がん患者だけでなく、悩める人たちの心身の健康をサポート。現在のアメリカの医療環境で今、私たちができることを探ります。
町の薬剤師さんに聞いてみよう
街角のあちらこちらにあるドラッグストア。今回は薬剤師として働いてきた立場から、その役割や薬について気をつけたいことを説明します。
一番身近な医療従事者は?
アメリカでは薬剤師は一番身近な医療従事者です。薬を出したり、服薬指導をしたり。急な病気やケガの際、市販薬を使ったカウンセリングも行います。さらに患者さんが加入する医療保険会社との連絡や、薬が不正に流通しないようにモニタリングをするなど、仕事内容は多岐にわたります。
処方薬、理解して飲んでいますか?
皆さんは自分が何のために、どのような薬を飲んでいるのか、また服用のタイミングや期間についてきちんと理解できているでしょうか。たとえば抗生剤一つとっても種類は多く、食後に飲むもの、空腹で飲む方が良いもの、ミルクと一緒に飲むと効果が下がってしまうものなど、さまざまです。
また服用中に副作用が出た際の対処法、飲み続けていいのか、すぐに中止すべきかなどのカウンセリングも薬剤師のとても重要な役割です。服薬指導、副作用の説明はもちろん、ドクターの診察を待つ間の症状を和らげる簡単なアドバイスなど,幅広い質問に答えていますので、気軽に薬剤師に相談してください。
ワクチン接種も薬局で手軽に
日本と違い、アメリカでは薬剤師がワクチン投与も行います。薬局では予約なしで接種できる場合もあり、取り扱いワクチンの種類も豊富です。私が居住しているジョージア州では、3歳から薬局でのワクチン接種が可能です。接種ガイドラインは米疾病予防管理センター(CDC)により随時変更されるため、毎年インフルエンザのワクチンを打つ際に、打ち忘れがないか薬剤師に確認してもらうことをお勧めします。
家庭に用意しておくべき常備薬
急な頭痛や風邪症状の緩和、軽いケガの際に備え、ある程度の常備薬があると安心です。頭痛には解熱鎮痛剤(Tylenol/Advil)、風邪薬には総合風邪薬(DayQuil/NyQuil)。ケガには消毒薬(Wound Spray)や絆創膏、化膿止めには抗生物質軟膏(Neosporin)が便利です。体温計も家庭に常備しておきましょう。
処方された薬が保険でカバーされないときは?
医師は診察時に患者さんに最善の薬を処方しますが、保険でカバーされない場合があります。アメリカの保険は複雑で、各保険会社でカバーされる薬のリストが異なります。ブランド薬だから適用外というわけでもありません。
そのようなときは、自己負担で購入するか、薬剤師を通じて保険適用のある代替薬に変更する、あるいは医師が保険会社へ申請して特例承認を受ける、という対応が考えられます。主治医と同様に信頼できる薬局を決めておくことで、医師と薬剤師が連携し薬の飲み合わせや副作用を適切に管理してくれるため、安全で最適な治療につながります。
不要になった薬の廃棄方法
家庭の救急箱やキャビネットには市販薬や処方薬が意外と多く眠っているかもしれません。アメリカではバスルームに薬用キャビネットがある家庭も多いですが、湿気は薬の保存に適さないためバスルームでの保管はお勧めしません。
まずは年に一度、市販薬・処方薬の棚卸しをしましょう。期限切れの薬は効果が落ちるだけでなく、腎臓や肝臓に負担を与えることもあります。潔く廃棄しましょう。
大手チェーン薬局では、薬局のカウンターの外に薬の回収ボックスが設置されています。液体薬はジップロック等に入れ、漏れないようにして投入してください。容器に名前など個人情報が記されている場合は、ラベルを剥がすかマーカーで消しましょう。
なおインシュリン注射針、EPIPEN(エピネフリン自己注射薬)、血糖測定用LANCETS(穿刺針)などは回収ボックスには入れず、専用容器 SHARPS(針・鋭利廃棄ボックス)を使用します。自治体で定期回収が行われているため、廃棄方法を各機関に確認してください。
タリム景子■米国薬剤師。2007年にオレゴン州で薬剤師免許を取得後、病院、製薬会社、ホスピスなど多様な現場で経験を積む。現在はジョージア州アトランタの薬局で町の薬剤師として地域医療に携わる。病気にならない、お薬に頼らない体づくりをめざし、アロマセラピスト資格を取得し、Functional Medicine(機能医学)に関する専門トレーニングを受講している。


















