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キティちゃんもピコ太郎もとっくにSDGsを歌っていたらしい

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

前々回の本コラムで、どんなエコな素材でもその生産には必ず環境への負荷がついて回ると知り、消費者生活と共存できるのかと、すっかり行き詰まってしまった旨を書いた。ひたすら嘆く私に友人が紹介してくれたのが、国連開発計画(UNDP)ニューヨーク本部で活躍する山角恵理さん。なんということでしょう。まさにSDGsの総本山! 持つべきものは顔の広い友人である。というわけで、前編・後編の2回にわたって山角さんの話を紹介しようと思う。

筆者(以下ひ):UNDPとはどういうところですか?

山角さん(以下や):UNDPは国連の開発機関として、貧困の根絶、構造的変革、強靭な社会の構築など幅広い分野でのSDGs達成のために世界の国や政府と共に歩んでいこうという組織です。現在、約140カ国で気候変動や環境問題に関する活動をしています。今年は10月末から英国で開かれる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向けて、たとえば1.5度(パリ協定で「世界的な平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2度未満、可能な限り1.5度までに抑える」と掲げられた努力目標)に抑えるにはどうしたら良いかアドバイスを行うなど、各国の取り組みのお手伝いをしています。ニューヨーク本部には4年半前に着任し、初めの2年半は日本の政府開発援助に関する仕事、この2年は気候変動を担当しています。

ⒸUNDP駐日事務所
第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)でアフリカ人間開発報告書のローンチをサポートする山角さん(前列右)

:今年のアメリカの政権交代で変化はありましたか?

:バイデン大統領の環境政策の影響はとても大きく、気候変動が着目されるきっかけになったと思います。CO2排出量の多い経済大国であるアメリカがパリ協定に正式復帰し、環境政策に力を入れ始めたことは、日本や各国政府が本腰を入れるに至った理由のひとつと考えられます。

:日本のメディアでも急に「SDGs」と耳にするようになりました。

Ⓒ1976, 2019 SANRIO CO.,LTD.
2019年、ハローキティがアミーナ・モハメッド国連副事務総長に会いにニューヨークの国連本部を訪問!

:SDGsが日本のお茶の間にも浸透し始めたのが、4年前頃だったように感じます。日本政府も本格的にSDGsに取り組みたいということで外務省が乗り出し、いろいろな企業から関心を寄せてもらい、吉本興業では芸人さんによるPR動画が作られました。YouTubeで「吉本SDGs」で検索すると見られます。サンリオでもキティちゃんがSDGsについて歌っているんですよ。あと2017年のちょうど今頃、国連総会の時期にピコ太郎さんが歌を披露したりとか!経団連がSDGsの推進を活動戦略に含めたことで、日本の大企業も動き始めています。日本では各企業にもともと自助努力があって、私たちはそれをサポートしただけなんです。

なるほど、昨今のSDGsブームの背景にはそんなことがあったのか〜! と理解できたところで、次回は本題「消費とSDGsの共存」についてお伝えする。

山角恵理■兵庫県芦屋市出身。英国マンチェスター大学大学院修了(経済学学士、開発学修士)。UNDP本部総裁室(プログラム専門官)にて気候変動を担当。元外務省・専門調査員(在ウガンダ大使館)およびG7伊勢志摩サミット・外務大臣会合事務局・専門員。2016年よりUNDPケニア事務所へ。その後UNDP本部の対外関係アドボカシー局およびファイナンスセクター・ハブ勤務を経て2020年1月より現職。

■吉本興業のSDGsへの取り組み

www.yoshimoto.co.jp/sdgs

SDGsをネタに盛り込み、いかに楽しくわかりやすく伝えられるかを競う「SDGs-1グランプリ」を開催するほか、人気コンビのEXITが米ブランドのレスポートサックとコラボし、環境に優しいバッグを開発するなど、笑いを通してのSDGsの推進にさまざまな形で取り組んでいる。PR動画「SDGsについて考えはじめた人々」を国連広報センターのYouTubeチャンネルで見ることができる。

■#HelloSDGs

www.hellosdgs.com

ハローキティのYouTubeチャンネルを通じて、SDGsについて発信し日本で活動する人たちを応援。また、2019年から国連との共同企画「#HelloGlobalGoals」がスタートし、世界中のSDGsに向けての取り組みを日英2カ国語で紹介している。

■ピコ太郎×外務省(SDGs)〜PPAP〜

https://avex.com/jp/ja/sustainability/about-sdgs/sdgs

2017年に外務省からの要請でSDGs推進大使に就任したピコ太郎さんは、大ヒットした「PPAP」をSDGsバージョンで歌い、ニューヨークの国連本部でのPRイベントにも参加した。また、ピコ太郎さんをプロデュースする古坂大魔王さんも国連環境計画(UNEP)主導による新しい取り組み「UNEPサステナビリティアクション」のアドバイザーとして活動している。

 

加藤 瞳
東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。