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今や手編みのセーターは時代の最先端である(たぶん)

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

編み物が好きだ。どのくらい好きかと言うと、許されることなら2週間くらい引きこもってひたすら編み続けていたいくらい好きだ。

思い起こせば、出合いは小学1年生の頃。通っていた学童保育で編み物やフェルト人形の作り方を習い、せっせと手芸にいそしんでいた。しかし時は90年代。手編みのセーターなんてダサい、重い、恥ずかしいという時代だ。やがて日々の生活が忙しくなり、すっかり編み物とは疎遠になっていた。

ウールアンドザギャングの極太糸で編むケーブルボンバー$163はザックザク編めてあっという間に出来上がるうえに暖かいウィーアーニッターズの毛糸上段はバリエーションに富んだニュアンスカラーが特徴的どちらも定期的にセールを行うのでウェブサイトをチェック

編み物と「再会」したのは10年前、シアトルに来てからのこと。ユニバーシティー・ディストリクトの自宅アパートそばにニッティング・ショップがあり(残念ながら現在は閉店)、興味本位でのぞいてみたのがきっかけだった。毛糸はもちろん、ものすごい種類の編み針が並んでいて、そのほとんどがなじみ深いクロバー製品であったことに驚いた。「編み物業界では日本製がこんなに人気なのか!」と感銘を受け、ついクロバーの「匠」8号輪針とニットキャップの編み図を購入してしまったのだった。

シアトルの人は編み物が好きだと思う。外で編み物をしているとほぼ必ずと言っていいほど声をかけられるし、手編みのアイテムを身に着けている人もよく見かける。日本よりもずっと当たり前に、そして気軽に編み物を楽しむ人が多いような気がする。気候のせいかしら? だって、冬の寒い雨の日にお気に入りのカフェでモカでも飲みながら……なんて想像するだけで幸せだ。

ちなみに、久しぶりに編み針に触れる私に基本の輪編みを指南してくれたのは、当時のアルバイト先で一緒に働く男性だった。今、世界的に手芸が男性の趣味としても注目されているそうだが、その同僚との出会いは編み物に性別なんか関係ないのだと知るきっかけになり、とてもうれしかった。

私の編み物熱をさらに加速させるきっかけとなった著名ニッター三國万里子さんのパターンで編んだアランセーター左上とフェアアイルセーター右母製カーディガンは私と同い年左下母から譲り受けたり古書店で見つけたりした昔の編み物本はどれもリアルなビンテージスタイルが見られるのが魅力

編み物って実はすごくサステナブルな活動だと思う。手編みのニットはとっても暖かくて、暖房代は節約になるし(笑)、丈夫で長持ち。ボロくなったらなったで、糸を解いて編み直すこともできる。母が私を妊娠中に編んだカーディガンを、今私が愛用している。ここ数年、日本でも手編みのざっくりニット(びっくりするほど高価!)が流行っているが、その母製カーディガンは自慢の品だ。このコロナ禍で、実際に編む人は増えているんじゃないかと思う。

毛糸も、オーガニックウールやボタニカルダイ(植物染め)などサステナブルな選択肢がたくさんあり、こだわり出したらキリがない。これ以上語り始めたら止まらなくなるので、今回はこの辺で。私のお気に入りニッティング・ショップは、右記をご参照あれ!

■Drygoods Design

https://drygoodsdesignonline.com

パイオニアスクエアのおしゃれ手芸用品店。併設のワークスペースでは、ソーイング・クラスもある(現在は休止中)。ソーイングがメインのため、毛糸の品ぞろえはそこまで多くはないが、編み物小物などセンスの良いグッズが豊富。

■Little Knits

www.littleknits.com

オンライン販売がメインの毛糸専門店。事前予約をすればソードーの店舗(巨大倉庫?)でのピックアップも可能だ。膨大なランナップを誇り、日本では手に入りづらいブランドの毛糸も手頃な価格でそろうのがうれしい。

■Wool and the Gang

www.woolandthegang.com/en

オリジナル・デザインのニットウエアや雑貨を、オリジナルの毛糸と編み図、編み針など難易度ごとにキットで販売するオンライン・ショップ。手編みニットなんてダサいという概念を覆す、トレンドを意識したプラクティカルなデザインは、初心者にもぴったり。

■We Are Knitters

www.weareknitters.com

キット販売も行っているが、オリジナルの毛糸が特におすすめ。編み針から包装資材に至るまで、サステナビリティーを重視した製品作りに取り組んでおり、毛糸もリサイクル・コットンやバンブーなどバラエティー豊か。キッズ用キットもあるので親子でリンクコーデも。

 

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。