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日本と違うアメリカの大学の仕組み

日本とは全く異なるアメリカの大学事情を専門家がわかりやすく解説!
現地校生にもアメリカ留学希望者にも役立つ情報がたくさん。

日本と違うアメリカの大学の仕組み

専攻は入学してから決める

アメリカの大学では、専攻を入学後に決めることができます。日本のように、学部を選択して受験することは、アメリカではまれです。大学1、2年生の時に一般教養のクラスを取り、3年生で専攻を決め、3、4年生に専攻科目のクラスを受けるのが主流。一般教養のクラスは、人類学、哲学、文学、心理学、国際学、コミュニケーション学、物理学、生物学、政治学、地形学、数学、経済学、統計学、栄養学、さらにアートや音楽などまで、幅広い選択肢がそろいます。最初の2年間でこれらのクラスを取り、自分が興味を持つ分野を見つけてから専攻を決めます。

日本では偏差値で学校のランク付けがありますが、アメリカに偏差値は存在しません。各自の情報を元に大学のランク付けをしているサイトもありますが、アメリカ人はあまりランキングにこだわりません。大学を選ぶ基準は、専攻したい分野に力を入れているか、奨学金をもらえるかなど、個々で違ってきます。それは、就職時に出身大学ではなく、勉強内容やインターンシップでの活躍が重視されるから。日本のように新卒が一斉に就活し、新人研修を受け、会社が決めた部署に配属されるという仕組みがないのです。アメリカでは会社の各部署に直接申し込み、採用後すぐに配属されます。たとえば、経理に携わりたいなら、経理学を専攻し、経理関係のインターンシップ後、希望の企業の経理部へ求職することになります。そこで、専攻が重視されるわけです。

別の大学への編入は一般的

日本では卒業まで同じ大学に在籍しますが、アメリカでは、途中で別の大学に編入することはよくあります。オバマ前大統領がカリフォルニア州のオクシデンタル大学からニューヨークのコロンビア大学へ編入したことは有名ですね。将来の目標が決まっている高校生は多くないので、大学に入って最初の2年間で一般教養のクラスを取る間に専攻を決め、その分野に力を入れる大学を選び直して編入できるのです。授業料の安い地元のコミュニティー・カレッジに2年間通い、その後専攻にかなう4年制大学へ編入していく学生も多く見られます。

アメリカの大学間では同様の内容とレベルであれば、単位移行も楽にできます。編入をしなくても、単位移行は1クラスのみでも可能です。たとえば、在籍する大学でコンピューター・サイエンスは3つ連続してクラスを取らないといけない場合、秋学期に最初のクラスが取れないと次に進めず、翌年まで待たないといけません。一方で、同じ内容とレベルのクラスが履修できるコミュニティー・カレッジを見つけて、そこで1クラスだけ取ることも可能です。卒業に必要なクラスがあり、待たないと卒業が延びてしまう場合も、大学に在籍したまま別の大学でクラスを1つ取ることができるのです。これは「Concurrent」と呼ばれ、留学生の場合も、在籍する大学が発行したI-20はそのままで、別の大学のクラスが取れます。取り終わった後にそのクラス分の単位を移行します。

単位取得方法はフレキシブル

アメリカの大学は単位制ですので、卒業に必要な単位を取得でき次第、その学期に卒業することができます。日本の大学のように足りない場合はもう1年在籍しなければならないということもありません。 一般的には4年で卒業する仕組みですが、夏にクラスを取ったり毎学期多めにクラスを取ったりしていくと、早めの卒業も可能。また、途中での専攻変更もよくあることですが、取るべきクラスが変わってくるので、卒業時期も変わる可能性が出てきます。もし、2つの分野に興味がある場合は、ダブルメジャーと言って、専攻を2つ選ぶこともできます。その場合、通常よりも取るべきクラスが増えるので、卒業に少し時間がかかるかもしれません。

ダブルメジャーでは時間がかかり過ぎるという場合は、1つをメジャーにしてもう1つをマイナーにする、という選択もできます。たとえば、コミュニケーション学に興味があるけれど、芸術にも興味があるのでメジャーをコミュニケーション学、マイナーを芸術に、という具合です。どの学期に学位を取得しても、卒業式は春学期の終わりの5月もしくは6月にあり、その時期に出席することができます。

クローチ 貴子
2011年よりアソシエイト・ディレクターとしてエドモンズ・カレッジにて勤務。1999年に夫、1歳半の息子とアメリカ移住。子育てに専念した後、息子の中学入学を機に以前から興味のあった教育分野へ。現在は入学から進路、イミグレーションのアドバイザーを務める傍ら、日本文化クラブのアドバイザーとして日本文化を学内や地域に広めようと学生たちと共に活動中。