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グリーンカードの更新申請(Form I-90)に関する最新情報〜知っておきたい身近な移民法

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

グリーンカードの更新申請(Form I-90)に関する 最新情報

新 し い グ リ ー ン カ ー ド の 発 行 の 際 に は、Form I-90(Application to Replace Permanent Resident Card)の提出が必要です。10 年に 1 度のグリーンカードの更新ほか、グリーンカードを紛失・破損してしまった場合、結婚や離婚により名前が変わった時、あるいは発行されたグリーンカードに誤記があり訂正を要するケースなどに、この申請書が使われます。提出後、移民局は申請受理書を発行しますが、この受理書に記載される内容はその時々の移民局の諸事情で変わることがあります。

最近までは、グリーンカードの有効期限が切れた後、12 カ月間は有効期限を延長すると記載されていました。延長の記載によって、審査期間中にグリーンカードの有効期限が切れても、有効期限が切れたカードと申請受理書を持ち合わせることで、永住者であることを証明できます。今年 9 月末、移民局はこの延長の記載を12 カ月から24 カ月に変更する方針を発表し、すでに9 月26 日から施行されています。

この日以降に提出された申請には、申請受理書にグリーンカードの有効期限を 24 カ月間延長するとの記載があります。その前に提出済みで現在も審査過程にある申請に対しては、24カ月間延長すると記載した新たな通知が発行されることになりました。申請者は、グリーンカードの有効期限が切れた後も、有効期限が切れたグリーンカードとこの通知を合わせて 24 カ月間は永住者であることを証明できます。

なお、申請は通常、受理された順に処理されます。審査期間はそのタイミングにより大幅に異なりますが、移民局が過去 6カ月間に審査した約 8 割の申請の審査期間は、以下の通り報告されています。

•10 年に1 度のグリーンカードの更新 13.5カ月
•そのほかの理由で新しいグリーンカードが必要なケース 16カ月

ただし、実際の審査期間はケースバイケースで、申請提出後1、2 週間で認可されるものから、公表通り1 年以上かかるものまでさまざまです。「知り合いは 2 週間で認可されたのに、自分の申請は 10 カ月経っても何の進展もない」、「夫婦同時に申請し、妻はすぐにグリーンカードが発行され、夫の申請は 1 年経っても認可されないまま」といった事例もあります。不安になる方もいることと思いますが、審査期間は保証ではなくガイドライン程度に受け止めると良いでしょう。

この新しい方針は、すでにグリーンカードの有効期限が切れてから12カ月以上経っている申請者にとっては朗報かもしれません。しかし、裏を返せば、それだけ審査期間が長引いているとも言えます。主な遅延理由としては、申請数の増加、人員配置の割り当て、方針や運用上の変更などが考えられます。1 日も早く改善されることを願うばかりです。

審査期間が長引くと、その間に引っ越しするケースもあるかもしれません。その場合は 10日以内に新住所を移民局に通知します。そうしないと、移民局からの通知やグリーンカードが届かない可能性が出てきますので注意してください。また、郵便局で住所変更の手続きをしても反映されませんので、移民局の公式サイト(www.uscis.gov/addresschange)にて住所変更をしましょう。

審査期間が短いときには、申請受理書に記載される延長期間が 6 カ月ということもあります。今後の移民局の状況によっては短縮される可能性も考えられるため、申請受理書を受け取ったら、延長期間を確認するようにしてください。

そのほかの最新情報

●シアトル地区の市民権申請
遅延が著しい市民権申請ですが、管轄する移民局にもより、地域差があります。シアトル地区では現在、19カ月かかると言われています。しかし最近は、インタビューをヤキマやポートランドなどの近隣オフィスにトランスファーするなどの努力もあって改善が進み、早ければ申請後 4カ月でインタビューがスケジュールされるケースも出てきています。

●H-2Bビザの年間枠の増加
国土安全保障省は、10月1日からスタートした2023 年会計年度の H-2Bビザ年間枠を、通常の 6 万 6,000 件から、さらに6 万 5,000 件を追加すると発表。H-2B 枠は、上半期と下半期で3 万 3,000 件ずつですが、追加された6 万5,000 件の配分については、まだ詳しくわかっていません。

 

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118