シアトルの知恵ノート
知っておくと暮らしが豊かになるヒントを、シアトルで活躍するさまざまな専門家の方に聞きます。
AI時代を生きる子どもたちが養うべき「非認知能力」
学力やIQでは測れない「非認知能力」に今、世界中の教育関係者が高い関心を寄せています。現代を生きる子どもたちに、私たち大人が伝えておきたいこと。目には見えない力を育む教育が、これからの未来を変えていく鍵になるはずです。
おひさま学習幼稚園
アレン聡子■STEAMインストラクター、子育てアドバイザー、ライフコーチなどの資格を生かし、保育に多角的な視点で取り組む。常に「子どもにとって最善の教育とは何か」を問い続け、日本語教育、STEAM、そして グーグルの託児所でも取り入れられているレッジョ・エミリアに近い教育法(探究型・子ども主導・ドキュメンテーション重視)を融合しています。非認知能力の育成を重視し、世界の教育関係者から関心を集める取り組みを行っている。
Ohisama Preschool
12512 SE. 52nd St., Bellevue, WA
ohisamagyouchien@gmail.com
www.ohisamayouchien.com
AIができないことって何?
「人間らしさ」を育てる教育へ
「人間らしさ」を育てる教育へ
「将来、人間にはどんな仕事が残っているんだろう」「AIにできないことを見つけないといけないよね」。偶然耳にした高校生の会話から、若者たちが直感的に感じている時代の変化がにじんでいました。実際、記憶や計算、知識の処理といった領域では、すでにAIが人間を上回る精度とスピードを発揮しています。では、どんな力がこれからの時代に必要とされるのでしょうか? その答えの一つとして、2000年代中頃から世界中の教育関係者たちが強く発信している「非認知能力を育てることの重要性」があります。これは、共感力や粘り強さ、創造性、協調性、自制心など、いわゆる「人間らしさ」に関わる力のこと。日本の学習指導要領にも「生きる力を育てる」という言葉が盛り込まれており、それがまさに非認知能力なのです。
社会は今、AIの進化、気候や経済の不安定さ、分断と対立の拡大など、かつてないスピードで変化しています。そんな中で必要なのは、与えられた問いに答える力よりも、自分で必要なことを見つけ問いを立て、他者と協働しながら柔軟に動く力です。つまり「どれだけ知っているか」はAIの領域。私たち人間には、「どう人とつながり、どう進み続けるか」という力が求められているのです。
そのカギとなるのが幼児期。脳の発達が著しい0歳から5歳の間にどんな言葉をかけられ、どんな体験をするかが「その子らしさ」の根を育てます。非認知能力は教科のように教え込めるものではなく、感じ、迷い、選び、模索する中で育っていきます。社会はどんどん便利になっています。ボタン一つで情報もモノも手に入る時代です。一方で、教育は今も「大人が必要と思うことを、決められた手順で教える」という体制から抜けきれていません。もちろん、基礎的な知識やスキルを教えることはとても大切です。ただ、それだけでは、これからの時代を生き抜く力は育たないのです。
非認知能力を育てるために、大人にできること
とはいえ、非認知能力を育てる教育は簡単ではありません。成果が見えにくく、時間がかかり、正解が一つではないからです。整えられた「良い環境」の中では、子どもたちは大人の期待通りに動けるようになるかもしれませんが、自分で気づき、考え、動くという、想像する力は育ちにくくなってしまいます。教えられたことはすぐに役立つかもしれません。でも、自分で見つけたことやその過程で得た学びは、一生の力になります。
今は、想像することを許容するだけの、頭の中の「余白」を子どもの育ちの基盤としてどう育んでいけるかが問われている時代です。最近は「子どもに選ばせる教育が大切」と言われますが、「選べる自由」を与えるだけでは足りません。他者との違いに寄り添うような経験がなければ、対立や孤立を生んでしまうこともあります。選んだ理由を言葉にする、相手の選択を受け止める、そんなやり取りが非認知能力を育てます。
幼児期は、親や保育者とともに「人としての土台」を創る貴重な時期。特別な教材がなくても、「どう思った?」「相手はどう感じたかな?」と声をかけることで、伝える力・聴く力が育ちます。この力は、幼児期には目立たずとも、小学校の中・高学年頃から、学習面にも大きな違いとなって現れてきます。説明をしっかり聞き取り、意味を理解し、自分の考えとして整理できる。分からないことを「分からない」と言葉にできる。失敗しても立ち止まらず、工夫しながら続けていける──そんな学び方の質が、非認知能力を土台とすることで変わってくるのです。また、「今はこれを優先させよう」と気持ちを切り替え、物事を先延ばしせずに行動に移せるかどうかには、自律心や実行力といった「内から湧き上がる動機」が大切です。「自分はできる」と信じる自己肯定感が備わっているかどうかも大きく影響します。特に、小学校高学年から高校にかけて飛躍的に伸びていく子には、こうした見えない力がしっかり根づいていることが多いのです。
非認知能力はただの教育用語ではなく、生身の人間しか持ちえない「人間らしさ」そのものです。子どもたちの未来を明るいものにするために、私たちが伝えていくべきことは何か。皆さんが考えるきっかけになれば嬉しいです。
子育てメール相談
ベルビューのおひさま幼稚園では、メールにて「非認知能力開発個別カウンセリング」(無料)の参加申し込みを受け付けています。子育てアドバイザーとライフコーチの資格を持つスタッフが、丁寧に対応いたします。


















