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H-1B 配偶者(H-4) が就労可能に

今年 10 月 1 日から始まる来会計年度(F Y2016)の H-1B ビザ申請受付がこの 4 月 1日から開始され、予想通り、移民局は最初の 5営業日内で一般枠・修士号取得者枠ともに上限枠以上の約 233,000 件の申請を受けとりました。移民局は 4 月 13 日、実際に審査する申請を抽選によって選びました。今後、抽選された申請は受付通知が送られ、抽選にもれた申請は申請書が返却されます。H-1B プレミアム・プロセスの審査は、4 月 27 日からスタートされる予定です。
この H-1B ビザは、ビザ保持者の家族である配偶者と子供は H-4 というビザを取得できます。そのうち配偶者である H-4 保持者には、制限はありますが就労許可証を取得すれば、米国内で働ける道が開かれることになりました。就労ビザである H-1B の配偶者に対して米国内での就労を許可する今回の方策は、オバマ政権が進める移民法制度改革の一つで、高い技能を持つ H -1B 労働者が引き続き米国に滞在しやすくするためのものとされています。
移民局は、H-4 配偶者の就労許可申請を 5 月26 日から受け付けますが、H-4 配偶者の誰もが申請できるわけではありません。以下の条件を満たす H-1B ビザ保持者の H-4 配偶者のみが対象となります。

• 雇用に基づく移民ビザ申請(I -140)が認可されている H-1B の H-4 配偶者もしくは

•Ameri can Competi ti veness i n the 21st Century Act of 2000(通称 AC21)の 106 条
( a ) 項および ( b ) 項の基、6 年目以降の H-1B 滞在の延長が許可された H-1B の H-4 配偶者

AC21 の 106 条 (a) 項および (b) 項とは、労働認定証 (Labor Certification) もしくは雇用に基づく移民ビザ申請が 365 日以上審査中の場合に当てはまります。その場合、H-1B 保持者は6 年目の期間を超えて 1 年ごとの H-1B 延長が可能です。
移民局は、この条件に該当する H-4 配偶者の申請を、最初の年が最大で 179,000 件、それ以降は毎年 55,000 件と見積もっています。
この条件からわかるのは、今回の移民局の方策は、永住権申請の手続きがある程度進んでいる H-1B 保持者が、配偶者が働けるようになることで引き続き米国に滞在しやすくするインセンティブを含んでいるということです。
これは、L-1 ビザの配偶者である L-2、E-1 または E -2 ビザの配偶者が無条件に就労許可証を取得できるのとは違うポリシーですが、今まで就労が一切できなかった H-4 配偶者にも就労できる道が開かれたのは、画期的といえるでしょう。

[知っておきたい移民法]

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118