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第6回 親の介護における家族の役割とは?〜日本の親は大丈夫? アメリカからの遠隔介護

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親の介護における家族の役割とは?

「介護は突然やって来る」と言われますが、それは違います。誰もが高齢になると心身に衰えが出てきます。老いや介護は、いずれ皆が経験すること。介護が必要になったらプロの力を最大限に活用しましょう。決して「家族だけで背負わない」ように。これは介護をするうえで、とても大切なポイントです。家族には家族にしかできない役割があります。今回は親の介護が必要になったときの家族の役割について紹介します。
家族でチームプレー!
中心となるリーダーを決めよう
厚生労働省などのデータによれば、平均の介護期間は男性が9.79年、女性が12.93年。平均すると「介護期間は約10年間」と言われています。10年もの長丁場と考えれば、家族だけで親の介護をするのは無理な話。ましてや、家族の誰かにだけ負担がかかるようでは、必ずいざこざが起こります。
それぞれの家族に、「まだ子どもが小さいので手がかかる」、「仕事が忙しくて時間が取れない」など、さまざまな事情があります。状況に合わせて、各々ができることをする。「家族はチーム」と捉え、役割分担を決めましょう。その時に「リーダー(主介護者)」を決めるのがコツ。家族間での情報の流れや外部の専門家とのやり取りなど、スムーズに共有できるようにするのが「リーダーの役割」です。
日本でひとり暮らしをする母親をアメリカから介護。
負担が増えてきたアメリカ在住のCさん
アメリカ在住のCさんは、日本でひとり暮らしを続ける母親の遠隔介護を2年以上続けています。日本には弟もいますが、仕事が忙しく、緊急時以外は対応できる状況にないと言います。
今はインターネット環境さえ整っていれば、母親に代わって毎月の支払いや年金などのお金の管理、宅配弁当の手配なども、アメリカから行えます。ただ、半年くらい前から、Cさんの母親に初期の認知症状が出始めました。
Cさんの母親は毎週、食材の宅配サービスを利用していましたが、Cさんがオンラインで注文票を確認すると、トマト20個、キャベツ10個と、明らかにおかしいことがわかります。予定をすぐに忘れて、何度も同じことを繰り返すなど、短期記憶の障害も見えてきました。
そこでCさんは食材の宅配サービスをキャンセルし、ネット・スーパーに適量を届けてもらうように変更しました。ただ、毎日この作業をするには手間がかかり、時差の関係から睡眠不足や精神的な負担が増えてきました。今は、母親の新たな生活環境を整えるため、今年の一時帰国の際に施設探しができるよう、プロに相談しながら準備を進めています。
親のこと、どれくらい知ってる?
「親の意思」を尊重して決めていくには
子どもは親のことは知っているようで、あまり知らないものです。親の預金通帳や保険証書などの保管場所、経済状態も把握しておきましょう。また、親の好みや子どもの頃のことを聞いてみると、親の違う一面が見えてきます。「お母さんが好きな音楽は?」、「子どもの頃から大事にしている物は?」などと、尋ねてみてください。
親の介護が必要になった時には「親の意思」を尊重することが大事。まだ元気なうちに親の話をじっくりと聞いておくことで、これから事が起こったときの家族の判断基準となります。たとえば、「介護が必要になったら、どこでどのような介護を望むのか」、「他界後はどうして欲しいのか」など。子どもの意見を押し付けることにならないよう、気を付けたいものです。
親には親の意思があり、親の人生があります。親子でも「親と子どもは別人格」、「別の人生」を持つのです。平均で約10年という介護期間に、家族同士がもめず良好な関係を保つためにも、それぞれの意思を尊重することは不可欠。お互いが納得できるよう、より良い関係を築いていきたいですね。

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6月22日(木)6pm~7:30pm
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問い合わせ:hearth777@gmail.com
詳細:https://peatix.com/event/3599508/view

■一般社団法人Hearth(ハース)代表理事。国際介護アナリスト。ベネッセスタイルケアにて高齢者住宅の立ち上げや広告宣伝等に携わった後、41歳で退社し、夫婦で7カ月かけて世界各国の高齢者施設200カ所以上を訪問。これまでに取材した高齢者やその家族は2,000人を超える。「介護を通じて日本と世界を幸せに」をモットーに活動中。 サロンドハース salon_de_hearth