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風呂上がりの足元をエシカルに。ゆる〜くSDGsな消費者生活

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

うっかりポチったゼブラ柄のクッションカバー筆者私物はインドの職人が糸を染色した後刺繍ミシンでチェーンステッチの生地に編み上げられるかわいらしいカードが添えられて手元に届いたこれでまたしばらくバスマットはおあずけか

ここ数年、ずーっと気になっているが買えずにいるものがある。コールドピクニックのバスマットだ。最初に見かけたのは、実は日本。渡米前に足しげく通っていた都内のセレクトショップに、一時帰国の際訪れた時のことだ。その店のオーナーさんは本当にセンスの良い人で、とにかく彼女の選ぶものは間違いがない。そのバスマットも、ひと目で「かわいい!!」と思ったものの、お値段なんと9,000円……。バスマットに9,000円! シアトルに戻り、「アメリカの物なのだから、日本で買うよりもお得なはず!」とチェックしてみたが、それでも60ドル。う〜ん、なんでこんなにするんだろう。オーガニックコットンだから?

Photo Courtesy of Cold Picnic
新作ラグ・コレクションの「インチャンテッド・フィースト」は、スタジオジブリの映画「千と千尋の神隠し」にインスピレーションを受けデザインされたとのこと。(手前)ザ・サンセッツ/(奥)アン・アソートメント・オブ・スピリッツ(各$210)

オーガニックコットンがアパレル製品によく見られるようになったのは、2000年代の終わり頃だったか。当時、お気に入りの服屋さんでもTシャツを見かけ、一体何が違うのかと店員さんに聞いたのを覚えている。しかし、「すごく肌触りが気持ち良いですよ〜」と、非常に頼りない返答だった。確かに滑らかな触り心地で高品質の品だったが、「それってオーガニックだからなのか?」と、全く腑に落ちなかった。

Photo Courtesy of Cold Picnic
「スリーピング・ジャイアント・バスマット」($60)。GOT認証オーガニックコットンを100%使用

今ではすっかり世の中に定着したオーガニックコットン。農薬を使ってないんだし、きっと肌や環境に良いに違いない、と思う。しかし、風呂上がりに一瞬、足の裏に触れるだけのバスマットに60ドルの価値はあるのだろうか。自身を納得させるため、そして、締まり屋の夫を説得するため、十ウン年を経た今、改めて調べてみたのだった。

日本オーガニックコットン協会によれば、「基準に従って2 〜 3 年以上のオーガニック農産物等の生産の実践を経て、認証機関に認められた農地で、栽培に使われる農薬・肥料の厳格な基準を守って育てられた綿花のこと……(中略)……化学薬品の使用による健康や環境的負荷を最小限に抑え、労働の安全や児童労働など社会的規範を守って製造したもの」(http://joca.gr.jp)とある。つまり、オーガニックコットンは、ただ有機農法で作られているだけでなく、その生産過程もエシカルでなければならない。地球にも人にも優しく、ということだ。しかもコールドピクニックはビニール包装を極力避け、ソーラー発電での製品製造、途上国の職人との公正なやり取りなど、ブランドを挙げてサステナブルな活動を推進している。私が6枚の安いバスマットを買う代わりに、コールドピクニックのバスマットを1枚買って大切に使うことは、これらの活動に貢献することなのだ! と、納得できたところで、セールになっていたクッションカバーを、うっかり先にポチってしまったことはあと2日くらい夫には秘密にしておこうと思う。

■︎Cold Picnic

https://coldpicnic.com

共にデザイナーだったフォエベ・サンさんとピーター・ブアーさんカップルが2010年に立ち上げたテキスタイル・ブランド。ブルックリンに拠点を置き、ニュージャージーやインドの家族経営工場で、職人の手作業によりラグ、バスマット、ブランケットなどを製造している。

加藤 瞳
東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。