機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。
第42回 人物評伝を訳してみよう
【今回の例文】
Albert Einstein (1879-1955)
That he was one of the preeminent intellects in recorded history goes almost without saying; if a person is called “an Einstein” today, he or she is said to be among the most brilliant of the brilliant.
(出典:LIFE 100 People Who Changed The World)
That he was one of the preeminent intellects in recorded history goes almost without saying; if a person is called “an Einstein” today, he or she is said to be among the most brilliant of the brilliant.
(出典:LIFE 100 People Who Changed The World)
【機械翻訳】
アルバート アインシュタイン (1879-1955)
彼が歴史上最も優れた知識人の一人であったことは言うまでもありません。今日「アインシュタイン」と呼ばれる人は、最も優秀な人物の一人であると言われています。
(Google翻訳)
彼が歴史上最も優れた知識人の一人であったことは言うまでもありません。今日「アインシュタイン」と呼ばれる人は、最も優秀な人物の一人であると言われています。
(Google翻訳)
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【修正後】
アルベルト・アインシュタイン(1879-1955)
アインシュタインは人類史上、屈指の天才であったことは言うまでもありません。今日、「アインシュタイン並みの頭脳の持ち主だ」と言われると、その人は相当高いIQの持ち主であることを意味するでしょう。
アインシュタインは人類史上、屈指の天才であったことは言うまでもありません。今日、「アインシュタイン並みの頭脳の持ち主だ」と言われると、その人は相当高いIQの持ち主であることを意味するでしょう。
意味はわかるけれども、自然な日本語に訳すのが難しい典型的な文章です。こうした場合は、思い切って意訳しましょう。
今回のポイント✅
① ルバート? アルベルト?
アインシュタインのファーストネームとしては、どちらも間違いではありませんが、正式な資料では「アルベルト」と訳されています。見落としがちですが、きちんと調べましょう。
② 形容詞を繰り返さない
機械翻訳では、「最も優れた知識人」「最も優秀な人物」と同じような言い回しが出てきます。面白さを問われる読み物ですから、日本語を工夫したいところです。修正訳では、「屈指の天才」「相当高いIQの持ち主」としました。
③ Einsteinになぜanがついている?
冠詞は日本人泣かせですね。ここは、アインシュタインを普通名詞として扱っていますので、「アインシュタインのような人」という意味合いになります。「アインシュタイン君」などと訳しても面白いですね。
まとめ
LIFE誌が選んだ『世界を変えた100人』から物理学者のアインシュタインを取り上げました。日本人では唯一、紫式部が選出されています。『源氏物語』は30以上の言語に翻訳されているそうです。