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その消費、本当に SDGsですか?〜ゆる〜くSDGsな消費者生活

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

庭の植栽ばかりに意識が向き、サマーセールで服を買うことなどすっかり忘れていた。これはまずいと、駆け込みでショッピング・サイト「ファーフェッチ」を見ていたら、こんな告知が目に留まった。

「今回、私たちが提携したグッド・オン・ユーは、ブランドが与える環境などへの影響について、さまざまな基準から5段階で評価する独立機関です」

近頃、買い物の際は、その商品がサステナブルかどうかをチェックするようにしている。が、同時に「それを物欲の言い訳にしていないだろうか」と、気になっていたところだった。というのも、ここ数年の意識の高まりから、多くのショップやブランドが、いかにエシカルかをアピールするようになっている。ついつい、「そうかそうか、これはエシカルなんだな。じゃあ、少し高くてもしょうがない。応援しなければ」と、ついポチってしまう。

品質表示タグだけ見てもブランドごとにアピールの仕方は異なるこれって本当と疑ってみることが大切だと学んだ

でも、本当のところはどうなんだろう? その商品がどう造られているのか、「リサイクル素材使用」、「オーガニックコットン」と表示してあればそれはエコなのか? 何でも調べてみなければわからない。エコだよとうたっていても、単にアピールだけだったり(そういうのをグリーンウォッシュって呼ぶらしい)、無知や誤解から結果的にうそとなるケースもあったりするかもしれない。

どうやら、グッド・オン・ユーとは、そんなもやもやを解決してくれるシステムみたい。早速ウェブサイトにアクセスして、知っているブランドをいろいろと見てみた。すると、想像以上に衝撃を受ける結果に……。たとえば、そのうち本コラムで取り上げようかな~なんて目論んでいたスペイン発のパロマ・ウール。素材も生産背景もサステナブルと聞いていたが、「Not Good Enough」(あんまり良くない)とのこと。詳細を読んでいくと、「有害な化学物質を削減・排除するために行動を取った証拠がない」などなど、とにかくエビデンスがないとダメっぽい。

以前から気になっていたパンガイアがグッドオンユーで勧められていた最近はティンバーランドとのコラボ製品も出ているようだ環境意識の高いブランド同士が提携することでより広く世間にメッセージが届くようになる

興味深いのは、児童労働についてや、サプライチェーン労働者の生活保障といった情報をブランド側が明らかにしていない場合でも、「消費者にはその情報を知る権利がある」として、評価に反映されていること。わからないんじゃ評価できないのでは? と思ったが、今や情報開示もサステナブルなブランドであるための義務なのだ。宣伝文句をうのみにせず、こうした便利なサイトを使って、自分で能動的に調べて消費活動を行うことも、SDGsのためには必要なんだなと反省した。

■Farfetch
www.farfetch.com

世界中から1,400以上のセレクトショップ、ブランドが集結するラグジュアリー・ファッション専門のマーケットプレイス。個人輸入も簡単で、個々のセレクトショップやブランド店を利用するより、豊富なアイテム数の中からお得に購入できることも。世界はますます狭くなったと実感!

■Good on You
https://goodonyou.eco

オーストラリアの非営利団体が運営。環境、人権、動物福祉の3つの観点から、各ファッション・ブランドを公式情報やNGOなどが公表するデータに基づいて格付けしている。同名アプリでは5,000以上のブランドの「エシカル度」を比較できる。また、インスタグラムでサステナブル・ショッピングのヒントを発信中。

■Paloma Wool
https://palomawool.com

パロマ・ラナ氏が2014年にバルセロナで設立。ファッション・デザイナーであると同時に、写真家としても活躍するラナ氏のアート・プロジェクトという側面を持ち、常に「アートの創造」を探求している。 コレクションの約80%はスペイン、残りのTシャツとスエットシャツはポルトガルで生産。

■Pangaia
https://pangaia.com

2018年発足の、欧州に拠点を置く循環型ファッション、ライフスタイルを提案するブランド。革新的な技術や自然の力を利用したバイオエンジニアリング素材から製品を生み出す。地球にとってより良いビジネスモデルを築き、業界の環境問題解決を目指す。色鮮やかなアイテムの全てが、環境負荷の少ないアプローチで染色されていることに驚かされる。

▪️Spaceship Earth「グリーンウォッシュとは?
具体例と日本企業でもできる対策・SDGsの関係」
https://spaceshipearth.jp/greenwash

SDGsリテラシーを向上させるためのメディア「スペースシップアース」で、グリーンウォッシュの具体的事例、消費者目線での対策がわかりやすく解説されている。SDGsとの関係も説明されており、いかにグリーンウォッシュが身近でありながら大きな問題であるかを理解できる。

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。