日本人が短期商用・観光目的で渡米する場合、滞在が90日以下であれば、ビザ免除プログラムを利用することができるため、ビザは必要ありません。しかし、ビザ免除プログラムを利用する場合、渡航前にESTA(エスタ)電子渡航認証を受けなければなりません。ESTA とはElectronic System for Travel Authorizationの略です。最終目的地がアメリカではなく、アメリカを通過する場合でも必要です。
なお、日本人であっても、2011年3月1日以降にイラク、イラン、スーダン、シリア、リビア、ソマリア、イエメンに渡航または滞在したことがある旅行者は、ビザ免除プログラムを利用して渡米することはできません。また、日本などビザ免除プログラム参加国の国籍と、イラン、イラク、スーダン、シリアのいずれかの国籍を有する二重国籍者も、ビザ免除プログラムを利用して渡米することはできません。これに該当する旅行者は、渡米前に、大使館・領事館にて通常のビザ(入国査証)申請を行う必要があります。
ESTA電子渡航認証は、ESTAの公式サイトで受けられ、ページ右上のプルダウンメニューから「日本語」をクリックすると、日本語版が表示されます。申請料金は14ドル(2019年1月現在)です。ESTA電子渡航認証の目的は、旅行者の渡航資格を事前に判断することで、認証されると、渡航が許可された、つまり飛行機に乗ってアメリカに渡航する資格を与えられたということになります。しかし、それは入国を保証するものではありません。アメリカに到着後、入国審査官が入国を認めるかどうかを判断します。
ESTAは1度認証されると2年間有効で、期限内であれば複数回の渡航が可能です。ただし、2年以内にパスポートの有効期限が失効する場合の認証は、パスポートの有効期限日までに短縮されます。入国時点でESTAの有効期限内であれば、アメリカ滞在中に有効期限が切れても問題ありません。しかしながら、ESTAの有効期限は、米国滞在が許可された期間とは違いますので、注意が必要です。米国滞在が許可された期間は、入国時に作成されるI-94という出入国記録に記載されます。I-94上の日付を超えてはアメリカに滞在できません。
以前は入国時に出入国記録カード(I-94W Arrival/Departure Form)が発行されましたが、現在では一部の例外を除き発行されません。渡航者の出入国は、電子的に記録されています。渡航者は、I-94公式サイトから、自身の渡航歴を確認することができます。従来通り、入国時にはパスポートに入国スタンプが押され、滞在資格と有効期限が記載されますので、入国審査時に記載された情報をきちんと確認してください。万一、空港を離れた後に、出入国記録に間違いがあったことに気付いた場合は、最寄りの税関・国境取締局(CBP:Custom and Border Protection)オフィスで訂正してもらうことができます。
ESTAの有効期限が残っていても、名前や国籍が変わったり、新しいパスポートを申請したりした場合、また渡米資格に関する質問への回答に変更がある場合などにはESTAの再申請が必要となります。なお、有効な米非移民ビザを所持していて、そのビザを使って入国を申請する場合、ESTAは必要ありません。
先日、税関・国境取締局は、ESTA申請プロセスの変更に伴い、ESTA申請が即時に認証されなくなったことを発表しました。そのため、税関・国境取締局は、ESTAが必要な旅行者は、渡米の予定が決まり次第なるべく早く、少なくとも渡米72時間以上前に申請をするよう強く呼びかけています。上述の通り、ESTA電子渡航認証を受けていない場合は、搭乗が拒否されますので、注意する必要があります。