SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!
前回、「タタミ禅マット、ローンチされたんだってよ」という話をした。国産だから、職人技だからと聞いて、ついSDGsだ! と短絡的に紐づけてしまうのは安易な気がして、私なりに畳のサステナビリティについて調べてみることにした。
「使命は畳を後世へ残すこと 夢は畳を世界へ広めること」という久保木畳店の畳コースター(2,750円〜)。お正月のテーブルコーディネートにも合いそう!
なにしろ、畳文化の衰退は私ですら肌で感じるほど。私が子どもの頃は、団地やマンションにだって一部屋は畳があるのが当たり前だった。その少し前の世代では、自分の部屋が畳でかっこ悪いなんて中高生が嘆いていた。でも今は、フローリングが主流で、畳を知らない子どもがたくさんいる時代。小さい子どもがいる家庭では、フローリングの上にウレタンのプレイマットを敷くことが多いけれど、それが畳だったら素敵じゃない?
しかも畳が本当にサステナブルな素材なら、畳文化ってもっと注目されるべきでは? と思うのだ。 畳のサステナブルさってどこにあるのだろう? 畳に使用されるい草は、吸湿性と通気性が高く、部屋の温度や湿度を快適に保つ力があるそうだ。しかも2008年、い草には水虫の原因菌である白癬菌 に対する抗菌作用や足の臭いのもとになる成分の発生を抑える作用があるとわかったとのこと。すごいじゃん畳! もともと環境資源の乏しい国、日本で古くから使われてきた畳は、傷んだら表だけを交換したり、裏返してさらに使用したりと、ながーく使える工夫がされている。日本人のもったいない精神はサステナビリティと相性が良い。
老舗い草製品メーカー、イケヒコ・コーポレーションが海外市場に向けて展開を始めた五連畳マットレス。伝統的ない草と、モダンなデザインが融合しており、5つ折りでコンパクトに使える実用性も魅力
さらに調べてみると、今多くの生産者や製造者が畳を活用したSDGsな取り組みをしているようだ。中でも福岡の佐野畳屋さんの「畳で森をつくる物語」というプロジェクトは大変興味深い。日本全国で年間100万畳も出るという古畳は、その複雑な構造から、通常は環境負荷の高い焼却や埋め立てで処分せざるを得ないとか。そんな畳を解体・分別し、可能な限りリサイクル。い草は米ぬかや石灰を混ぜて堆肥化し、その堆肥で植林をすることで、「畳で循環型社会を実現する」ことを目指しているんですって。「地球を株主とし、モノとココロの循環型社会を実現」と銘打って、SDGsな畳の情報をインスタグラムでも積極的に発信している。
畳。消費しながらもサステナブルに、というのがこの「ゆる〜くSDGsに消費者生活」にぴったりだ! というわけでますます欲しくなってしまった。最近では積極的に世界に畳を発信しているお店も増えている様子。ああ、こうしてまた出費が……。
www.yawaragiya.co.jp/nippon08_01.html
神戸の畳製造会社・和らぎ屋による対談記事。白癬菌や大腸菌O-157に対する抗菌作用を持つい草の性質を、微生物研究者・森田洋氏が解説。い草の香りには、子どもの集中力を高める効果もあるというから驚き。 ■「畳で森を作る物語」
https://sano-tatamiya-fukuoka.co.jp/tatami_mori_sdgs
「足元から世界を変える」。1949年より続く福岡の佐野畳屋の3代目、佐野典久さんによるプロジェクト。焼却・埋め立てされるはずだった古畳を堆肥化するなどし、リサイクルすることによってゴミ処理問の解決と森林再生、さらには雇用創出までを目指す。
■「畳を世界へ」
https://tatami-jp.com/world
福島で280年続く久保木畳店は、「畳を世界へ」を合言葉に、海外展開を推進。2020年には畳コースターを携え、ニューヨークで飛び込み営業を敢行! こんな風に地道に日本文化を広めている人たちがいるということに感動だ。久保木畳店は和室の畳や、置き畳の海外発送も行っている。ちょっと問い合わせてみようかな……。
■ 株式会社イケヒコ・コーポレーション
https://ikehiko.net
1886年創業。福岡を拠点にい草製品・畳を中心としたインテリア商品の開発・製造・販売を展開する総合インテリアメーカー。「Natural Life自然に暮らそう」をテーマに、未来の快適空間づくりを提案している。SDGsな取り組みも積極的に行っており、長さが足りなかったり不揃いだったりするために廃棄されるい草を用いたさまざまな商品の開発をすることで、生産ロスと焼却処分を減らすなど、使い手と作り手、さらに環境にも心地よいモノづくりを追求する。公式オンラインショップでは、転送サービスのワールドショッピングと提携しているため、海外配送も可能。