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幸せな結婚に投じられた一石
今年、大作『オデュッセイア』など話題作への出演が続くゼンデイヤとロバート・パティンソンが主演するロマンチック・ダーク・コメディー。結婚を間近に控え、幸せの絶頂にいた二人の行く末を揺るがす「ドラマ」が描かれていく。
舞台はボストン。大英博物館館長のチャーリー・トンプソン(パティンソン)は、カフェで見かけたエマ・ハーウッド(ゼンデイヤ)に一目惚れ、二人はデートを始める。2年後、二人は婚約し、結婚を目前に控えていた。そんなある晩、花嫁介添人のレイチェル(アラナ・ハイム)と花婿介添人のマイク(ママドゥ・アティエ)にある相談をしているうちに、4人はそれぞれ自分がした最も悪いことを告白する流れになる。マイクはメキシコで犬に襲われた際、元カノを人間の盾として使ったこと。レイチェルは「頭の鈍い」近所の少年を廃虚のキャンピングカーのクローゼットに一晩閉じ込めたこと。チャーリーはクラスメートを激しくネットいじめ、その少年の家族が引っ越す一因をつくったこと。そんな黒歴史が次々と明かされる。ところが最後のエマの告白は別格で、皆に強い衝撃を与える。とりわけレイチェルはショックを受けてエマを非難し、チャーリーもエマを擁護しつつ、彼女のことをどれほど知っているだろうかという疑問を抱き始める。結婚式は目前。準備はぎくしゃくした中で進めれ、チャーリーはエマへの不信感から徐々に精神的に追い詰められていく。
ここから先は、弱り果てていくパティンソンの独壇場だ。題名「ドラマ」の持つ英語的な意味合いもにじみ、大げさな反応が際立つ一方で、シリアスなのにどこか笑えるエピソードが続く。パティンソンの演技は本作の見どころの一つだ。『トワイライト』のティーン・アイドルのイメージを脱し、近年は着実に役柄の幅を広げ、去年の『ミッキー17』でも演技派として実力を見せつけていた。
脚本・監督は風変わりな秀作『ドリーム・シナリオ』を手がけたノルウェー出身のクリストファー・ボルグリ。プロデューサーには、特異な映画作りで知られるアリ・アスターやラース・クヌッセンら曲者が並ぶ。幸せな結婚という美しい水面に一石が投じられ、その波紋の広がりを見つめるような作風は面白いが、筆者自身はさほどの衝撃を受けず、ややから騒ぎのような印象を持った。それはエマの告白をどう受け止めるかという、観客の捉え方によるのかもしれない。
エマの告白はある計画についてのものであり、実行されたわけではない。にもかかわらず、結婚式に出席しないとまで言い出すレイチェルの怒りはやや過剰にも映る。むしろ、彼女自身の黒歴史のほうが酷いのではないか、という思いも残った。観客一人一人によって受け止め方が異なる作品なのだろう。観終わったあとに感想を語り合うには最適な映画と言えるかもしれない。
The Drama















