正しい呼吸法で健康改善！〜シアトルの知恵ノート

シアトルの知恵ノート

シアトルで活躍するさまざまな専門家の方に、知っておくと暮らしが豊かになるヒントを聞きました！

正しい呼吸法で健康改善！

アメリカでは新型コロナウイルスのワクチン接種が順調に進み、少し肩の荷が下りた気持ちの方も多いことでしょう。今後もウイルスに負けない強い体作りのために意識したいのが、呼吸法です。鼻呼吸と口腔衛生がどのように関係しているのか、正しい知識を身に付けましょう。

知っていた？ 鼻呼吸の優秀なメカニズム

皆さんは鼻詰まり、ぜんそく、アレルギー、口の渇きと口臭、歯並び、疲れ、いびき、イライラ感などの悩みを抱えていませんか？ その解決へのカギは、鼻呼吸にあるかもしれません。

鼻の中にある粘膜は、空気を通すためのフィルターの役割を果たしています。肺に到達する前に、体に悪影響のある「ばい菌」の3分の2が鼻でブロックされるのです。それ以外にも、ぜんそくの原因となるダニやほこりの粒子もろ過されます。つまり、喉の乾燥の原因になる口呼吸をやめて正しく鼻呼吸をすることで、体は適切な呼吸量を保ち、ぜんそくやアレルギーをコントロールできます。さらに睡眠の質や活力、体重減量にまで影響してきます。体とはよくできていると思いませんか？

口呼吸が引き起こす危険性

何らかの原因で口呼吸をするとどうなるでしょう？ 鼻でフィルターをかけるべきものが全て体に直接入ってしまい、病気になりやすくなります。新型コロナウイルスもそのひとつです。

唾液は口内に抗菌効果をもたらします。口呼吸を続けることで唾液の出が悪くなると、口の粘膜が乾き、ばい菌が増え、虫歯や歯周病が進みやすい環境になるのです。また、赤ちゃんの時から口呼吸を続けると、顔面の成長や歯並びに良くない影響が出てきます。本来は健康で明るい顔になる要素があるにも関わらず、疲れたような悲しい顔つきに育つ可能性が高くなります。外見だけではなく、おねしょ、集中力が欠落し感情的になる、ADHD（注意欠陥・多動性障害）、偏食、いびき、アレルギー、中耳炎などの原因になることもあります。

これを放置したまま大人になると、目の下のクマ、長く伸びたような顔、顎の発達不全による呼吸器の問題、慢性の疲れやイラつきのような症状が起きます。さらに、いわゆる無呼吸症候群になる可能性もあり、睡眠中に酸素を送りこむシーパップ（CPAP）という機械の装着を余儀なくされてしまいます。残念なことに私の身近にも、無呼吸症候群が原因で若くして亡くなった方がいます。

気体バランスを保つ救世主

ここまでで、鼻が私たちの健康を保つために、とても重要な器官であることを説明してきましたが、鼻にはもうひとつ、とても大事な役割があります。一酸化窒素（以下NO）という気体について聞いたことはありますか？ NOは副鼻腔という鼻の裏にある場所で作られ、肺に吸い込まれます。そして肺が酸素を取り入れるのを助け、体に十分に行きわたるようにしてくれます。生まれてたった1時間の赤ちゃんに存在することからも、いかに人間にとって大切な気体であるかがわかります。

体の至るところで見られ、殺菌作用や抗炎症作用のあるNOですが、多いほど良いのかと言えば、そういうものでもありません。体内にある気体は、常にバランスが取れていることが大切です。常時口呼吸をすることはNOのバランスを崩すため、二酸化炭素が増え、健康やIQに害を与えます。