新型コロナウイルス感染症と妊娠・出産（後編）〜シアトルの知恵ノート

シアトルの知恵ノート

知っておくと暮らしが豊かになるヒントを、シアトルで活躍するさまざまな専門家の方に聞きます。

新型コロナウイルス感染症と妊娠・出産（後編）

前編では、妊娠中の女性が新型コロナウイルス感染症に罹患すると重症化しやすい理由と、モデルナ社とファイザー社によるmRNA（メッセンジャー・アール・エヌ・エー）ワクチンは胎盤や母乳へ届く可能性が低く、妊婦にも推奨されていることをお伝えしました。後編では、ワクチン未接種の場合の対応策と、コロナ下の妊婦の通院・入院事情などを紹介します。

妊娠中にワクチン接種をしない場合

妊婦のワクチン接種の安全性と効果については実績があり、受けなかった場合の重症化率や死亡率を考えると、もっと多くの妊婦の方にワクチン接種を受けてもらいたいというのが本音です。しかし、新しい仕組みなので、長期的な安全性が証明されていないとして不安を持つことはあるかもしれません。

そうした理由などでワクチン接種を受けない場合、特に気を付けてマスクを着用し、対人距離を保つ、屋内外での密を避ける、同居する家族などには全員にワクチン接種を受けてもらうなどの対策を取ってください。

ワシントン大学では、長期的な安全性を追跡調査するために、妊娠中や産後にワクチン接種をした人たちの登録を行っています。英語のサイトですが、研究に協力したい方は専用ページ（https://redcap.iths.org/surveys/?s=87JFRCL8R8）から情報を登録できます。

コロナ下における妊娠・出産で通院はどうなる？

病院での新型コロナ感染対策も流動的に変化しています。パンデミック中、産科外来、超音波検査、出産入院施設、ハイリスク・コンサルタントのオフィスなどでは、家族やドゥーラなどの付き添いが引き続き制限されています。昨年などは誰も付き添えず、ひとりで出産するという状況もありました。最近では、ワクチン接種完了者1人のみ付き添い可とするケースが多いようです。それでも変異ウイルスのデルタ株や、オミクロン株などの出現により、再び付き添いの制限を強化する施設もあります。

病院の予約の際、現在はどんな対策を取っているのか再確認しておきましょう。お産の入院時にはPCR検査を行い、結果がわかるまで部屋から出ないよう要請される場合もあります。病院内でもワクチン接種をしていない人は一定数存在し、心配する方もいるかと思いますが、ワシントン州では10月から医療従事者のワクチン接種がほぼ義務化されましたので、今後は通院の安全性も高まると予想されます。

なでしこクリニックはパンデミック宣言直後からしばらく休診していましたが、現在は感染対策を講じながら妊婦検診を再開しており、並行してテレヘルス（遠隔診療）も行っています。

メンタルヘルスにも気を配って生活を

大人はリモートワーク、子どもたちはオンライン授業と、家にこもる時間が1年半以上続きました。その結果、心の問題が多くなり、カウンセラーなどは予約待ちの状況です。家族が常に一緒にいるので、夫婦間の緊張、葛藤が増え、DV（家庭内暴力）の被害も増加しています。また、子どもでもうつや不安症状が出ることがあり、思春期の摂食障害などが心配されます。普通に問題なく過ごせたと思っていても、対面の授業や仕事の再開を経て急に気持ちが晴れやかになり、これまでのストレスを実感したと言う人もいます。

他人との接触を避けても、外に出ることはできます。ハイキングへ行ったり、近所を散歩したりと、自然に触れることは精神衛生上とても良いことです。運動も大切。感染が心配でスポーツジムに行かなくなった人も、家で動画を見ながらヨガをしたり、子どもと歌ったりゲームをしたり、気晴らしを工夫しましょう。

 

ワシントン州居住者および就労者は、ビザ・ステータスや市民権、保険の有無にかかわらず、対象年齢であれば誰でも新型コロナウイルス（COVID-19）ワクチンを無料で接種することができます。

⃝ワシントン州保健局からのCOVID-19およびワクチン日本語情報

www.doh.wa.gov/Emergencies/COVID19/Japanese

⃝ワクチン接種予約が可能な医療機関の検索はこちらから

https://vaccinelocator.doh.wa.gov

問い合わせ：COVID-19情報ホットライン ☎1-800-525-0127