知っておきたい身近な移民法
米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) の五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。
本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。
2024 年移民法最新情報まとめ
▪️プレミアム·プロセス申請料の値上げ
移民局は、インフレ調整のため、プレミアム・プロセス(優先審査)申請料の値上げを発表しました。申請の種類によって異なるものの、特定のプレミアム・プロセス申請料が$1,500から$1,685に、$1,750から$1,965に、$2,500から$2,805に変更となります。
新しい申請料は2024年2月26日(月)から導入され、同日またはそれ以降の消印の申請には、新しい申請料が必要です。申請料が間違っていると、プレミアム申請(Form I-907)は受理されません。なお、UPSやFedExなどの配達サービスを利用する場合、クーリエ領収書に表示された日付が消印とみなされます。
▪️2024会計年度のH-1Bビザ発給数、上限到達
移民局が1年に発給できる一般枠の H-1B ビザの数は6万5,000件、米国修士号枠は2万件です。2023年12月13日、移民局は、2024会計年度のH-1Bビザ発給数を満たすのに十分な数の申請を受理したことを発表しました。
上限の対象とならない申請(Cap Exempt)や、すでに上限にカウントされ、現在H-1Bビザを所持している労働者による延長申請、雇用条件変更申請、雇用主変更申請、追加同時申請などは、引き続き受理されます。
▪️2025会計年度のH-1Bビザ登録
2025会計年度(2024年10月1日~2025年9月30日)の登録期間は、2024年3月6日(水)東部時間正午から同月22日(金)東部時間正午までです。この期間中に、雇用主とその代理人(該当する場合)は、申請受益者(外国人労働者)を登録し、登録料を支払います。なお、1月30日に、移民局は4月1日(月)からの料金変更を発表しましたが、登録期間後となるため、登録料は前年と同じ10ドルのままです。
また、不正を防ぎ、公正に抽選が行われるよう、2025会計年度から受益者(H-1Bビザの発行を受ける当人)が中心の選出プロセスに変わることが発表されました。そのため、2025年会計年度から、登録の際に受益者のパスポート情報、またはそれに代わる渡航書類情報が必要になります。受益者がアメリカ国外にいる場合、そのパスポートや渡航書類は、H-1Bビザ取得後、受益者がアメリカに入国するために使う予定のものでなければならず、受益者は複数のパスポートや渡航書類を使うことはできません。
H-1Bビザ申請(Form I-129)とプレミアム申請(Form I-907)のオンライン受付は、上限の対象にならない場合は2月28日(水)から、2025会計年度のH-1Bビザに当選した申請は4月1日から開始されます。
▪️新規Fビザ、Mビザ、一部のJビザ申請者による郵送申請終了
パンデミック以降、在日米国大使館・領事館では、郵送によるビザ申請の適用範囲を広げ、一定の条件を満たしているFビザ、Mビザ、一部のJビザは、新規の申請であっても面接を受けることなく、郵送による申請が可能でした。
しかし、この特別措置は2023年12月31日をもって終了しました。この日までに審査が完了していない申請者は、米国大使館・領事館にて面接が必要となります。
同じビザの更新申請以外の面接免除要件が変更
2024年1月1日より、在日米国大使館・領事館の面接免除の要件が以下のように変更されます。
日本国籍者、またはアメリカのビザ免除プログラム(Visa Waiver Program)の参加国の国籍者で、•日本に滞在している(外国人の場合は、在留カード保持者であること)
•以前に米国大使館・領事館で面接を受けたことがあり、Bビザ以外のビザを取得したことがある(ESTAは渡航許可であり、ビザではありません)
•C1/D、E(登録済みの企業のみ)、F、I、L(ブランケットL-1ビザ以外)、M、J、H、O、P、Q、R、いずれかのビザを申請する
•以前発行されたビザがまだ有効、または失効後48カ月以内で、そのビザ発行後、米国ビザ申請が却下されたことがない
•逮捕歴がない
これらの条件を満たしている場合、郵送でビザを申請できます。 このほかに、同じビザの更新や、14歳未満の子ども、あるいは80歳以上のシニアは、一定の条件を満たしていることを条件に、引き続き郵送による申請が可能です。