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DV-2020プログラム

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

*同記事は、ワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得し、カンザス州及びワシントン州において弁護士資格を持ち、K&I Lawyersを琴河利恵弁護士と共に創業した五十畑諭弁護士が、在シアトル日本人の読者に向けて解説しているものです。詳細については、K&I Lawyersなど移民法の専門家へお問い合わせください。

DV-2020プログラム

米国国務省は、移民多様化ビザ抽選プログラム(Diversity Immigrant Visa Program=DVプログラム)を毎年施行しています。DVプログラムは、歴史的に米国移民率が低い国の人々のため、そして米国移民の出身国の多様性を維持するために、抽選によって移民ビザを発給するというプログラムで、通称「宝くじ永住権」、あるいは「抽選永住権」と呼ばれています。2020年会計年度(2019年10月1日から2020年9月30日までの会計年度)のDVプログラムの募集要綱が、9月25日に発表され、10月3日東部時間正午から受け付けが開始されました。

2020年会計年度でも、前年同様5万人のDV移民枠が割り当てられ、コンピューターで無作為に当選者を選出します。ビザは6つの地域ごとに割り当て数が決められ、各地域内の1つの国が年間の移民抽選ビザ発給数の7%を超えるビザの受給はできません。過去5年間に5万人以上の移民を米国に送り出した国の出身者は、DV-2020プログラムの対象にはなりません。

日本は、毎年応募対象資格国で、2020会計年度でも、引き続き応募対象となっています。また、応募者の出生国が対象外であっても、次のような場合、配偶者または親の出生国の資格で応募することができます。

  • 配偶者が対象国の生まれで、応募者本人と配偶者の両氏名が応募時に入力されており、両者がDVビザを取得し、一緒に米国に入国することが条件。なお、同性婚の配偶者でも、この規定の対象となります。
  • 両親が応募者の出生国で生まれておらず、かつ応募者の出生時に、両親が応募者の出生国の永住者でなかった場合(その国の一時滞在であった場合)、どちらか一方の親の出生国が対象国であれば、その資格で応募することができます。

なお、ここで言う「出生国」とは国籍のことではなく、生まれた国のことです。

応募者が対象国出身であるという条件以外に、DVプログラムでは、応募者が高校を卒業(または同等の資格を有する)していること、もしくは2年間の経験・訓練が必要な仕事に、過去5年間のうち2年間従事していること、という経歴も必要です。

今回のDVプログラムの応募期間は、2018年11月6日東部時間正午までです。国務省の公式サイト のフォームに必要事項を記入し、デジタル写真をアップロードして送信します。フォームを送信すると、確認スクリーン上に、名前と確認番号が表示されます。応募期間後半、特に最後の1週間は、応募が集中し、アクセス数増加が原因でサイトがダウンしたり、つながりにくくなるなどの問題が発生する可能性があるため、期間ぎりぎりでの応募はなるべく避けましょう。また、応募は1人につき1通に限られており、重複した応募は無効となります。募集締め切り後の受け付けや、書面での受け付けは、一切ありません。

DVプログラムの応募期間には、詐欺メールや手紙が急増しますのでご注意ください。DVプログラムに関する詳細は、既述の国務省の公式サイトに掲載されています。応募に料金はかかりません。また、2019年5月7日以降、同サイトにて応募時に与えられた確認番号で、当選かどうかの確認ができます。これ以外の方法では当選の連絡はされませんので、応募時の確認番号を必ず控え、来年5月7日以降に自分でチェックする必要があります。

また、ここで当選したからといって最終的に永住できるわけではないことに注意しましょう。当選は、あくまで応募する資格を得たというのみで、上記の学歴または職歴が必要なのはもちろん、実際に申請するためには、当選時に知らされる番号に基づいて順番を待つこと、また、申請は同じ会計年度内の2020年9月30日までに審査を終了することが必要です。実際の当選数は、DVプログラムで発給できるグリーンカードの数よりも多い場合があり、それゆえ自分の順番が回ってこない可能性もあります。その場合は、応募したとしても、残念ながらグリーンカードを取得できないことになります。

移民多様化ビザ抽選プログラムは、移民・国籍法203(c)条を基に行われます。トランプ大統領は、このプログラムの廃止を訴えていますが、実際にこのプログラムを廃止する場合は、議会による法律変更が必要になります。現時点で、議会による法律変更はありません。

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118