子どもが片付け上手になる方法〜シアトルの知恵ノート

シアトルの知恵ノート

シアトルで活躍するさまざまな専門家の方に、知っておくと暮らしが豊かになるヒントを聞きました！

子どもが片付け上手になる方法

家を見回すと子どものおもちゃや絵本が出しっ放しになっていたり、脱いだジャケットが落ちていたり、親としては、はーっとため息が出るようなことはありませんか？ 少しの工夫で、子どもが片付け上手になる方法を紹介します。

まずは環境の見直しを

もともと子どもたちの中には「自分でやりたい気持ち」「自分でできる力」が備わっています。ついつい大人がやってしまいがちで、そうしたほうがその場は早く済みますが、長い目で見て、子どもの自分でできる力を育てていく機会となるよう、お片付けを見直してみましょう。

20世紀初頭にマリア・モンテッソーリにより考案されたモンテッソーリ教育では、整えられた環境、「プリペアード・エンバイロメント」という言葉がよく使われます。子どもは「自分の置かれた環境を愛し、そこから吸収していく」という考えから、大人の役割として環境を整えてあげることを重要視しています。大人が直接教える前に、その環境が子どもにもたらす影響を考えるのです。子どもが何かできない時に、どうやったらひとりでできるようになるだろうかと、まずは環境を観察してみます。

たとえば、いつも子どものジャケットやカバンが家の中に落ちているとします。そのジャケットやカバンはどこに置かれるべきなのか、置く場所の位置や高さは子どもの目線から見てどこにあるのか、ジャケットをハンガーに掛けることは自分でできるかどうかなどを見直してみます。もし適切な位置にない場合には、子ども用のフックを壁に用意して、ジャケットとカバンを掛ける場所を用意してあげるといった工夫ができます。

お片付けが楽しくなる工夫

洋服であれば、小さな子どもには絵の入ったお片付けの目印やステッカーなどを洋服のクローゼットの引き出しに付けてあげることも助けになるでしょう。一緒に洗濯物を畳んだあと、クローゼットに自分で戻しやすくなります。子どもが引き出しを自分で開けることができれば、ひとつの引き出しにはTシャツなど1種類だけにすると、お片付けがより簡単に。今ではお片付けステッカーやかわいいラベルが安価で見つかります。オンラインで無料素材をプリントして使用することも可能ですね。

また、就学前の子どもたちは、自分で水や牛乳をコップに注ぐこと、料理のお手伝い、食卓の準備が楽しくて仕方のない時期です。それは、小さいながらも大人のように自分の力で思い通りに身体を動かせるようになりたいという、人間の持って生まれたパワーから来るものです。

ただ、身体のコーディネーションが整っておらず、水などをこぼしてしまうことも多々あるでしょう。それもまた、小さな雑巾を子どもの手に届くところにわかりやすく置いておくことで、自分でこぼしたものを自ら掃除する素晴らしい機会となります。さらに、キッチンにラーニング（ヘルパー）タワーを導入することで、子どもでも容易にカウンターやシンクに手が届く環境が整います。つまり、お皿拭きやご飯の準備といったお手伝いにも積極的に参加できるようになるわけです。いかに子どもの目線で環境を整えるかがポイントです。

ゆっくり焦らず練習あるのみ！

大人も同じですが、環境が整っても初めてのことをすぐにできるようにはなりません。子どもたちにもお片付けの練習が必要です。練習は余裕のない寝る前などは避け、時間に余裕のある時に、ひとつのことをその日もしくはその週のレッスンとして、個別に紹介していきます。

具体的には、ジャケットやカバンを掛ける場所を用意したら、その場所を教え、実際にジャケットとカバンを掛けるところをゆっくりと見せます。次に、実際に子どもにやってみてもらいます。後日、ジャケットとカバンが落ちていたら、「おや、上着とカバンはどこに行くのかな」と声をかけて練習をします。もし子どもが何も言わないでできるようになったら、「ひとりで自分のことができてすごいね」、「すっきりとして気持ちの良い空間になってうれしいな」などと、たくさんほめてあげましょう。

焦らずゆっくりと、小さな階段を一段一段、一緒に上っていくというイメージで、お片付けの練習を進めてみてくださいね。