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シニアの巣ごもり生活

シニアの巣ごもり生活

 

3月中旬から、朝起きて CNN とカナダの公共および民間のローカルニュースをザッピングしながら観るのが新たなルーティンとなった。

3月末に始まったボランティアの病院用マスク作り現在は新たに採用された立体型デザインで1日10枚を目標に作り続ける相棒のジェームズ

罹患者や死亡者が世界中で、特に米国で増えていく。わがストレス・レベルも急上昇し、気が付くと喉は腫れ、目にはものもらいができ、全身がかゆくて夜は眠れない。珍しく体調を崩し、感染リスクがあるものの仕方なく診療所に行ったり、逆にバンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア(BC)州は感染が比較的少ないことを幸運に思ったりして数週間が経過。新習慣に慣れたのか、諸症状は徐々に治まった。

かつてない惨事の対応におろおろする隣国政府が気がかりだ。多くの読者も明日への不安を感じておられるだろう。手前味噌ではないがカナダはというと、中央・地方政府の各代表が連日の会見で発表する見解やガイドラインは医・科・経済学などに基づく良識的なもので、指導者の有事対応として適切と言える。

BBQグリルや草花を取り入れた新居のバルコニーパティオダイニングのセットを引っ越し祝いにくれたシアトルの友人にこの写真を見せたところもっとうれしそうにしなさいと手厳しい

米国と違い、メディアと大統領のやり取りも攻撃的にはならず、批判の声は議会内の与野党間でしかあまり聞こえてこない。カナダにはセンセーショナルな主要メディアがないせいかもしれないが、カナダにおけるコロナ禍の救済措置の成果について、少なくとも私の周りではおおむね納得しているように見える。政府はライフライン的なビジネスのみならず、レストランなどの小規模経営者から、学生、ホームレスに至るまであらゆる層を対象に救済策を次々に打って出ている。

公共コートが使えるようになる前は近所に広い駐車場を見つけて簡易コートを作り趣味のピックルボールを楽しんでいた

たとえば、一時解雇された YMCAインストラクターは、3月半ばに職場が閉鎖されて間もなく失業手当をもらえた。5月初旬には職場復帰を言われたものの、給料よりも政府からの資金援助合計額のほうが多いので、当分の間は復帰したくないと言う始末。

好天続きの週末近所の公園で距離を置きながら日光浴をする住民たち

また、低所得者として州政府から給付金をもらっている友人のシニアは、3月末から毎月300カナダドルを上乗せされた額が口座に自動的に振り込まれていると話す。さらに5月12日には、シニアを対象とする300〜500カナダドルの一時支援金が国から発表された。このようなお金は一体どこから出るのだろうと不思議に思うほどだ。

BC州では5月半ばになると規制緩和が始まり、まず公園やテニス場などが開かれた。趣味のピックルボールが屋外限定、規制付きで許可され、以前の生活が少し戻った。ちなみに5月中旬時点でBC州内の罹患者は連日2〜20名ほど。死亡者は数名と、ゼロとはいかないものの平衡状態を保っていてひと安心。

好物だったオムライスを作ってみた自分の時間が以前より増えたのはうれしいが外食に頼っていたため自宅で食事を作らなければならなくなったのは良しあし

米国との国境が開かれるのは早くて6月21日とされる。それでもシニアは当分、この巣ごもり生活を強いられるのか。早く以前のようにシアトルへすいすいとドライブして旧友となじみのレストランで再会したり、コミュニティーセンターでピックルボールを楽しんだりしたい。それは、ワクチンが開発されるまでおあずけ?

滋賀県生まれの団塊世代。京都産業大学卒業後日本を脱出。ヨーロッパで半年間過ごした後シアトルに。在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務。政治経済や広報文化などの分野で活躍。ワシントン大学で英語文学士号、シアトル大学でESL教師の資格を取得。2013年10月定年退職。趣味はピックルボールと社交ダンス。