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初心に返りSDGsを考える、の巻 -後編-ゆる〜くSDGsな消費者生活Vol.14

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

前回に続き、サステナブル・ビジネスのコンサルタント、田中めぐみさんから話を聞き、改めて今できること、買い物好きが買い物を諦めない方法を考えてみる。

筆者(以下ひ):最近、ユニクロやH&Mなどのファストファッションを含め、さまざまなブランドがサステナブルな取り組みを打ち出しています(下記参照)。ですが、ファストファッションとサステナビリティーは矛盾するように感じます。

©H&M
H&Mはファッション小売業で世界初となる、店頭での古着回収サービスを2013年に導入。スウェーデンの店舗では、古布がリサイクルされ、新しい製品となる様子をその場で見ることができる

田中さん(以下た):ファストファッションは、低価格で大量に商品を生産・販売するという点でサステナブルとは言えませんが、そうだとしても一律で批判すべきではないと思います。H&MがCSRレポート(企業の社会的・倫理的責任に基づく取り組みをまとめた報告書)を最初に公表したのは2002年と非常に早く、2004年からオーガニックコットンの使用を開始し、2010年にはその使用量が世界一に。あれだけの規模の企業だからこそ成し得たことで、オーガニックコットンの普及にひと役買ったはずです。製品の原料調達から製造、物流、販売、廃棄まで全体を通しての負荷削減にも取り組んでいて、ファッションのサステナブル化を世界的にリードする存在です。また、人々が安い製品を大量に欲し、需要があるから、ファストファッション企業はそれに応えて供給するのです。サステナブルな社会を希求するならば、まずは私たち自身も生活を見直す必要があります。

ひ:調べれば調べるほど、消費とサステナブルな生活の共存が難しく思えてきます……。

た:私たちが生きていくために、消費は不可欠です。現代社会の問題は、その消費の仕方なのです。環境や社会に配慮して作られた製品でも、不要なものを大量消費すればサステナブルではありませんよね。さらに、意義ある物やサービスの消費を増やすことで経済が発展したとしても、地球資源には限りがあり、永遠に成長し続けることはできません。気候変動への影響も懸念されます。ある時点で大きな社会変革が強いられることになるでしょう。

©Toyota
田中さんが今気になるのは、自動車業界だそう。「EV・AV化が進み、100年に一度の大転換期と言われています」。トヨタからはこの春、同社初の量産型バッテリー式電気自動車、「bZ4X」が発売された

ひ:身近なことでは何ができますか?

た:知ることと行動すること、だと思います。まず環境・社会問題について知り、考える。そして足るを知り、不要な物をなるべく買わないようにする。買う場合はその影響にも心を配る、物は捨てずに寄付・交換する、などでしょうか。でも、無理をするとあとで反動が来るので、できる範囲で楽しみながら少しずつ実践してみてはいかがでしょう。また、学び始めると人は考えが偏りがちになります。極端な手法に走ったり、他人に押し付けたりしないように気を付けたいものですね。

ひ:ありがとうございます。これからも楽しく学んでいきます!

田中めぐみ■ニューヨーク在住21年。FBCサステナブル・ソリューションズ代表。慶應義塾大学を卒業後、経営コンサルティング会社勤務を経て渡米。ニューヨーク州立ファッション工科大学卒業の後、2002年米国で起業。環境・社会問題に関する事業・政策のリサーチ・コンサルタントとして、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行う。ハーバード大学エグゼクティブエデュケーション サステナビリティリーダーシップ修了。著書に『サスティナブルシティ ニューヨーク』、『グリーンファッション入門』(共に繊研新聞社)などがある。

■Re. Uniqlo

www.uniqlo.com/jp/en/contents/sustainability/planet/clothes_recycling/re-uniqlo

店頭に設置された回収ボックスでユニクロ製品の古着を回収。個々の状態によって、難民や被災地へ寄付されるか、リサイクル商品に生まれ変わる。

■︎ZARA Used Clothing Collection Program

www.zara.com/us/en/sustainability-clothing-collection-mkt4892.html

ブランド問わず中古衣料・服飾小物の回収を行い、非営利団体と提携しリサイクルする。各店舗での回収のほか、オンライン顧客には自宅からの引き取りサービスも提供。

■︎Patagonia Worn Wear

https://wornwear.patagonia.com

まだ着られるパタゴニアの古着を店頭または郵送にて回収。アイテムに応じてクレジットが付き、次回以降の支払いに利用できる(郵送の場合、送料がクレジットから差し引かれる)。また、中古品の販売も行っている。

■︎Madewell Do Well Program

www.madewell.com/inspo-do-well-denim-recycling-landing.html

ブルー・ジーンズ・ゴー・グリーン™️と提携し、ブランドを問わず古着のジーンズを店頭にて回収。住宅用断熱材に再利用する。同社のジーンズが20ドル引きとなるクーポンと引き換え。

 

加藤 瞳
東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。