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DV-2019プログラム

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

*同記事は、ワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得し、カンザス州及びワシントン州において弁護士資格を持ち、K&I Lawyersを琴河利恵弁護士と共に創業した五十畑諭弁護士が、在シアトル日本人の読者に向けて解説しているものです。詳細については、K&I Lawyersなど移民法の専門家へお問い合わせください

DV-2019プログラム

米国国務省は、移民多様化ビザ抽選プログラム(Diversity Immigrant Visa Program=DVプログラム)を毎年施行しています。DVプログラムは、歴史的に米国への移民率の低い国の 人々のため、そして米国移民の出身国の多様性を維持するため に、抽選によって移民ビザを発給するというプログラムで、通称「宝くじ永住権」、あるいは「抽選永住権」と呼ばれています。 2019年会計年度(2018年10月1日~2019年9月30日)の DVプログラムの募集要綱が、9月13日に発表され、10月3日東部時間正午から受付が開始されました。その後10月10日まで受付されましたが、国務省コンピューターの問題で、3日~ 10日受付のデータが無効となりました。問題解決後、10月18 日から新たに受付が再開されています。3日~10日に申し込んだ人は、新たに申し込みをする必要があり、この新たな申し込みは重複とは見なされません。

2019年会計年度では、前年同様5万人のDV移民枠が割り当てられ、コンピューターで無作為に当選者を選出します。ビザは6つの地域ごとに割り当て数が決められ、各地域内の1つの国が年間の移民抽選ビザ発給数の7%を超えるビザを受給することはできません。過去5年間に5万人以上の移民を米国に送り出した国の出身者は、DV-2019プログラムの対象にはなりません。日本は、毎年応募対象資格国で、2019年会計年度でも、引き続き応募対象となっています。

また、応募者の出生国が対象外であっても、次のような場合、 配偶者または親の出生国の資格で応募することができます。

● 配偶者が対象国の生まれで、応募者本人と配偶者の両氏名が応募時に入力されており、両者がDVビザを取得し、一緒に米国に入国することが条件。なお、同性婚の配偶者でも、この規定の対象となります。

● 両親が応募者の出生国で生まれておらず、かつ応募者の出生時に、両親が応募者の出生国の永住者でなかった場合(その国の一時滞在であった場合)、どちらか一方の親の出生国が対象国であれば、その資格で応募することができます。

ここで言う「出生国」とは、国籍のことではなく、生まれた国のことです。

応募者が対象国出身であるという条件以外に、DVプログラ ムでは、応募者が高校を卒業(または同等の資格を有する)していること、もしくは2年間の経験・訓練が必要な仕事に、過去5 年間のうちに2年間従事していること、という経歴も必要です。今回のDVプログラムの応募期間は、2017年11月22日東部時間正午までです。国務省の公式サイトのフォームに必要事項を記入し、デジタル写真をアップ ロードして送信します。フォームを送信すると、確認スクリー ン上に、名前と確認番号が表示されます。応募期間後半、特に最後の1週間は応募が集中し、アクセス数増加が原因でサイト がダウンしたり、つながりにくくなるなどの問題が発生する可能性があるため、期間ぎりぎりでの応募はなるべく避けましょう。また、応募は1人につき1通に限られており、重複した応募は無効となります。

なお、DVプログラムの応募期間には、詐欺メールや手紙が急増しますので、ご注意ください。DVプログラムに関する詳細 は、前述の国務省の公式サイトに掲載されています。応募に料金はかかりません。また、2018年5月1日以降、同じサイトに て応募時に与えられた確認番号で、当選かどうかの確認ができます。これ以外の方法では、当選の連絡はされませんので、応募時の確認番号を必ず控え、来年5月1日以降に自分で当選のチェックを行う必要があります。

また、ここで当選したからといって最終的に永住できるわけではないことに注意しましょう。当選は、あくまで応募する資格を得たというのみで、上記の学歴または職歴が必要なのはもちろん、実際に申請するためには、当選時に連絡される番号による順番を待つ必要があり、また申請は同じ会計年度内の 2019年9月30日までに審査を終了する必要があります。実際の当選数は、DVプログラムで発給できるグリーンカードの数よりも多い場合があり、それゆえ自分の順番が回ってこない可能性もあります。その場合は、残念ながら応募したとしても、 グリーンカードを取得できないことになります。

[知っておきたい移民法]

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118