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尾崎真由美会計事務所の尾崎真由美解説「確定申告にまつわる基本知識」

シアトルの知恵ノート

シアトルで活躍するさまざまな専門家の方に、知っておくと暮らしが豊かになるヒントを聞きました!

確定申告にまつわる基本知識

2月に入り、確定申告の準備に取り組む時期になりました。タックス・リターンと呼ばれるアメリカの確定申告、税金に関する基本的な知識をおさらいしておきましょう。

アメリカで収入があれば確定申告は必須

アメリカで収入のある18歳以上の成人は、必ずタックス・リターンの申告をしなければなりません。アメリカ市民・永住権保持者に限らず、就労ビザ保持者とその配偶者、留学生や就学後に労働できるOPT制度の利用者も、アメリカで収入がある場合は対象になります。日本に帰国したあとも、滞在期間中の収入については申告が必要ですので要注意です。

2019年分の申告締め切りについては2020年7月15日へ延期されましたが、2020年分の締め切りは通例通り2021年4月15日です。IRS(米税務省)へ郵送するか、IRS指定のEファイリングを使ってオンラインで申告します。税金の過払いがあれば、還付金(Refund)として政府から払い戻しを受けられます。逆に税金の支払い不足分(Tax Due)がある場合には、不足額を支払う義務が生じます。

確定申告には、「SSN(ソーシャル・セキュリティ・ナンバー)」と勤務先から受け取る「W-2フォーム」のほか、銀行・不動産・投資・ローンなどのタックス・リターン関連書類が必要となります。タックス・シーズンになると郵送されて来ますので、きちんと保管しておきましょう。また、現金払いの際のレシート・領収書、クレジットカード利用の明細、銀行口座の取引明細、ローン支払い・家賃・光熱費などのさまざまな請求書や毎日の支出に関わる証拠書類なども、きちんと取っておくこと。タックス・リターンに影響するかどうか定かではない勘定項目(出費)であっても、毎年の状況により、税額控除の対象になる場合があります。

節税のポイントと注意点

利用できる税額控除には、課税対象となる収入額を減らす「タックス・ディダクション」と、支払う税金そのものを減額する「タックス・クレジット」があります。

タックス・ディダクションは総収入から経費などを引くことで、実質的な収入を減らし、収入額により計算される所得税を減額する試みです。子どものデイケア代、病院に行った交通費、チャリティー活動費、就職活動のためのスーツ代や交通費なども対象になり得ますので、諸経費を把握しておきましょう。

タックス・クレジットも、さまざまな種類があります。家を初めて購入した際の特別控除「ファーストタイム・ホーム・バイヤー・クレジット」、子どもがいる場合の「チャイルド・タックス・クレジット」のほか、冷房や暖房の新規購入や設備改善には、「エネルギー効率化クレジット」と呼ばれるものもあります。

しかし、せっかく節税ができても、申告漏れがあると台無しです。たとえば、FBAR(外国銀行口座レポート)を見落としていないか確認してください。日本など米国外に銀行口座預金、株、証券、年金などが合計1万ドル以上ある場合には、IRSに報告する義務があります。報告を怠ると最大10万ドル、または残高の50%の罰金が科される可能性も。年間10万ドル以上の贈与、遺産相続の申告も必要です。

ほかにもたくさんある節税方法を知りたい、または複雑な申告に不安があるという場合は、専門家へ問い合わせてみましょう。

個人事業主が法人化するメリット

会社設立で法人格を作ることで、個人事業主には得られないたくさんの税制上のメリットがあります。法人というのは、州の法律によって登録された、課税対象になる法人格です。法律上でも個人と切り離されるので、訴訟や事故などが起きた場合にも、個人の財産や権利が守られます。そのメリットの一部を以下にまとめます。

個人の財産を守るビジネスにリスクはつきもの。法人化することで、訴訟や債務などの責任から個人の財産を守れる。

税法上の優遇措置法人税申告で、従業員への医療保険や福利厚生の控除、不動産投資などについて追加の優遇措置や控除を受けられる場合も。個人事業主が支払う15%の「セルフエンプロイメント・タックス」もなくなる。

監査機会の減少自分で作成すると間違っている可能性が高い個人事業主の確定申告は、監査の対象になりやすい。

投資につなげる株式の売却が可能になるため、外部投資を募れるほか、収入の一部を事業に再投資することもできる。この収入の再投資により、年末の納税義務も軽減。

法人化の際には、有限責任会社(LLC)、Cコーポレーション、Sコーポレーション、ノンプロフィット・コーポレーションなどからどの法人形態を選択するかが大きなポイントです。所有者の人数、給与支払いの有無、銀行からの借り入れ予定、最終的な起業のゴールなどそれぞれのケースに適した形態を選択することが重要。会社設立の際には、専門家へ相談を。

PPPローンの第2弾が始まりました!
SBA(米国中小企業庁)による特別融資プログラム「ペイチェック・プロテクション・プログラム(PPP)」の2回目の申請受け付けが1月19日から開始され、3月31日が締め切りです。返済が規定範囲内で免除され、前回の受け取り金額からの増額も可能。300人以下の従業員、2020年のいずれかの四半期で前年の同期比25%以上の売上減が申請条件。1回目の申請時に、本来は受け取れるはずの額で申請していないケースが多く見られましたが、修正申告も可能です。当オフィスでも申請代行に応じていますので、ぜひご相談ください。

尾崎真由美■全米各地に個人・法人の確定申告、ペイロール業務、経理代行、税務コンサルティングの総合的な会計サービスを提供している尾崎会計事務所の代表。ワシントン州会計士として、国際的な税金問題を専門に長年の経験を持つ。

Todd’s Accounting Services
☎︎1-877-827-1040
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*尾崎会計事務所の紹介記事はこちら:尾崎真由美さんがコロナ禍での税金についての悩みに回答!