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カナダ連邦議会選挙

10月19日、カナダ連邦下院議員を選出するため第42回総選挙が実施され、70年代前後にカナダの再構築に大きく貢献した故ピエール・トルドー元首相の息子、ジャスティン・トルドー氏率いる自由党が与党の保守党を蹴落とし圧勝、同党首が11月4日新首相に就任した。

首相の座に付くやいなや、G20首脳会議を皮切りに国際舞台にデビューしたトルドー氏は、同27日、マルタ島で行われた英連邦首脳サミット晩餐会において、エリザベス女王の60年以上にわたる王位への祝辞と、その間12代にもわたったカナダ首相とカナダへの支援に感謝し、乾杯の辞を述べた。それを受けて同女王は、「おかげで自分が年を取ったことを実感した」と、冗談で応えて会場を笑わせた。このエピソード、そして政治への前向きなイメージを演出した若くてイケメンな新首相の就任で、久しぶりに世界の目がカナダに注がれている。私にとっては、カナダ移住後初めての総選挙を目の当たりにし、興味しんしんで成り行きを見守った。

簡単に言うと、カナダ議会は元首国王(エリザベス女王)、そして上院と下院から成っており、議会の決定においては小選挙区制の投票によって決まる下院が優位にある。この小選挙区制というのは、例えばバンクーバーの我が住所だと、いわゆるバンクーバー・ダウンタウン地域が選挙区となり、ここから議員(Member of Parliament)1人が選ばれる。

カナダの主な政党は、自由党(中道左派・自由主義)、カナダ保守党(中道右派・保守主義)、新民主党(中道左派・社会民主主義)、ブロック・ケベコワ(ケベック州の地域政党)、緑の党(環境保護政党)がある。今回の選挙で自由党は184議席を獲得、次席のカナダ保守党(議席99)を大きく引き離した。選挙期間は通常の5週間より長い11週間。カナダ人は5週間でも長いと不満を述べているが、選挙の19カ月前にすでに12人以上が立候補宣言をし、今や連日候補者の動向がメディアを賑わしている米国の大統領選に比べれば、うんとリーズナブルに思える。

©APE カナダの新首相 ジャスティン・トルドー氏
©APE カナダの新首相 ジャスティントルドー氏

12月11日、シリアから最初の難民163名がオタワに到着。空港で迎えたトルドー新首相は最初に降機した難民に冬物のコートを差し出し、「ここがあなたの国だよ。もう心配ない」と述べた。米国ではシリアの難民受け入れに多くの政治家がその規制、時には拒否を要求しているのに比し、カナダは2月末までに25,000人の難民を受け入れる案が大きな反対もなく国民にも広く受け入れられている。父トルドーがロック・スターのような人気で世界中から注目された如く、グローバルな認識を持つ新首相はその指導力とカナダの立地を利用して、これからの政治、国際関係に大きな影響を与えてくれるのではと期待している。

[カナダで再出発]

滋賀県生まれの団塊世代。京都産業大学卒業後日本を脱出。ヨーロッパで半年間過ごした後シアトルに。在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務。政治経済や広報文化などの分野で活躍。ワシントン大学で英語文学士号、シアトル大学でESL教師の資格を取得。2013年10月定年退職。趣味はピックルボールと社交ダンス。