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ドウェイン・ジョンソンの熱演が見もの
The Smashing Machine
総合格闘技の先駆者マーク・カーを主人公とした伝記スポーツドラマ。カー役をレスラー出身のドウェイン・ジョンソンが演じている。
本作の元になったのは、2002年のドキュメンタリー『スマッシング・マシン:エクストリーム・ファイター、マーク・カーの生涯と時代』。スマッシング・マシンと呼ばれたカーの目を背けたくなるほど激烈な闘いぶりが記録されている。だが本作はむしろ、カーという格闘技家の私生活や負傷の痛み、ガールフレンドとの争いの絶えない関係、ファイター仲間との友情など、人間的な側面に焦点を当てている。そんなカーを、これまでスーパーヒーローや漫画キャラなどを演じてきたアクションスター、ジョンソンが熱く演じている。9月に開催されたベネチア国際映画祭のワールドプレミアで上映され、銀獅子賞を受賞した。ベニー・サフディが脚本、監督、共同制作、編集を手がけた。
物語はすでに総合格闘技家として活躍していたカーの1990年代後半から2000年までの短い期間を描く。当時、カーは日本の総合格闘技団体PRIDEでの試合に多く参戦していたが、私生活ではガールフレンドのドーン(エミリー・ブラント)とささいなことで衝突を繰り返していた。彼の試合や健康を気に掛けるドーンだが、同時に「子どもも欲しい」「自分にも関心を向けてほしい」という不満を抱えていたのだ。そんなトラブルを抱えつつ、彼は日本の格闘技組織とのミーティングでファイトマネーの低さを訴えるが、日本側から薬物使用を指摘されてしまう。彼はその頃、痛みを抑えるために危険な薬物を使用していたのだ。
その後、カーの親友でコーチでもあったマーク・コールマン(ライアン・ベイダー)の勧めでリハビリ施設に入院。退院後に再びドーンと言い争い、彼女は彼の元を去る。薬物から更生したカーは新たにバス・ルッテン(本人)をコーチとし、連戦連勝を重ねて全盛期を迎えていくのだが……。
物語は彼がドーンと別れたりよりを戻したりを繰り返しながら、戦歴を追っていく。大怪我で入院する場面もあるが、戦友ともいえるコールマンの友情が彼を支える様子や、当時全盛だったPRIDEの試合でエンセン井上(石井慧)や藤田和之(ヨコ・ハマムラ)ら日本人選手と闘うシーンも描かれる。大沢たかおなどもカメオ出演している。
筆者は総合格闘技オンチだが、激烈な闘いをする巨人、超人的な選手たちの舞台裏が丁寧に描かれていて興味深かった。コールマンとのあつい友情や、選手を気遣うルッテンの誠実な姿も印象深い。強さと弱さを併せ持つファイターたち、ジョンソンはまさにはまり役で、演技派として新境地を切り開いた感があった。残念だったのは、映画『オッペンハイマー』で妻役を怪演していたブラントが、ただ感情を爆発させる面倒なガールフレンド的存在として描かれていたことだ。ブラントならもっと複雑な女性の不満を表現できたのではないかと思う。
本人が登場する最後のシーンはファンサービスだろうか。映画の終わり方としては疑問が残った。
The Smashing Machine
写真クレジット: A24
上映時間:2時間3分
シアトル周辺ではシネコンなどで上映中










The Smashing Machine 




