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新品のスニーカーと新年の抱負〜ゆる〜くSDGsな消費者生活Vol.21

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

昨夏、公園を散歩中に犬のフンを踏んだ。大ショックである。以前フンを踏んだ(かもしれなかった)時には、つい「お気に入りの靴で犬のフンを踏んだ時の心理的対処法」をググってしまったが、今回は少し心持ちが違った。確かに気に入っている靴ではあったものの、「いい加減に買い換えなさいという天のおぼしめしなのでは?」と思ったのだ。真っ黒なカンペールのスニーカーを愛用し、2 代にわたり履いてきた。この2 代目はなんとゴアテックスを採用! 雨のシアトルもなんのそのだ。あまりの履きやすさ、合わせやすさに、3年もの間ひたすら履き倒してしまった。コロナ禍でおしゃれをする機会がなくなったのもいけなかった。とはいえ、さすがに自称靴好きが聞いてあきれる。

早速、カンペールのオンライン・ショップを見てみると、残念なことにお気に入りのブルータス・シリーズは、愛用の型が廃番となってしまったようだ。かと言ってその前に履いていたデザインに戻るのも悔しい。そこで新たな黒スニーカーを求め調査を始めた。まず気になっていたのは、九州は久留米のスニーカー・ブランド、ムーンスターの810s(エイトテンス)シリーズ、「スチューデン」だ。夫がグレーを愛用していて、良いなぁとずっと思っていた。しかも、黒ではないが限りなく黒に近く見えるチャコールを新たに発売している。良い! しかし、本当のところ、この靴を買うなら、いかにもおじさんっぽい色のトープが欲しい……うーん。

2021年より展開するカンペールのユニセックスモデルカーストサトウキビから抽出した成分を使用したアウトソールや100リサイクルコットンのライニングリサイクルPET 素材の靴紐を採用することで廃棄物を最小限に抑える取り組みがなされている

次にチェックしたのは、最近見かけることの多いヴェジャ。エコ素材の使用や公正取引、透明性のある製造工程、ソーシャル・プロジェクトへの関わりと、あらゆる方向からサステナブルだと話題になっている。さすが仏ブランドらしく、デザインも素敵だ。しかし、どうにも気になったのは、真っ黒スニーカーはどれも甲部分がメッシュ素材だということ。これはいただけない。だって、この時期のシアトルで履いたらビッチョビチョになっちゃうもの。

ムーンスターの810sエイトテンスとは腹八分目が由来スクールシューズを始め介護現場や厨房など専門分野で使用される靴作りのノウハウをデイリーユースに落とし込みその名の通り日常にちょうどいいデザインを提案する

さまざまなブランドを検討したが、一周回ってやっぱりカンペールの、今までだったらきっと選ばなかったであろうデザインが気になり始め、ブラック・フライデーを待って……と思いつつ結局は割引対象外で買ってしまった。新しい靴を買うたび、「良い靴は履く人を素敵な場所へ連れて行ってくれる」というどこかの国のことわざを思い出す。フンを踏んで運を拾った2022 年。2023 年は、おニューでお気に入りの靴と共に飛躍の年にしたい。

■Camper
www.camper.com/en_US
スペイン・マヨルカ島で生まれたプレミアム・カジュアル・フットウエア・ブランド。世界約 40カ国で 400 店舗を展開する。職人のクラフトマンシップと最先端技術を融合し、極上の履き心地を追求。「A Little better, Never perfect(少しずつ より良く。でも、完成形はない)」をスローガンに、よりサステナブルな未来の実現を目指す。

■MOONSTAR
www.moonstar.co.jp
1873 年に福岡県久留米市で創業した、つちやたび店が前身。現在も同地に本社・工場を構える。昔ながらの職人技を維持し、日本国内でもわずかな工場でしか生産することのできないヴァルカナイズ製法などの技術で知られる。同ブランドのスニーカー・ラインのひとつ、SHOES LIKE POTTERY(シューズライクポタリー)の製品はフリーモントのブルー・オウル(www.blueowl.us)にて取り扱いあり。

■VEJA
www.veja-store.com/en_us
VEJAとはポルトガル語で「見る」の意。2005 年にフランスで設立されて以来、生産されたシューズの向こう側にあるもの、社会的責任や経済的正義など生産における透明性にこだわり、従来とは異なる方法でスニーカーを作り続けている。

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。