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ビザ・ブリテンの2つの日付け

201510月のビザ・ブリテンが99日に発表されました。ビザ・ブリテンとは、国務省が発行するグリーンカードの審査順番を伝える公報のことで、その月に審査される申請のプライオリティーデート(priority date 優先登録日)が、移民カテゴリーごとに記載されています。プライオリティーデートとは、グリーンカード申請の順番のことで、申請者のプライオリティーデートが現行(current)になると、最終ステップである永住権者としての登録の申請をすることができます。米国移民法では、さまざまな移民のカテゴリーがあり、カテゴリーごとで年間に発給できるグリーンカード数が決まっています。そしてカテゴリーによっては、申請者の数がグリーンカードの年間発給数を超えることがあります。その場合にはウェイティング・リストが作成され、グリーンカードの発給順番を待つ必要がでてきます。毎月発行されるビザ・ブリテンを見ることによって、自分の申請の順番を知ることができます。
今までのビザ・ブリテンには、申請者の出身国別でさらに分かれる場合は別として、各移民カテゴリーごとに1つの日付けしか記載されていませんでした。申請のプライオリティーデートが、 ビザ・ブリテンに記載されている日付けに到達すると、プライオリティーデートが現行となったことを意味し、グリーンカードの最終ステップに進むことができました。ところが今回発表された10月のビザ・ブリテンには、2種類の日付けが記載されるようになりました。1つは書類申請日(Dates for Filing)といい、もう1つは、最終決定日(Final Action Dates)といいます。書類申請日とは、プライオリティーデートがこの日付けに到達すれば、永住権の最終ステップの書類を申請することができるという日です。また最終決定日とは、プライオリティーデートがこの日付けに到達するまでは、最終ステップの審査は完了しないという日です。
これまでのビザ・ブリテンでは、最終決定日のみが記載されており、プライオリティ・デートがこの日付けに達するまでは永住権の最終ステップの書類を申請することができませんでしたが、今回、新たに書類申請日を設定することにより、今までよりも早く最終ステップの書類を申請することができるようになりました。例えば10月のビザ・ブリテンによると、F2Aカテゴリーの最終決定日は2014415日ですが、書類申請日は201531日となっています。これは、F2Aカテゴリーでの申請では、プライオリティーデートが201531日以前であれば10月には最終ステップの書類審査を提出できることを意味します。
永住権申請の場合、最終ステップの審査において書類を今までより早く提出できることにより、全体としての審査の迅速化が期待されます。また、申請者がすでに別のステータスでアメリカに滞在している場合においては、永住権の最終ステップである永住権者としての登録の申請は、ステータス・アジャストメントと呼ばれる申請になりますが、この申請中には、別途就労許可を取得することができるので、以前に比べてもっと早く永住権申請による就労許可を取得できることになり、大きくメリットが生じるといえます。

[知っておきたい移民法]

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118