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第6回 感染症から身を守る〜Dr. 松浦の診察室から

小児科医が臨床経験と知見をもとに、子育て中の皆さんの不安や迷いに寄り添う情報をお届けします。

第6回 感染症から身を守る

子どもの健やかな成長を見守る中で、「感染症から体を守る」ことは欠かせません。秋から冬にかけては、インフルエンザやRSウイルス、ライノウイルスといったさまざまな上気道感染の原因となるウイルスが流行することが予想されます。冬に感染症が広がりやすいのは、気温の低下や乾燥によってウイルスが活発になるためです。
ここでは、2025年10月現在注目されている感染症を例に、家庭でできる予防のヒントを紹介します。
最近注目される感染症・流行の傾向
麻疹(Measles):小児ワクチンで防げる感染症ですが、国内外で集団感染がたびたび発生しており、対策強化が呼びかけられています。最近もアメリカ国内で集団発生が報告されました。麻疹は感染力が非常に強く、空気感染する点が特徴で、同じ空間にいるだけで感染するリスクがあります。感染すると高熱や全身の発疹のほか、脳炎など重い合併症を起こし命に関わる場合もあります。ワクチン接種率の低下が近年の集団発生の大きな要因といわれています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19):アメリカ国内では8月以降、感染者の増加が報告されています。新たな変異株が出現しており、その一つである「ニンバス(Nimbus)」は特に激しい喉の痛みを引き起こすことがあるとされています。
子どもも大人も、みんなでできる予防・感染対策の基本
ここからは、感染症を予防するための方法を説明します。
1.推奨されるワクチン接種を受ける
感染症予防に対する社会的な関心が高まる中、ワクチン接種によって予防できる感染症は数多くあります。多くの研究からも、死亡率や後遺症を減らす効果があることは揺るがない事実です。小児健診で定期予防接種をきちんと受けましょう。子どもだけでなく、高校・大学進学や就職の際に必要となるワクチンもありますので、定期的に医師に確認することが大切です。
2.日常の衛生習慣を徹底する
手洗い:石けんやハンドソープを使い、20秒以上かけて洗うことが推奨されています。特に食事前、トイレ後、帰宅後は必ず手洗いを心がけるようにしましょう。
こまめな消毒: 鼻水を拭いた手で触ったような扉や机にもウイルスは存在します。アルコール消毒は多くの細菌やウイルスに効果的とされていますので、おもちゃ、手すり、ドアノブなどよく触れる場所をこまめに消毒しましょう。
3.マスク着用や換気をする
マスク:咳で飛んだウイルスは数メートル先まで到達し、長時間空気中に漂うことがあります。風邪の症状があるときや、流行期の人込みではマスクを着用しましょう。
換気:特に多くの人が集まる場では、窓をこまめに開けるなどして空気を循環させ、空気感染のリスクを下げましょう。
4.体調管理を万全にする
睡眠:極端な睡眠不足(6時間未満)と感染リスク増加に関連があるという論文も報告されています。大人であれば最低7時間以上の適切な睡眠時間を心がけましょう。
栄養:栄養と免疫の関係も重要視されており、特定のビタミン不足と感染リスクの関連を示すデータもあります。無理にサプリメントを取る必要はありませんが、日頃からバランスの取れた食事を意識しましょう。
5.集団生活のルールを守る
園や学校、職場は感染が広がりやすい環境です。施設ごとの感染対策ルールを理解し、体調不良時には登園・登校や出勤を控えましょう。
6.最新情報を常に把握する
住んでいる地域の自治体や保健所の発表をこまめに確認し、流行中の感染症やワクチン情報を把握しておきましょう。特定の感染症の流行が拡大しているときは、人混みを避けるなど予定を柔軟に変更する判断が自分や家族を守ることにつながります。
日々の心がけや予防接種で、感染症にしっかり備えることができます。ご家庭でできることを無理なく続けながら、健やかな秋をお過ごしくだ
松浦 有佑
米国小児科専門医。ワシントン大学シアトル小児病院小児発達行動専門フェロー。日本医師免許取得後、日本国内初期研修を経て米海軍病院で勤務。アメリカ医師免許を取得し、2021年からニューヨークのマウントサイナイ病院で小児科専門医レジデンシーを開始。同時にジョンズホプキンス大学で公衆衛生修士課程を専攻。ともに修了し、2024年より現職。NHKワールドや在米邦人チャンネルさくらラジオでラジオドクター等の出演歴あり。共著には『全く英語が話せなかった私のとっておき医療英語勉強法』『ぼくらのリアル!メディカル英会話フレーズ集』がある。