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シニアの会話〜みきこのシリメツ、ハタメーワク

第 30回 シニアの会話

近所の目黒通りに、家具・インテリアの総合取り扱い店、ニトリがオープンした。イケアのように店舗も広く、家具だけではなくキッチンの小物などあり、いろいろ見て歩くのが楽しい。オープンしたての頃、発送料が安くなるなどと聞いたもんで、すのこベッドフレームを探しに行った。

前もってネットで気に入った品を2、3点見つけ、ケータイで写真を撮ってから出かけた。この使い方など、われわれの年代には存在していなかったこと。娘が何でも写メするのを見てケータイの使い方を学んだのだ。

お店の店員に得意げに写真を見せる。品番など、必要な情報が完璧。ふたつはパイン材でできており、もうひとつはヒノキ材。一見同じようだが。どれも今、店にはないが注文は可能とのこと。送料が1,560円と聞いて、考えてしまった。店舗でピックアップもOK。1番安いのと2番目との差は2,500円で、2番目は送料込み。家からニトリまでバスで行けば停留所1つの距離。タクシーだって、最短距離でしょ。でも幅150センチは載せられるかしら?

近所に住んでいる友だちに何気なく愚痴ってみた。中学からの同窓生で、同じシニア層。早速LINEが来た。

「ねぇねぇ、今日と明日は忙しいけど、明後日なら手伝えるわよ」
「どうすんの?」
「すのこ、軽いんでしょ?」
「30キロだって」
「一緒にさ、お宅まで引きずるの手伝うわよ」

類は友を呼ぶんだろうけど、シニアのオバサン2人が目黒通りを幅150センチのスノコを引きずって歩くのって、どうなんだろうね。

「道を渡るときに、ちょっと外れちゃって、つまずいたりして」
「信号変わっちゃ大変だわね」
「目黒通りの反対側に交番あるわよ。お巡りさん、手伝ってくれるかしら?」
「大丈夫よ。30キロなら持ち上げられる。スーツケースより軽いもん」
「誰かに写真撮られてSNSに載ったりして」
「ちょっと、それ、絵になるわよね~。ギャハハー!」

やはり高いほう、配送込みのすのこベッドフレームを注文しよう。

東京都出身。2000年から2005年まで姉妹紙『北米報知』ゼネラル・マネジャー兼編集長。「静かな戦士たち」、「太平洋(うみ)を渡って」などの連載を執筆。2020年11月に日本に帰国。同年、著書『ゼッケン67番のGちゃん』を刊行。