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永住権申請における優先順位「プライオリティ・デート」最新情報

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

*同記事は、ワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得し、カンザス州及びワシントン州において弁護士資格を持ち、K&I Lawyersを琴河利恵弁護士と共に創業した五十畑諭弁護士が、在シアトル日本人の読者に向けて解説しているものです。詳細については、K&I Lawyersなど移民法の専門家へお問い合わせください。

永住権申請における優先順位「プライオリティ・デート」最新情報

「プライオリティ・デート」とは、グリーンカード申請における優先順位のことです。例外はありますが、基本的にグリーンカードは年間無制限に発行されるものではありません。家族関係、移民局や労働局が申請を受理した日、移民を希望している家族の出生地など、さまざまな要因によって制限があり、申請するカテゴリーによっては、グリーンカードを申請できるようになるまで、長期間待たなければならないことがあります。優先順位とは、ウェイティング・リスト上のグリーンカード申請の順番です。

優先順位、つまり自分がウェイティング・リストのどの辺りにいるかを調べるためには、米国務省が毎月出版している『ビザ・ブリテン』を確認する必要があります。ビザ・ブリテンは、グリーンカードの優先順位を伝える公報で、自分のプライオリティ・デートが、 ビザ・ブリテンに記載されている日付より早くなると、グリーンカードを申請することができるようになります。

たとえば、最新の2018年9月のビザ・ブリテンを見ると、雇用関係に基づく申請の第3優先カテゴリーの一般枠には、2016年11月1日と記載されています。これは、2018年9月には、プライオリティ・デートが2016年11月1日より前の方がグリーンカードを申請できることを意味しています。また、カテゴリによっては日付ではなく、アルファベットが記載してあることもあります。「C」 は Current、つまりウェイティング・リストがないことを意味します。

家族関係に基づくグリーンカード申請の場合、I-130家族ベース移民ビザ申請を受理した日がプライオリティ・デートになります。雇用に基づくグリーンカード申請の場合は労働局が労働認定証(レイバー・サティフィケーション)申請を受理した日が、 労働認定証が必要ない申請の場合は、移民局が I-140雇用ベース移民ビザ申請を受理した日が、プライオリティ・デートになります。

年間割当制度の対象となる家族関係に基づく申請カテゴリー

  • 第1優先カテゴリー(F1): 米国市民の21歳以上で未婚の子ども
  • 第2優カテゴリー(F2A、F2B):グリーンカード保持者の配偶者、および未婚の子ども
  • 第3優先カテゴリー(F3):米国市民の子どもで既婚者
  • 第4優先カテゴリー(F4):米国市民の兄弟・姉妹

なお、米国市民の配偶者(一定の条件を満たしている死別した配偶者も含む)、21歳未満で未婚の子ども、両親は、年間の割当制度の対象となりません。

年間割り当て制度の対象となる雇用関係に基づく申請カテゴリー

  • 第1優先カテゴリー(EB1):国際企業重役・管理職、科学、芸術、教育、ビジネス、またはスポーツの分野で卓越した能力の保持者、著名な大学教授または研究者
  • 第2優カテゴリー(EB2): 卓越のレベルまでには達していないものの、専門分野で優れた能力の保持者、まはた修士号以上の学位を持つ専門職者
  • 第3優先カテゴリー(EB3): 専門職者、技能労働者、無技能労働者
  • 第4優先カテゴリー(EB4): 宗教関係労働者を含む特別移民分野の該当者
  • 第5優先カテゴリー(EB5): 個人投資家

2018年9月のビザ・ブリテンによると、雇用関係に基づく移民ビザ申請においては、後退(=待ち時間が発生しているケース)が目立ちます。たとえば、第1優先カテゴリー(EB1)の一般枠のプライオリティ・デートは2016年6月1日、第2優先カテゴリー(EB2)の一般枠は2013年1月1日、第3優先カテゴリー(EB3)の一般枠は2016年11月1日に後退しています。

移民局の会計年度は毎年10月1日から翌年の9月30日までなので、9月のビザ・ブリテンは、2018年度(FY18)最後のビザ・ブリテンとなります。来年度も後退の傾向が続くかどうかが注目されるところですが、国務省は、EB-1の一般枠について、向こう数カ月間は後退が続くと予想しています。一方で、EB-2、EB-3の一般枠は、10月には改善すると予想しています。

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118