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シアトル、くもりのち晴れ〜みきこのシリメツ、ハタメーワク

みきこのシリメツ、ハタメーワク

新型コロナワクチン、どれにしようかな?

4カ月ぶりのシアトル。友だち4人でグリーンレイク一周ということになった。天気予報はくもり。外に出てみると、なんだ霧雨? あの、細かいミスト状。たくさん人も出ている。そうだ、シアトルではこれをくもりと言うんだ、と納得。

歩きながら、日本国籍の友人ふたりが帰国するのに当たって入国の心配をしている。高齢でワクチンをした人と、4月現在、50代でまだ順番が回ってきていない人。聞いていて考えさせられてしまった。私もしたほうがいいのかな? 来週日本に帰るし、2週間ないからダメだと決めつけていた。日本では高齢者にそろそろ始まる様子。ヨーロッパで重症、死人、強いアレルギー反応が出ているアストラゼネカは絶対打ちたくないし。もう少し様子を見てからにしよう。ワクチン反対者のひとりであった。

「ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は? 1回で済むよ。でも、72%の効果しかない」

効果の話をしたら、100%でない限り気休めでしかない。ファイザー、モデルナの95%、94%だって、残りの5%、6%に絶対ならないという保証はないのだから。

ではワクチンをしたほうがいいのか。するならどれにするのか。みんな、どうやって選ぶのだろう。幸か不幸か、アメリカにはチョイスがある。

とりあえずJ&Jをネットで調べてみた。有効率を調べた時期が他社と違い最近である。つまり72%という確率の中には変異種も含まれている。他社のも変異種を入れてもう一度検査すれば、確率が少し下がるのでは? ま、これは私にとっては気休め。どうせ自分はかからないと勝手に決めているんだから。BCG? 昆布を何世代も食べていたから? と、ちまたにはいろいろうわさがあるけれど。

さらに、J&Jの有効性は他社より低いが、重病になった時に効き目を発揮する? ま、人それぞれでしょうが。と、思いきや、これまでにJ&Jの死亡者、副反応の報告がひとつもなかったのに、急に出てきた。他社製が売れなくなるから? やっかみの気もする。

「やったほうがいいでしょうね。気休めにしてもみんながすれば、世の中、ウイルスが広がるのを防げるでしょ?」

そうね。それにこの次日本から来る時に、アメリカ入国にはワクチン接種が必要、となったら……。

てなわけで、オリンピアまでJ&Jのワクチン接種に行って来ました。J&Jのワクチンはシアトル近辺で先週は完売だったので。

ホテル留置所?

一睡もせずに10時間半のフライト。無事羽田着陸。2度目の緊急事態宣言解除後のコロナ禍水際対策用書類は万端。乗客も半分で、PCR検査も含め2時間くらいで外に出られると思ったのが大間違いだった。

アメリカ出国72時間前のPCR検査の証明書で、もちろん陰性なのだが、唾液検査に口腔ぬぐい液(Oral Swab)と書かれ、唾液(Saliva)ではないとのことで、3日間のホテル隔離になってしまった。

外務省からの書類「COVID-19に関する検査証明」で「鼻咽頭ぬぐい液」か「唾液」のどちらかを選ぶので、唾液を選んだのだ。シアトル周辺では最近、口腔ぬぐい液(上下唇と歯ぐきの間、舌の上下を綿棒でぬぐい試験管の中に入れて提出。4月時点で厚生労働省は咽頭ぬぐい液と説明していた)が主流になってきている。

係官は「採取検体の記載がない」と言う。つまり、係官が見たいSalivaという文字が入っていないのでNG。厚生労働省はOral Swab を唾液ではなく口腔ぬぐい液と解釈している。

この最後の係官のところに来るまでは関所を難なく通過してきたのだ。検疫に対する質問に答え、誓約書にサイン。ロケーション探知等4つのアプリをスマートフォンに導入、設定。スマホを所持していない者は、自己負担でのレンタルを強要される。で、違反した場合は? 「氏名等が公表されることがあります」と、何とも日本的な答えに口の端で微笑みながら。何度も同じような質問に答え、やっと唾液検査。不必要に複雑化している感じがする。

唾液検査も問題なく通過。最後の再度チェックで引っかかったのだ。唾液は唾液じゃないの? しかも陰性。今やった検査のほうが重要ではないの?

専用バスに乗せられ、ホテルに着いたのは4時間後。お迎えは家に返し、3日後にまた羽田まで迎えに来てもらうことにして。

外務省の書類の「唾液」に、Oral Swabは不認可と書いてくれればいいのに。厚生労働省もちゃんと把握してるの? と、文句タラタラでバスに乗車。ホテルに着き、部屋に案内されるまで何人もの従業員に監視され、まるで「ばい菌」のように扱われた。「私たちは皆、陰性なんです!」と叫んでみても何の効果もなし。

さて小さな部屋に落ち着いて、外務省のサイトを開いてみたら、あったのだ! Oral Swabは不認可というひと言が。別のリンクに飛んで。

結局私の落ち度だった。予期していなかったホテル滞在の不便さ、「牢獄」の生活は不覚にも私のチョイスということになる。逆に、清潔なホテルで寝られること、決して「うまい」とは言えないが弁当が出てくることも、風呂にゆっくり入れることも感謝しなくては。しかも国民の税金で。この税金の無駄遣い、両サイドで何とかならないかしら?

明日、晴れて「出獄」!

東京都出身。2000年から2005年まで姉妹紙『北米報知』ゼネラル・マネジャー兼編集長。「静かな戦士たち」、「太平洋(うみ)を渡って」などの連載を執筆。2020年11月に日本に帰国。同年、著書『ゼッケン67番のGちゃん』を刊行。