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帰化申請時の公民テスト

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

*同記事は、ワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得し、カンザス州及びワシントン州において弁護士資格を持ち、K&I Lawyersを琴河利恵弁護士と共に創業した五十畑諭弁護士が、在シアトル日本人の読者に向けて解説しているものです。詳細については、K&I Lawyersなど移民法の専門家へお問い合わせください。

帰化申請時の公民テスト

帰化申請には、審査の最後に移民局でインタビュー(面接)が必ず行われます。同時に課される公民テスト(CivicTest)では、申請者のアメリカの歴史や政治に関する基礎知識が試されます。テスト問題は、移民局が出版するスタディ・ガイドに記載されている100問の中からランダムに10問が選出され、そのうち6問に回答できると合格となります。なお、申請者が65歳以上でグリーンカード(永住権)を取得してから20年以上経過している場合は、通常の100問ではなく、さらに絞られた20問の中から10問が選出されます。

テスト内容が公表されているので、申請者を落とすことが目的でないことがわかります。ただし、テストの直前に選挙があった場合、結果によって回答が変わるケースがあります。最新の情報に基づく回答が求められるため、直近の変更には留意しなければなりません。

たとえば、2018年11月の選挙結果によって回答が変わったのは、「TheSpeakeroftheHouseofRepresentative」は誰かという問題で、今なら「PaulRyan」ではなく、「NancyPelosi」と回答することになります。また、上院議員(Senator)や下院議員(HouseofRepresentative)、州知事(Governor)も、選挙の時期によっては回答が変わる可能性があります。以下のサイトで最新情報を確認することができます。

ちなみに、2019年2月1日現在、ワシントン州の上院議員は「PattyMurray」と「MariaCantwell」で、州知事は「JayInslee」です。下院議員は10人いますが、上記のサイトで郵便番号(ZipCode)を入れると、居住地の議員が表示されます。スタディ・ガイドは移民局のウェブサイト(https://www.uscis.gov/citizenship/learners/study-test/study-materials-civicstest)からダウンロードできます。

また、同サイトには、スタディ・ガイドのほかに、フラッシュ・カードや練習問題などの教材も用意されていますので、テスト前に活用すると良いでしょう。ただし、上述の通り、選挙結果などの変更は、すぐに教材には反映されませんので、上記のサイトから最新情報を確認することをおすすめします。

いつ頃からテストの勉強をし始めたら良いかという質問を受けることがありますが、個人差があるため一概には言えません。試験の難易度は、中学校の公民程度と言えますので、大半の方は1、2週間あれば十分ではないでしょうか。なお、シアトル地域の帰化申請期間は、現在15~19カ月と長くなる傾向にあります。テストはインタビュー時に行われるため、申請提出後すぐに勉強し始める必要はありません。

公民テストは口頭で行われます。通常、審査官は言葉を変えず、スタディ・ガイドに記載されている通りに出題しますので、英語が得意でなくても、勉強すれば受かる確率は非常に高くなっています。万一、テストに落ちても、原則90日以内に再試験がスケジュールされます。再試験でも不合格だった場合は、新たに申請料金を支払えば再申請は可能です。しかし、その場合は全審査が初めからのスタートになります。

インタビューでは、英語力テストもあります。無事合格し、帰化申請の条件を満たしていると判断された場合、申請は認可されます。ただし、インタビューが終わったからと言って、その日からアメリカ人になるわけではありません。宣誓式に出席し、アメリカへの忠誠を誓ったうえで帰化することになります。

宣誓式では、帰化証明書を受け取り、グリーンカードを移民局に返却します。その後の出入国にはアメリカのパスポートが必要です。パスポートは、帰化証明書がないと申請できませんので、インタビューに合格しても、宣誓式の前に申請することはできません。

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118