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「FLAT・ふらっと」へ活動の場を移行〜私たちの命を守るヘルスケアVol.32

がん患者だけでなく、悩める人たちの心身の健康をサポート。現在のアメリカの医療施設で今、私たちができることを探ります。

「FLAT・ふらっと」へ活動の場を移行


こんにちは、「FLAT・ふらっと」代表のブロディー愛子です。いつも本コラムをお読みいただきありがとうございます。
2013年より在米日本人女性のがん患者とサバイバーを支援してきたJapanese SHAREですが、母体であるアメリカのNPO、SHAREキャンサー・サポートの運営資金がないことを理由に、この3月で活動を打ち切られました。4月からは新たに、非営利団体「FLAT・ふらっと」として活動を始めています。
Japanese SHAREでこれまで支援を行った日本人がん患者女性の過半数は、夫のアメリカ赴任に帯同して渡米した方々です。異国の英語環境に不慣れな中で仕事が忙しい夫を支え、子育てを担っていました。また、日系企業に現地採用された社員の方々もおり、米国の一般的な企業と比べ、がん治療と就労の両立はまだまだ困難なのが現状だと感じさせられました。ほかに、自身が駐在員という方からも連絡を受けますが、その大半は治療のためにアメリカで仕事を続けられなくなるのではないかとの不安を抱えていました。
日本からの短期滞在者が入っている比較的良い健康保険プランだと、種類によっては患者を病院や医師につなぐところまでのサポートをしています。しかしながら、現地に住んでいないナビゲーターが選んだ病院に、日本の医療機関がそろえた資料を手に問い合わせても、情報不足のために予約すら取れないことも。困り果てた方から連絡をもらうことも少なくありませんでした。アメリカでは実際に病院の世話になってからわかることがたくさんあるのです。
このような方々へのサポートを継続していくため、長島・大野・常松法律事務所ニューヨーク・オフィス共同代表の大久保涼弁護士の賛同・協力を得て、在米日本人の健康と医療を支えるコミュニティー作りをミッションとするFlatJP Inc.を設立し、非営利団体「FLAT・ふらっと」を立ち上げました。具体的なプログラムは、次の通りです。
婦人科がん患者のサポート
本コラム執筆も行う婦人科腫瘍専 門医の鈴木幸雄医師と、企業研究 者で患者アドボケートの清水佐紀 氏が担当

女性限定・転移がん患者のサポート
「FLAT・ふらっと」代表、ブロディー愛子が担当

乳がん患者のサポート
本コラムでもおなじみ、乳腺専門医 の田原梨絵医師が協力

その他のがん患者のサポート NEW
乳がんと婦人科系がん以外のがんに罹患した方への支援もスタート

シニアへのサポート NEW
老年科専門医の山田悠史医師による

特別支援を必要とする子どもを持つ保護者のサポート NEW
全ての子どもたちに向け療育環境を整えるアドボケートの倉本美香氏による

これらのプログラムでは、サポートミーティングなどを定期開催するほか、在米日本人向けのセミナー(ウェビナー)も企画中。この5月には、ニューヨーク日系人会にてキックオフ・イベントを開催し、無料セミナー「子育てや療育の悩み、何でも座談会」「シニアとがん」「認知症を防ぐ9つの方法」には、オンライン含め大勢の参加がありました。今後の活動やイベントについての詳細はウェブサイト(www.flatjp.org)をご覧ください。2017、2019年に日本から多くの医療者やアドボケートがニューヨークの医療現場を視察した「ニューヨーク医療視察ツアー」と、2021、2023年にオンラインで実施したセミナー「日米の視点から見る、患者と医師の関係」の継続も計画しています。
さらに、これまで米国で対象外にされてきた在米アジア人への医療研究や、医療格差をなくすための働きかけも行っていく予定です。そして、女性を対象とした内容が中心だった本コラムも「私たちの命を守るヘルスケア」とタイトルを変更し、リニューアルしました。健康や医療に関する情報をこれまで以上に幅広くお届けできたらと考えていますので、引き続きよろしくお願いいたします。
ブロディー愛子■「FLAT・ふらっと」代表。患者アドボケート。乳がんサバイバー。2013年に日本人の乳がん患者のためのサポート団体、Japanese SHAREを設立。ライフコーチ、アーキタイパルコンサルタントとしても活動。

2013年から続く乳がん・婦人科がん患者サポート団体のJapanese SHAREが、2023年4月1日より、ニューヨークを拠点とした非営利団体、FLAT・ふらっとに活動の場を移行。乳がん・婦人科がんのほか全てのがん患者、高齢者、スペシャルニーズのある子どもの保護者を対象とし、在米日本人コミュニティーを健康と医療の面から支える。