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何を言ってるか分からないからこその魅力
Minions & Monsters
(邦題『ミニオンズ&モンスターズ』)
この世で最も恐ろしい悪人・ボスの手下になりたい謎の生物「ミニオンズ」を主人公にしたアメリカのコメディー・アニメ。ゴーグルをつけ、黄色くてちっちゃくて、かわいいけれど何を言っているのかよく分からないキャラはすでにおなじみ。本作は『怪盗グルー』シリーズのスピンオフで、『ミニオンズ』(2015年)、『ミニオンズ フィーバー』(2022年)に続くシリーズ第3作。本家『怪盗グルー』にも負けない人気を誇り、本作も大ヒット中だ。
物語は、原始時代から生きているミニオンズが、多くの怪物や怪獣、大悪人、独裁者などの手下となっては、なぜか彼らを破滅させてきた歴史が語られるところから始まる。そして1920年代のアメリカにたどり着き、悪の主人を探すうちにハリウッドの撮影現場へ迷い込み、自分たちも映画に出演することになっていく。
ミニオンズの出演作は大ヒットを重ね、彼らは映画スターとして大成功。しかし、音声付き映画、いわゆるトーキーの出現によって一転、干されてしまう。彼らの話す言葉が分からないからだ。そこで一計を案じたミニオンズの一人ジェームズ(ピエール・コフィン、監督・脚本も担当)は、仲間のヘンリーとエドを誘って、怪物が登場する映画を作ろうと動き出すのだが……。
本作の舞台は1920年代のハリウッド。当時人気の高かったバスター・キートンやチャップリンの映画を思わせるイメージが多用され、古典映画『カサブランカ』で知られる「As Time Goes By」も流れるなど、映画好きへのサービスも忘れない。子ども向けのアニメではあるが、最大公約数的に誰にでも届く視覚的ギャグと広く親しまれた音楽を取り入れて分かりやすく作る。それが本シリーズの特徴だ。やや臆面もなくという気がしないでもないが、世代を超えた観客への気配りが世界的なヒットにつながっているのは確かだろう。驚いたことに2015年の『ミニオンズ』は、公開当時、アニメ映画として歴代一の興行成績を上げていた『アナと雪の女王』に次ぐ世界的大ヒット作となったのだ。だからこそだろう、本作ではアリソン・ジャネイ、ジェフ・ブリッジス、クリストファー・ワルツ、ジェシー・アイゼンバーグら豪華な俳優陣が声の出演をしている。
無声映画で大成功したミニオンズが、言葉が意味不明でトーキーではお払い箱になるという設定だが、本シリーズの大ヒットの理由はむしろその逆。何を言っているか分からないからこそ、世界中の観客に届いたのだろう。シリーズを見直してみると、結婚し家庭的になってしまったグルーよりも、悪人大好きで正体不明なミニオンズの方が圧倒的に面白い。筆者が何度も声を上げて笑えたのは久しぶりで、夏のファミリー向けアニメとしてぜひ薦めたい。
Minions & Monsters
(邦題『ミニオンズ&モンスターズ』)
写真クレジット:Universal Pictures
上映時間:1時間30分
シアトル周辺ではシネコンなどで、標準、3D、IMAX等にて上映中。


















