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社会人生活がスタート〜科学者JJの就活日記Vol. 4

これにグローブが追加で
フル装備となる

前回も書いた通り、製薬会社に新卒で入ったのは2021年6月のことでした。緊張はあったものの、課題や試験に追われる学生生活からやっと解放された喜びのほうが大きかったのを覚えています。今回はそんな社会人1年目を振り返っていきます。

まず、僕がこの会社で採用されたポジション、プロダクション・ケミストの仕事について説明します。新型コロナウイルスやHIV(ヒト免疫不全ウイルス)などの疫病の有無を検知する診断機器を開発していた会社だったので、僕らケミストはラボでそれらに必要な化学溶液・化学混合物を生成するのが役目でした。少しのズレで患者の偽陽性・陰性が出てしまう可能性があるため、ラボの中ではとにかく無菌の環境をキープすることと、丁寧に仕事をすることが求められました。夏でも長ズボン、全身を覆う白衣、ヘアカバー、シューカバー、実験用グローブに実験メガネと常にフル装備で、ラボに缶詰となります。

そう聞くと、大変そうな仕事だなと思うかもしれませんが、実際はかなり楽でした。と言うのも、僕の所属していたチームはマネジャー1人、化学者6人の少人数体制で、タスクさえ終われば良いスタイルだったため、タイムカードもなし。多くの製造は午前中に終わらせる必要があり、朝は早めの7時半出勤でしたが、その分、午後2時半前後には帰宅できていました。

1日の流れとしては、(1)前日に準備しておいた製造のプロセスを朝から始める、(2)途中で待ち時間が発生するため、30分ほどコーヒー休憩、(3)重要な工程を終わらせ、午前11時頃までにはひと段落、(4)昼食休憩を1時間〜1時間半ほど、(5)関連書類の見直しと後片付け、(6)翌日の準備、(7)午後2時にマネジャーとミーティング、(8)帰宅、というもの。休憩を除いた労働時間は1日平均5時間程度で済みました。

もちろん、仕事中は集中力を要しますし、製造物によっては長時間拘束されることもあるのですが、それらを考慮してもストレスのたまらない環境でした。やりがいもあり、同僚も良い人ばかりで楽しい仕事ではあったのですが、いくつかの理由により転職を考え始めたのが2022年1月。次回はこの転職体験談をシェアしたいと思います。

JJ■1999年生まれ。韓国出身。5〜19歳を日本で過ごし、19歳からシアトル郊外にて暮らす。ワシントン大学卒業後、製薬会社で化学者として働く。