ICE Raidという言葉を耳にしたことはありますか? ICE (Immigration and Customs Enforcement) とは9・11以降に設置された米国国土安全保障省の傘下にある捜査・取締局のことで、主な役割は、国境管理・税関管理執行です。Raidとは不法労働者や不法就労者を一斉検挙することを目的にICEが行う踏込み捜査のことで、不法滞在者を取り締まる上でとても強力な国境管理執行戦術です。
近年、全米各地の工場や農場などでICEの踏込み捜査によって、逮捕されたり、家族を残したまま国外退去されたというようなことが頻繁にメディアで取り上げられるようになったので、ご存知の方も多いと思います。ICEは、基本的には逮捕する人物を事前に見極め、裁判所やその人の職場を捜索するという形をとっています。しかし、ICEによる踏込み捜査は、職場や裁判所に限ったことではありません。最近では、ICEのエージェントが突然自宅を訪れたり、街角で声を掛けてきたり、店などに現れることもあります。
つい最近では、レントン市内のWalmartで踏込み捜査が行われました。詳細は公表されていませんが、ICEエージェントが無作為に、買い物客に対してグリーンカード保持者かあるいは米国市民かなど、移民ステータスを聞いて回り、その結果拘留された人がいたそうです。
もし町でICEのエージェントに話かけられたら、どのように対処したらいいでしょうか。
嘘をついたり、偽造証明書を提示したり、逃げたりせず、落ち着いて礼儀正しく行動しましょう。その時に、ICEはあなたが提供した情報を、あなたを取り締まる理由に用いることができるということを覚えておきましょう。
質問をされた時は、まず最初に、「その場を立ち去ることは可能か(例: Am I free to go?)」を確認します。可能な場合には、「質問には答えたくありません(例: I do not want to answer your questions.)」と答え、その場から立ち去ります。立ち去れないと言われた場合は、沈黙の権利や弁護士と話す権利を主張することができます。(例: I want to use my right not to answer questions. I want to speak to a lawyer.)
では、ICEエージェントが自宅を訪ねて来た時は、どのように対処したらよいでしょう。
この時も、嘘をついたり、偽造証明書を提示したり、逃げたりせず、落ち着いて礼儀正しく行動しましょう。そして、裁判所が発行した家宅捜査令状(Search Warrant)があるかどうか確認しましょう。令状がない場合、ICEはあなたの任意なしに家宅捜査はできません。それでも、エージェントが踏み込んできた場合、「家宅捜査に同意しない(例: I do not consent to your search.)」と言い、その場から速やかに去るように伝えます。
もしも逮捕あるいは拘留された場合、次のことをしっかり認識しておきましょう。
あなたには、沈黙する権利、そして弁護士と話す権利があります。絶対に嘘をついたり、偽造証明書を提示しないように。裁判所の令状がない限り、パスポートやビザなどを渡す必要はありません。また、弁護士と話す機会が設けられるまでは、書類などに署名しないようにしましょう。
移民の権利を守る様々な団体では、レッドカードというものを配布しています。レッドカードは、ICEの踏込み捜査による憲法違反から人々を守るために作られたものです。そのうちの一つImmigrant Legal Resource Centerが配布しているものは、こちらで確認できます。
www.ilrc.org/files/documents/kyr__no_phone.pdf
[知っておきたい移民法]