SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!
「サステナブルファッション」とは言うけれど、本当のところファッションとサステナビリティは共存できるのだろうか。幼い頃からのアトピーに加え極端なアレルギー体質の私にとって、服を選ぶ際、どんな素材でできているかは重要な要素のひとつだ。3年前のクリスマス、日本の友人がベースレンジのTシャツと靴下をプレゼントしてくれた。近頃アメリカのセレクトショップでも人気が高いこのブランド。環境にも、身に着ける人の身体にも優しいデザインにこだわり、GOTS認証のオーガニックコットンやシルク、竹レーヨンなどを使用し、「2枚目の肌のような着心地」を目指しているそうだ。実際に袖を通してみると、特に竹レーヨンのしなやかな着心地がすっかり気に入ってしまい、以来少しずつ買い足して大切に着ている。「気持ちが良くて、サステナブルなんてイイネ!」と思っていた。
ところが先日、衝撃的な事実を目にした。竹レーヨンが実は環境に優しくない(かもしれない)らしいのだ。えぇ、そうなの!? きっかけは、以前から気になっていたユングメイブンのヘンプTシャツを購入したこと。ユングメイブンによればヘンプは「非常に優れたサステナブル素材」。そこで、実際どんな繊維なのかしらと調べてみたついでに、さまざまな素材に関する情報に当たってみたのだ。ヘンプとは、そう、ご存知大麻のこと。ちょっと驚いたが実は麻の一種で、そもそも古来、日本で麻と言えばリネン(亜麻)よりもヘンプだったそうだ。とても強い植物で、農薬や化学肥料が必要ないうえ、びっしり張りめぐらされる根のおかげで土壌が改良されるんだそうな。近年改めてその良さを見直す動きが出てきているんですって。一方で竹レーヨン。当初は、これまた丈夫な竹を使用するため自然に優しいと言われていたのだが、実はその製造過程で使用する化学薬品が環境を汚染するらしい。大ショックだ。しかも、オーガニックコットンでさえ、コットン栽培にはたくさんの水を使うので、大量に生産されれば環境に負荷をかけてしまうと言う。じゃあ再生繊維ならどうかとリサイクルポリエステルを見てみれば、化学繊維の服は洗濯をするだけでマイクロプラスチックが海洋に流れ出すという研究が……。
一体どうすれば良いんだ。すっかり行き詰まってしまっていたところ、「ニューヨーク・グリーンファッション」(www.nygreenfashion.com)というウェブ・メディアを見つけた。いわく、できる限りオーガニックの天然繊維の製品を選んだうえで、さまざまな種類を偏ることなくバランス良く選ぶことが大切だそう。そして必要な分を必要なだけ。そう考えると、「衣」も健康を守る「食」と大切なことは同じなんだなぁ。とりあえずベースレンジの服はこれからも愛用していきたい。
■Baserange
https://baserange.com
フランスとデンマークを拠点に、2012年に設立されたアンダーウェア/リラックスウェア・ブランド。環境への影響を最小限に抑え、「着る人と作る人双方に利益のあるものづくり」を理念に掲げる。
■Jungmaven
https://jungmaven.com
地球環境に負荷をかけるファッション産業への代替案として90年代からヘンプに着目し、その有用性を広めるべくスタート。ファッションを、世界を変えるための第一歩と捉え、高品質かつスタイリッシュで機能的なヘンプTシャツを提案する。
■『グリーンファッション入門—サステイナブル社会を形成していくために』
田中めぐみ著 繊研新聞社
グリーンファッションとは素材の生産から販売まで全ての過程において環境や社会に配慮したサステナブルなファッションのこと。それでいてファッション性も諦めない。そんなアメリカのグリーンファッションへの取り組みについて詳しくわかる入門書。著者は、「ニューヨーク・グリーンファッション」の創設者で、ニューヨークを拠点に活動するサステナブル・ビジネスのコンサルタントの田中めぐみさん。