米国の4 年制大学・大学院を卒業してこちらで就職先を見つける方には、H-1B ビザが一般的なビザではないでしょうか。そのH-1B ビザの来会計年度（FY2016）分の申請受付が、4月1 日より開始されます。米国政府の会計年度は10 月1 日からの1 年間ですが、H-1B ビザの申請はその6 カ月前から可能なため、受付は4 月1 日からとなります。
H-1B ビザは年間発給数に制限があるビザであり、一会計年度に割り当てられる一般枠の数は65,000 件です。そのうち6,800 件は貿易協定によりチリとシンガポールの国籍保有者に優先的に割り当てられるため、実質は58,200 件です。また、米国大学の修士号取得者枠として、別途20,000 件が割り当てられています。移民局は、4 月1 日からの5 営業日まで（今年の場合は、4 月1 日が水曜日のため、5 営業日目は、4 月7 日火曜日となります）は、申請受付数が枠上限を超えても受付を続けます。この5 日間で枠上限を超える申請があった場合、４月８日以降の申請の受付はなされません。そして、この期間に受け付けた申請の中から抽選によって、実際に受け付ける申請を選びます。昨年の5営業日内での総受付数は、一般枠と修士号取得者枠を合わせて172,500 件でした。単純計算では、約2.5 倍の競争率となりました。
2.5 倍の競争率ということは、H-1B に応募しても取得できない人の方が多いことになります。景気の回復とともに、H-1Bの応募数は、年々増加し続けています。今年の申請も、昨年並みもしくは昨年以上の申し込みがあるものと予想されます。
アメリカの大学・大学院を卒業してOPT（Optional Practical Training）を取得した人がH-1Bを申請するというケースは一般的です。H-1B 申請に選ばれなかった場合、その他のビザの選択肢は限定されてしまいますが、STEM（science, technology, engineering,mathematics）の分野で学位を取得した人は、通常12カ月が有効期間のOPTを、追加で17カ月延長（合計29 カ月）することが可能です（STEM 延長）。ただしその条件には、雇用主が「E-Verify」というインターネットベースの就労許可チェックシステムに登録していること、および雇用主の、OPT保持者が離職した場合の、48 時間以内の当局への通知義務が挙げられます。またSTEM延長は、現在のOPTが有効な間に申請する必要があり、6カ月ごとに学校のDSO (Designated School Official)に報告する必要があります。
STEM 以外には、キャップ・ギャップといって、H-1B 申請が受け付けられた場合、暫定的にH-1B 申請の審査中に限り、F-1 のステータスとOPT の就労許可が延長されます。H-1B申請が認可された場合は、F-1 ステータスとOPTの就労許可が9月30日までさらに延長されます。しかし、これはH-1B申請が受理されなかったり、受理後却下されたり取り下げられたりした場合の救済方法ではありません。
[知っておきたい移民法]
