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アメリカの帰化申請と審査基準の最新情報(市民権取得の条件と流れ)

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

本コラムで提供される情報は一般的かつ教育的なものであり、個別の解決策や法的アドバイスではありません。また、情報は掲載時点のものです。具体的な状況については、米国移民法の弁護士にご相談ください。

アメリカの帰化申請と審査基準の最新情報
(市民権取得の条件と流れ)

米国市民権は、基本的に「出生」または「帰化(naturalization)」によって取得できます。生まれながらの米国市民ではない外国人が、市民権を取得するために行うプロセスを帰化申請といいます。アメリカの永住権(グリーンカード)を取得しても、市民権を取得する義務はありません。しかし、米国市民になることを希望する場合は、下記の申請条件を満たすことで米国市民権を取得することができます。

帰化の申請条件

1.18歳以上であること
2.グリーンカードを保持していること
3.帰化申請前に、グリーンカード保持者として最低5年間 (申請者が米国市民の配偶者である場合は3年間)アメリカでの居住期間があること
4.その5年(または3年)のうち、最低半分は実際にアメリカに居住していること
5.帰化申請時に住んでいる州に、申請前の最低3カ月間居住していること
6.日常生活に支障のない程度の英語能力(読み・書き・会話)を有すること(英語テスト)
7.アメリカの歴史や政治に関する基本的な知識を持っていること(公民テスト/Civics Test)
8.道徳上の問題がなく、米国市民になるにふさわしい人物であること
9.米国の憲法を支持し、アメリカへの忠誠を誓うこと

これらの条件は基本的に変わっていませんが、移民局は2025年10月20日以降に受理された申請に対し、7番の「公民テスト」と8番の「米国市民になるにふさわしい人物であるか」に関する審査基準を改正すると発表しました。

2025年10月20日付以降の申請分から新しい公民テストが適用

アメリカの帰化申請に必要な公民テストが改正されました。2025年10月20日以降に申請した人は、改正版(2025年版)のテストを受ける必要があります。

従来は、100問の中から最大10問が出題され、6問に正解すれば合格でした。新しい公民テストでは、事前に公開されている128問の中から最大20問が出題され、12問正解しなければなりません。つまり、10月20日に申請した人は、次のように変更されます。

項目 旧テスト 新テスト(2025年版)
事前に勉強する問題数 100問 128問
最大出題数 10問 20問
合格に必要な正解数 6問 12問

審査官は、申請者が12問に正解した時点、または9問を間違えた時点で質問を終了します。

2025年度版の公民テストの全128問と解答はこちら
www.uscis.gov/sites/default/files/document/questions-and-answers/2025-Civics-Test-128-Questions-and-Answers.pdf

新たに追加された質問の中には、以下のような戦争の背景や社会運動に関するものが含まれています。

•「なぜアメリカは朝鮮戦争に参戦したのですか?」 → 共産主義の拡大を防ぐため
•なぜアメリカはベトナム戦争に参戦したのですか?」 → 同じく、共産主義の拡大を防ぐため
•「なぜアメリカは湾岸戦争に参戦したのですか?」 → イラク軍をクウェートから撤退させるため•「公民権運動は何をした運動ですか?」 → 人種差別をなくすために闘った

最後の公民権運動に関する質問は、以前のテストでは、「What movement tried to end racial discrimination?(人種差別をなくそうとした運動は何でしたか?)」という形で出題されていました。

高齢者の特例(65/20ルール)

申請者が65歳以上で、グリーンカード取得から20年以上経過している場合には特例が適用されます。公民テストは128問全てではなく、★印のついた20問の中から10問が出題され、そのうち6問正解すれば合格となります。

面接時の言語免除条件

帰化申請時の面接は原則として英語で行われますが、下記に該当する場合は母国語での受験が可能です。

•申請時に50歳以上かつグリーンカード取得から20年以上経過している場合
•申請時に55歳以上かつグリーンカード取得から15年以上経過している場合

道徳性(Good Moral Character)の審査基準の改正

道徳性とは、申請者が米国市民になるにふさわしい人物かどうかを判断するための基準です。これまでは犯罪歴などのネガティブ要素がないことが重視されていました。しかし、2025年10月20日以降は、それだけでは不十分となり、以下のようなポジティブな要素の立証が求められます。

•コミュニティーへの貢献
•家族への貢献
•教育的功績
•安定した雇用歴
など

近隣調査(Neighborhood Investigation)の実施

移民局は、申請者の人物評価をより正確に行うため、近隣調査を実施する場合があります。この調査では申請者の自宅や職場を訪問し、隣人・雇用主・同僚などへの聞き取り調査(ヒアリング)を行うこともあると発表しています。

五十畑 諭
神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 カンザス州およびワシントン州弁護士協会会員、米国移民法弁護士協会会員。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118