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アメリカで初めて医師に診てもらう際の準備

女性の命を守るヘルスケア Vol.17

アメリカ生活中に乳がん、卵巣がん、子宮がんを経験する患者の心に寄り添い、悩める女性たちをサポートするSHARE 日本語プログラムによる寄稿シリーズ。現在のアメリカの医療制度で今、日本人の私たちができることを探ります。

第17回 ​アメリカで初めて医師に診てもらう際の準備

今回はアメリカで初めて医師にかかるときに知っておくと良いポイントを紹介していきたいと思います。

アメリカでは、プライマリー・ケア医(かかりつけ医)と言われる一般診療医をあらかじめ決めておく方がほとんどです。プライマリー・ケア医は一般的な検査・治療を行いますが、専門的な検査・治療が必要なケースでは、専門機関や専門医を紹介されます。

アメリカであなたの健康状態を知り、記録を管理する医師がいることは重要です。急に専門医が必要になり、プライマリー・ケア医を探してリファーラル(紹介状)を出してもらうのは、時間もかかれば余計なストレスにもなります。

一般診療医に限らず、医師に初めて診てもらうとき、事前に準備しておくべきことがあります。まず、健康保険カードは必ず持参してください。健康保険加入者は誰なのか、配偶者の勤める会社から提供される健康保険に家族として追加されているのか、それとも個々に加入している健康保険なのかを知っておきましょう。加入者の生年月日や電話番号ほか、勤務先情報、ソーシャル・セキュリティー番号が必要な場合がありますので控えておくと安心です。また、専門医に会う場合は、プライマリー・ケア医からのリファーラルを持参します。

病院ではまず、受付でフォームを渡され、記入を促されることがありますが、初診時は特に量が多いため、予約時間より15分ほど早く来るように言われます。最近はタブレットを利用するところもあります。記入項目は、持病や既往歴、これまで受けた手術や検査をした年と月、接種したワクチン、アレルギーの有無、服用中の薬やサプリメントとその期間、緊急連絡先、処方された薬を受け取る薬局など、たくさんのチェック項目があります。すぐに記入できるように準備をしておきましょう。また、親族の病歴と罹患時の年齢を聞かれる場合もあるため、事前に親族に確認すると良いでしょう。もし日付など、はっきりわからない箇所があれば、受付でフォーム提出の際に伝えます。

血液検査や画像診断の結果は、プライマリー・ケア医にも送ってもらうようにしてください。医師間の情報共有は、今後の治療にも関係してきますし、飲み合わせの悪い薬が処方されるなどのトラブルを防ぐことにもなります。今では検査結果をオンラインで共有して見られるようになってきているので、それを医師にファイルしてもらうのも良いかもしれません。

アメリカでは、患者は自分の診断を母国語で聞く権利があります。予約の際、診療時に通訳をつけてもらうように依頼しましょう。通訳は立ち会いの場合と、電話やオンラインなどによる対応の場合がありますが、通訳料を別途請求されることはありません。ただし、これはどの病院でも対応しているわけではないので、通訳をつけてもらえない時は、英語の堪能な方に電話などで一緒に診断を聞いてもらえると心強いでしょう。

そして、診察後は料金をその場で支払わずに、必ず請求書を郵送してもらうようにしてください。アメリカの医療請求書の約80%が間違っているという話もあります。請求内容に誤りがないかをよく確認し、腑に落ちない場合は保険会社に問い合わせ、その金額がなぜ健康保険でカバーされないのかを確認してください。

バランス・ビル(差額請求)やサプライズ・ビル(高額請求)もあります。特に後者では、健康保険のネットワーク外の医師にかかると、思いもよらない額を請求されるケースが見られます。これは州によって法律が異なります(www.commonwealthfund.org/publications/maps-and-interactives/2021/feb/state-balance-billing-protections治療費が高額になり支払えない、生活への負担が大きいという場合は、ソーシャルワーカーや看護師に相談して病院内の担当者につないでもらい、なるべく無理のない支払い方法を検討してもらってください。

がんのような大病の診断では、患者サポート団体に問い合わせることでいろいろな情報を得られます。また、病院内でさまざまな病気のサポート・ミーティングを開いているところもあります。事前にこうした知識があると、アメリカでも慌てることなく受診に臨めるでしょう。


SHARE 日本語プログラム

ヘルプライン:☎347-220-1110(月~金6am~2pm)
問い合わせ・患者サポートミーティング申し込み:​admin@sharejp.org
詳細:https://sharejp.org

1976年にニューヨークでスタートした非営利団体のSHAREキャンサー・サポートが母体。同団体の正式日本語プログラムとして、アメリカで暮らす日本人、日系人の乳がん、卵巣がん、子宮がん患者およびその家族の精神的不安を取り除くためのピアサポートと、アメリカの最新医療事情を日本語で提供する。

1976年にニューヨークでスタートした非営利団体のSHAREキャンサー・サポートが母体。同団体の正式日本語プログラムとして、アメリカで暮らす日本人、日系人の乳がん、卵巣がん、子宮がん患者およびその家族の精神的不安を取り除くためのピアサポートと、アメリカの最新医療事情を日本語で提供する。