Home アメリカ生活 知っておきたい身近な移民法 抽選永住権(DVプログラム...

抽選永住権(DVプログラム)が一時停止に〜知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

抽選永住権(DVプログラム)が一時停止に

移民多様化ビザ抽選プログラム(Diversity Immigrant Visa Program = DVプログラム)は、米国移民の出身国の多様性を保つことを目的とした制度です。米国への移民率が比較的低い国の出身者を対象に、抽選によって移民ビザ(永住権:グリーンカード)を発給するもので、日本も対象国に含まれており、「宝くじ永住権」や「抽選永住権」と呼ばれています。

この制度は毎年10月から11月にかけて応募期間が設けられてきましたが、トランプ政権がこのプログラムの廃止を検討していたこともあり、2027年会計年度の発表が遅れていました。こうした中、2025年12月、トランプ政権はブラウン大学で起きた襲撃事件を理由に、このプログラムを一時的に停止することを発表しました。襲撃事件の容疑者が2017年にこのプログラムを通してグリーンカードを取得していたことが判明したためです。ノーム国土安全保障長官は、このプログラムにより、アメリカ人が被害を受けないことを確実にするための措置であることを強調しました。

なお、2026年会計年度の当選者については、現在、国務省により申請手続き中のケースに関して移民ビザの発給が一時停止されていますが、申請書の提出は引き続き可能です。また、国務省および大使館は、すでに予定されているインタビュ―についてはキャンセルせず、今後もDV当選者の面接スケジュールを継続して設定していくと発表しています。

ソーシャルメディアのアカウント設定を非公開設定から公開設定へ

F、M、またはJ非移民ビザの申請者は、全てのソーシャルメディアのアカウントのプライバシー設定を「公開設定」にしなければならないことは、過去の記事でもお伝えしました。米国務省は2025年12月15日、これらのビザ申請者に加え、H-1Bビザおよびその扶養家族であるH-4ビザの申請者にも、このポリシーを適用することを発表しました。

国務省は、ビザ審査において、申請者がビザの要件を満たしているかどうかに加え、入国後に、ビザで許容される範囲に沿った活動を行う意思があるかを判断します。また、アメリカのビザは権利ではなく特権と位置づけ、利用可能な情報を用いて、国家安全保障に脅威をもたらす人物が含まれていないかを審査するとしています。

証明写真に関する新ポリシー

移民局は、国土安全保障の強化および身元詐欺防止を目的として、移民局に提出する申請に添付する証明写真の規定についても新たなポリシーを発表しました。

COVID-19のパンデミック期間中は、柔軟な対応が取られ、外見が大きく変わっていても最大10年間、同じ写真の再利用が可能だったことから、外国人の本人確認や適切なスクリーニングを十分に行うことができなかったことを理由としています。

新しいポリシーでは、写真は申請提出日から3年以内に撮影されたものに限られます。ただし、以下の申請については、申請時に新しい写真の提出が必要となります。

• Form I-90(Application to Replace Permanent Resident Card)
• Form I-485(Application to Register Permanent Residence or Adjust Status)
• N-400(Application for Naturalization )
• N-600(Application for Certificate of Citizenship)

また、自撮り写真は認められず、移民局またはその他の認可機関が撮影した写真のみが受理されます。このポリシーは発表日よりすでに施行されています。

連邦地方裁判所がH-1Bの10万ドル新料金の合法性を判断

大統領布告によって課さられたH-1Bビザの新規料金、10万ドルの合法性を巡って争われていた訴訟について、2025年12月23日、ワシントンD.C.の連邦地方裁判所は、この布告が議会から大統領に与えられた移民法上の権限の範囲内であると判断しました。この訴訟は、米国商工会議所およびアメリカ大学協会が提起したもので、全米商工会議所は同29日、連邦地裁が差し止めを認めなかった判断を不服として控訴通知を提出しました。

H-1B、選考方法を高賃金優遇へ変更

H-1Bビザの年間発給枠は、通常枠が6万5,000件、修士号枠が2万件の合計8万5,000件です。例年、これを大きく上回る申請があるため、これまでは移民局が無作為に抽選を実施し、選ばれた申請のみを受け付けてきました。

しかし、移民局は2月27日(金)から、H-1B発給枠の選考方法を無作為ではなく給与額を考慮する新たな方式に変更します。労働省が公表するポジション・地域別賃金データは4段階に分類されており、レベル1が一番低く、レベル4が一番高い給与水準となっています。新たな方式では、給与水準が高い申請ほど抽選で複数回のエントリーが与えられ、当選の確率が高くなります。具体的には、レベル1の申請は1回、レベル2は2回、レベル3は3回、そしてレベル4は4回のエントリーが与えられます。このため、給与水準が高い申請ほど、抽選で有利になります。

五十畑 諭
神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 カンザス州およびワシントン州弁護士協会会員、米国移民法弁護士協会会員。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118