きく変わりました。そんな中で子連れでの日本帰国を決断した洋子さん、なぎささんと5月にオンライン座談会を開催。「異国で家庭を築くということ」について改めて考える機会となりました。

洋子■ 2013年にアメリカ人との結婚を機にシアトルへ。長女は小学3年生、長男は小学1年生。手先が器用で釣りが趣味。自分でできることは何でもやりたくなるDIY派! 2020年末に帰国し、実家の近くで久しぶりの日本長期滞在をエンジョイ中。

なぎさ■ 2003年に夫の実家があるサウスダコタ州にてアメリカ生活をスタートし、その後シアトルへ。2020年夏、子どもたちを連れて日本へ帰国。小学1年生の男女の双子と、ミドルスクールへの進級を控える娘の3人の母であり、新しいことにどんどん挑戦するチャレンジャー!

日本帰国を決めた理由

洋子:夫が航空会社勤務なのでチケットも取りやすく、以前から定期的に帰省していました。パンデミックと関係なく、昨年も夏休みに向けて子どもが日本の学校に体験入学できるよう準備していたんです。事前に学校に掛け合っておけば、1、2カ月くらいまでの期間なら体験入学を受け入れてくれますよ(地域や学校によって受け入れ状況は異なる)。

なぎさ:私も、もともと今年4月に子どもたちと日本に帰省しようと計画していました。でもコロナ禍でそれが早まった感じ。アメリカは人が声を上げることで発展していく国だと理解していますし、日本も見習うべき部分はあるでしょう。けれど往々にして、問題に対する過剰な行動や事件などが多く、根本的な解決がないがしろにされてはいないかと、直接的な帰国理由ではないにしても思うところはありました。

編集部確かに、BLM(ブラック・ライブズ・マター)運動でも、そのような傾向が見られましたよね。洋子さんもなぎささんも昨年帰国していますが、今年に入ってシアトルでは日本人含めアジア系住民のヘイトクライム被害も目立つようになり、ますます治安悪化を懸念する声が増えました。

洋子あと、現地校がオンラインでの遠隔学習に切り替わったことも大きい。やっぱり子どもを家で勉強に集中させるのは難しいし、友だちが近所に住んでいたら誘惑も多いし。自分自身がアメリカで教育を受けているわけではないから、質問されても的確に教えてあげられないのはもどかしかったですね。日本では割とすぐに学校が再開して、友だちと遊んで給食も食べていると聞いて、うちの子もそうさせてあげたいと思いました。

シアトルにお父さんを残して

なぎさ:うちは下の双子が小学1年生で、今年4月から入学できたのもあって、すごく楽しんでいますよ。夫は仕事があるため、シアトル、日本と離ればなれの生活。最近は子どもたちもダディーが恋しいみたい。でも、あくまで主観ではありますが、日本は子どもだけで遊ばせていても安心感が違う。それはすごく良かった。

洋子:そうそう! ちょっとコンビニにお菓子買いに行ったり、夜遅くても手をつながずにお散歩したり。私の場合、親兄弟が近くに住んでいてみんなで面倒を見てくれるから、アメリカに来て自分自身の人脈作りから始めなきゃいけなかったことを考えると、そういう面では楽だなあって感じますね。シアトルにいる夫とも、子どもたちを交えて頻繁にビデオ通話をするようにしています。

編集部:洋子さんも、子どもだけ連れて実家の近くで暮らしているんですよね。日本の家族が子育てに協力してくれるのは心強いですね。

なぎさ:もちろん昔と比べれば変わったとは思うけれど、元来日本の子育ての感覚って、「家族」の範囲が大きい気がする。親戚も含め、地域全体で育てていこうねというイメージ。アメリカは、個々の家族の方針が尊重される。良いことなのですが、他人との信頼関係が築きにくく、冷たく感じてしまいます。もちろん一長一短ではありますが。

アメリカ生活もやっぱり悪くない

洋子:ワクチンが遅れているのもそうだけど、日本はコロナの検査がめちゃくちゃ高い! この前、ひとりでシアトルに一時的に戻る時に受けたら、証明書を出してもらうのを含めて3万円くらいかかりました(地域・病院によって異なる)。しかも遠方の指定病院に行かないといけなかったから、とても不便で。シアトルだとドライブスルー式などもあるし、無料ですぐに近所で受けられるのは、すごいことだと思います。

なぎさ:学生の頃から日本が窮屈で、海外に出たくて仕方がありませんでした。でも留学経験を含め、アメリカで長く生活したからこそ、離れてみてわかる日本の素晴らしさに気付けたと思います。同じように、今度は日本に長期滞在してみて、アメリカ人の奔放さや個性を尊重する姿勢に感謝の念が湧きました。子どもたちを多様な文化の中で育てられるのは、とても恵まれていることです。

いつまで日本にいる?

なぎさ:上の子はミドルスクールが9月から始まるので、本人の希望もあってそのタイミングでアメリカへ先に戻る予定です。アメリカの生活や友だちが恋しいのもそうですが、日本の学校の規則がアメリカに比べて厳しいのも理由のひとつのようです。下の子ふたりは、1年間は日本の学校に通わせてあげたいので、来年初旬までは一緒に日本に残ろうと今は考えています。でも、もしお父さん、お姉ちゃんに会いたい、帰りたいって言い出したら、いつでもアメリカに戻る気持ちではいます

洋子:まだきちんとは決めていませんが、グリーンカードを保持するために、半年に1度はアメリカに戻ることを考えると、ずっと日本に住むつもりはないですね。来年になってからコロナの状況も踏まえて計画していくつもりです