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大学の授業の様子は日本と比べてどう違う?

日本とは全く異なるアメリカの大学事情を専門家がわかりやすく解説!現地校生にもアメリカ留学希望者にも役立つ情報がたくさん。

大学の授業の様子は
日本と比べてどう違う?

授業はディスカッションが中心

日本とアメリカの大学の授業内容を比較してみると、まず思うのは、授業中のディスカッション量の違いです。アメリカの大学の授業はディスカッションが中心となっており、授業中に取り上げられているトピックについて、自分がどう思うか、その理由についてちゃんと言葉で説明ができるかどうかを見られます。何となく頭の中では理解できていても、言葉にして伝えなければコミュニケーションは成り立ちません。アメリカでは子どもの頃から学校での発言力が重視されるなど、教育現場でコミュニケーションに力を入れています。

エドモンズ・コミュニティー・カレッジで国際学と異文化コミュニケーションを教えているランディー・トンプソン教授は、英語を第2言語としている留学生たちも、英語の文法などの間違いを気にせず、どんどん自分の意見を言って欲しいと話しています。成績はあくまでクラスでのディスカッション内容で決まるものであり、英語の発音や文法間違いなどは評価に影響しません。留学生たちは英語での発言に躊躇するかもしれませんが、アメリカ人学生にとっても、違う文化で育った留学生がクラスにいることは、違った視点の意見を聞ける貴重な機会となります。間違いを恐れずに意見をシェアしましょう。

エドモンズコミュニティーカレッジ留学生の八幡英寿くん

積極的になることがカギ

明治大学から半年間の留学でエドモンズ・コミュニティー・カレッジに通う八幡英寿くんは、日本では先生が主体の講義形式なのに対し、ここでは生徒が主体となった授業なので、かなり違いがあると言います。「どの授業でもほぼグループワークがあり、自分たちで考えて行動し、どのようにプロジェクトを作り上げていくかが重要。チームワークが必要になってきます」。今学期に履修しているマーケティングのクラスでは、最初に性格診断テストを受けました。「ロジカルに行動できる人」「グループをまとめて進行役になれる人」「他人の気持ちを第一優先に考えられる人」と、診断結果に基づいた割り振りでグループが作られたそうです。自分の苦手な部分はほかの人に補ってもらい、長所をグループに反映させていく、というのが目的です。チームワークに必要な役割分担をし、コミュニケーション能力を高め、スムーズにグループワークを進めていく。そのためには、言語の違いがあっても自分から話していかないと、グループで活躍できません。授業についていくカギは「積極的になること」と語ってくれました。

さらに、クラス内でのプレゼンテーションも日本に比べると頻度が高く、宿題の量も多いので、授業が終わったあとにも課題に取り組むなど、勉強時間は日本にいた時より断然長いそう。積極性を生かし、課外活動では日本文化クラブを設立して自らが会長になり、日本文化を広めています。勉強と課外活動の両立で、忙しい毎日を送っているとのことでした。

エクストラ・クレジットをもらって成績アップにつなげよう

アメリカではおなじみのボーナス・ポイント制度として、エクストラ・クレジットがあります。教授が学生の成績を上げるために課題を出し、学生は任意で取り組むことができます。課題を提出すると「おまけ」として点数が加算され、成績アップが叶います。クラスによってあったりなかったりしますし、異文化コミュニケーションのクラスでは異文化イベントへの参加、英語のクラスでは詩の提出など、課題もいろいろ。エクストラ・クレジットのための課題もこなし、自分がそのクラスに真剣に取り組み、やる気を見せることで評価されます。

アメリカでは新卒の場合、履歴書に大学の成績を書くと有利なことがあるので、就職のためにも良い成績を保つことは大切。留学生も、成績が落ちて退学、ということがないように、クラスのディスカッションに参加し、グループワークでは積極的に活躍しましょう。

プレゼンや宿題、テスト、エクストラ・クレジットと、目の前の課題をひとつひとつこなしていくことが大学生活の成功につながります。

クローチ 貴子
2011年よりアソシエイト・ディレクターとしてエドモンズ・カレッジにて勤務。1999年に夫、1歳半の息子とアメリカ移住。子育てに専念した後、息子の中学入学を機に以前から興味のあった教育分野へ。現在は入学から進路、イミグレーションのアドバイザーを務める傍ら、日本文化クラブのアドバイザーとして日本文化を学内や地域に広めようと学生たちと共に活動中。