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新しい食事ガイドライン、どう読み解く? 「良い点」と「要注意な点」
適切な食生活を送ることは、健康管理に欠かせません。「メイク・アメリカ・ヘルシー・アゲイン(MAHA)」を掲げる米保健福祉省によれば、アメリカ成人の7割以上が体重過多または肥満であり、12歳から17歳の若者の約3人に1人が糖尿病予備軍とされています。こうした状況を受け、米保険福祉省と米農務省は「アメリカ人のための食事ガイドライン2025年から2030年版」を発表しました。
新ガインドラインの発表にあたり、ケネディ保健福祉省長官は、タンパク質、乳製品、野菜、果物、健康的な脂質、全粒穀物など、栄養価の高い食品を中心にし、超加工食品を大きく減らすことが大切だと説明しています。
ただし、専門家の目からみると、一見すると体に良さそうなことが書かれていますが、実は「素晴らしいアドバイス」と「少し首をかしげたくなるアドバイス」が混在している部分もあるそうです。
FLAT・ふらっとの代表理事で、マウントサイナイ医科大学の山田悠史医師に、新たな食事ガイドラインについて、健康のために取り入れるべき「良い部分」と、鵜呑みにしないほうがよい「要注意な部分」を教えてもらいました。
2026年1月にアメリカ政府が発表した新たな食事ガイドライン。野菜や果物だけでなく、肉や乳製品の存在感が目立つ構成になっている(米保健福祉省・米農務省作成)
ここは参考にしたい! ガイドラインの良い点
このガイドラインが推奨している以下の2点は、私たちの健康を守るうえで大正解です。
•「自然に近い食品」を選ぶ
加工されすぎた食品、いわゆる超加工食品や、着色料・人工甘味料などの人工的な添加物を多く含む食品を避け、できるだけ自然に近い「リアルフード」を食べることをすすめています。
• 砂糖は控えめに
食品や飲料に後から加えられる糖、いわゆる添加糖について、1食あたり10グラム以下を目安にするなど、甘いものの摂り過ぎに注意を促している点も、とても良い目標です。
ここは要注意! 鵜呑みにしないでほしい点
一方で、以下の点については、従来の医学的な考え方とずれがあったり、受け取り方によって誤解を招いたりする可能性があるため、注意が必要です。
• 脂質のアドバイスに矛盾が見える(バターや牛脂の推奨)
ガイドラインでは「飽和脂肪酸、いわゆる体に悪い脂は控えましょう」としているのに、その一方で「料理にはバターや牛脂を使い、牛乳は脂肪分を減らしていないもの、つまり全乳を飲みましょう」とすすめています。バターや牛脂をたっぷり使いながら飽和脂肪酸を控えるのは、普通の生活ではかなり難しいでしょう。
心臓や血管の健康を考えると、バターや牛脂よりも、オリーブオイルなどの植物性油を選ぶのが現在の医学の常識です。
• タンパク質を強くすすめすぎている
一般の人に対して、これまでの約1.5倍から2倍ものタンパク質を取るようにすすめています。確かに、筋肉をつけたいアスリートや足腰が弱ってきた高齢者には多めのタンパク質が必要なこともありますが、全員に当てはめるには多すぎるでしょう。
気づかないうちに腎臓が弱っている人が高タンパクな食事をすると体に負担がかかります。また、目標を達成するために牛肉や豚肉などの赤肉ばかり食べると、大腸がんや心臓病のリスクが高まる心配もあります。
なぜ「ちぐはぐ」な内容になっているのか
通常、こうした食事のガイドラインは、専門家が科学的なデータをもとに何年もかけて作成します。しかし今回は科学的な根拠だけでなく、国内の農業や畜産業を重視する政策的な方向性も強く影響していると考えられます。
また、牛などの畜産は温室効果ガスの排出とも関係が深く、食事と地球環境のつながりは近年ますます重要なテーマになっています。そうした環境面への配慮が十分に扱われていない点も、専門家の間で指摘されています。
結論:私たちはどう受け止めればいい?
このガイドラインは、「超加工食品や砂糖を減らし、できるだけ自然に近い食品を選ぶ」という良い部分を、上手に取り入れるのが現実的です。肉やバター、全脂肪の乳製品を、ガイドラインの印象だけで無理に増やす必要はありません。極端な情報に振り回されず、バランスの良い食事を心がけましょう。
FLAT・ふらっとの健康に関する過去のウェビナーは、YouTubeチャンネルアーカイブから視聴できる。www.youtube.com/@FLATjpNY
山田悠史■米国老年医学専門医。マウントサイナイ医科大学、老年医学・緩和医療科所属。臨床医として活躍する傍ら、ニュースメディアや音声コンテンツなど多岐にわたって活動中。『最新科学か覆す 体にいいのはどっち?』(サンクチュアリ出版)など、科学的根拠に基づく健康関連の著書多数。在米日本人の健康と医療を支える「FLAT・ふらっと」の代表理事。X:@YujiY0402


















