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病気を治すために大切なこと~女性の命を守るヘルスケア Vol.10

女性の命を守るヘルスケア Vol.10

アメリカ生活中に乳がん、卵巣がん、子宮がんを経験する患者の心に寄り添い、悩める女性たちをサポートするSHARE 日本語プログラムによる寄稿シリーズ。現在のアメリカの医療制度で今、日本人の私たちができることを探ります。

第10回 病気を治すために大切なこと

病気と診断されてから自分でできることは何でしょう。食事に気を付け、適度な運動をすれば病気の悪化は避けられると考える人はたくさんいますが、いちばん大切なのは、自分の病気をよく理解することではないでしょうか。

ヘルプライン相談者の中には、何もわからないまま医師の言いなりになることに違和感を覚える反面、自分で考えないでいいことに安心感を持つ方が時々います。しかし、このコロナ禍で患者さんをサポートしながら感じるのは、病院や医師らのルーティンがこれまでとは変わってきているのではないか、ということです。これはあくまでも個人の見解ですが、はっきりとした説明のないままオーバー・トリートメント(過剰診療)を行っているのではないかと感じることや、本来なら不要な検査や医師への予約を入れられているように思えたことが何度もあります。このような経験から、病気と診断された方にとっての健康管理とは、診断された病気についてわからないことや疑問に思う点を、正しく知ることから始まるのではないかと思うのです。

多くの日本人の特徴として、医師に対していろいろな面で気を使い過ぎるところがあります。たとえば、医師が忙しそうだから質問を控えてしまう、医師の意見に同意できないことを伝えられない、自分の意思を主張しにくい、医師の都合に合わせようとする、などが挙げられます。あとから「やっぱりどうすれば良いかわからない」とヘルプラインに電話をくれる方もいて、質問したいことをメモしておいて、診察時に尋ねるように勧めています。ただ、説明されたことが理解できないために何を質問して良いのかわからないともよく聞きます。医師の説明が理解できなかった時に聞き返したり、もう少しわかりやすい説明をお願いしたり、わからない言葉や薬品名などを書いてもらったりすると良いでしょう。診察時に使える英語をあらかじめ覚えておくことも必要だと思います。

私たちの患者サポート・ミーティングでは、複雑な医療システムの中でどのように治療と向き合うべきか、同じような問題を乗り越えた方々の経験談を通して必要な情報を交換しています。参加者からは「もっと早くJapanese SHAREを知っていたら」と口々に言われます。異国で病気になってしまった不安な気持ちもそうですが、治療の最中に保険会社と病院の間で板挟みになりながら対処していかなければならないことなども多く、家族や周りの助けなしには治療に専念できないのが現実です。

「日本帰国時に受けた人間ドックでがんが見つかったが、これからどうしたらいいのかわからない」、「相談できる人が周りにいない」、「夫には迷惑をかけたくない」など、同じような悩みが10年近く経っても尽きません。日系企業、日本人コミュニティーに向けて啓発活動を行っていますが、なかなか興味を持ってもらえず、病気になったら日本に帰るという選択肢のある方などは特に関心が低いようです。米国での治療を選択した場合も、妻の病気のことを職場で隠している日本人男性がほとんどで、そういう方が妻を支えたJapanese SHAREの存在を職場で公表することはまずありません。

アメリカに住む日本人にとって、「日本人は自分の意見を持たない、扱いやすく金払いの良い患者」というイメージを持たれていることは大きな問題です。米国で病気と診断された時の早期回復につながるシステムが、私たち日本人コミュニティーには欠けている気がします。日本語を話す医師に診てもらえばいい、と言う方もいますが、病気と診断される前にしなければならない検査を始め、患者の立場にならないと見えてこない迷路のように入り組んだ米国の医療システム、日本人だから起こり得る問題があることを知っておいて欲しいと強く思います。

SHARE 日本語プログラム

ヘルプライン:☎347-220-1110(月~金6am~2pm)
問い合わせ・患者サポートミーティング申し込み:​admin@sharejp.org
詳細:https://sharejp.org

1976年にニューヨークでスタートした非営利団体のSHAREキャンサー・サポートが母体。同団体の正式日本語プログラムとして、アメリカで暮らす日本人、日系人の乳がん、卵巣がん、子宮がん患者およびその家族の精神的不安を取り除くためのピアサポートと、アメリカの最新医療事情を日本語で提供する。

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1976年にニューヨークでスタートした非営利団体のSHAREキャンサー・サポートが母体。同団体の正式日本語プログラムとして、アメリカで暮らす日本人、日系人の乳がん、卵巣がん、子宮がん患者およびその家族の精神的不安を取り除くためのピアサポートと、アメリカの最新医療事情を日本語で提供する。