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移民法最新情報まとめ〜知っておきたい身近な移民法

知っておきたい身近な移民法

米国移民法を専門とする琴河・五十畑法律事務所 (K&I Lawyers) 五十畑諭弁護士が、アメリカに滞在するで知っておくべき移民法について解説します。

移民法最新情報まとめ

会計年度2022年のH-1B申請で2度目の抽選

移民局が一会計年度に発給できる一般枠の H-1B ビザの数は6万5,000件、高学歴枠は2万件です。このコラムで以前お伝えしたように、会計年度2022年のH-1B申請に関して、移民局は今年3月25日から31日の間に抽選を行い、当選者は4月1日から6月30日までの間にH-1B申請を移民局に提出しました。現在それらの申請については、すでに結果が出ているものもあれば、移民局による審査中のものもあります。

そんな状況の中、移民局は2回目の抽選を行うことを決定し、すでに抽選を7月28日に実施済みです。その結果は当選者の myUSCISアカウントにて更新されています。当選者は、8月2日から11月3日までの間にH-1B申請を提出しなければなりません。追加抽選は当初予定されていませんでしたが、最初の抽選による申請受け付けで会計年度の枠を満たすことができないとの判断があったと思われます。

なお、H-1Bはオンラインでの申請はできません。また、当選は認可ではないので、当選者はH-1Bの申請条件を満たしていることを証明する必要があります。

カナダとの国境が再開通

カナダ政府は、アメリカとの国境封鎖を約16カ月ぶりに解禁し、8月9日から条件付きでの入国を認めています。ただし、その対象は新型コロナウイルスのワクチンを接種後14日以上経過しているアメリカ市民とグリーンカード保持者に限られます。ワクチン接種証明やPCR検査証明の書類があれば、不要不急の観光目的であってもカナダに入国でき、入国後の自己隔離義務もありません。

その他の外国人に関しては、やはりワクチン接種を条件に、新型コロナウイルスの感染状況が悪化しなければ、9月7日よりアメリカからカナダに入国できる見込みです。しかしながら、カナダ国境サービス庁(Canada Border Services Agency)の国境警備員がストライキを起こしたため、国境再開計画に影響を及ぼす可能性が浮上しています。一方で、アメリカは国土安全保障省が9月21日まで国境封鎖を継続することを発表しました。

在日米国大使館・領事館でのビザ申請

新型コロナウイルス対策により来館者数を制限しているため、米国大使館・領事館での面接は、数カ月先まで予約が取れない状況が続いています。特に、扶養家族と同時に面接を希望する場合、なかなか希望通りの予約が取りにくくなっています。しかし、予約の空き状況は随時更新されており、急に空きが出て予約を早められるケースも少なくありませんので、一度予約を入れた後も定期的に空き状況を確認すると良いでしょう。

なお、現時点で、新型コロナウイルスのワクチン接種証明やPCR検査証明の書類は、面接時に必須ではありません。ただし、過去14日以内に国外から日本に帰国した方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状がある方、感染者と接触があった方は来館できません。また、来館者はマスク着用が義務付けられています。

同じ種類の非移民ビザを更新する場合、2021年12月31日までは、ビザが失効してから48カ月以内であれば、郵送による申請が可能です。郵送による更新手続きは、通常15日程度かかっています。ただし、更新申請であっても、ビザの発給が保証されているわけではありませんので、追加資料や面接が必要となるケースもあります。

7月12日より、沖縄の米国領事館でも、一部の家族ベースによる移民ビザ・サービス、および婚約者ビザや学生ビザなど一部の非移民ビザ・サービスを再開しています。

健康診断の有効期間を延長

移民局は、COVID-19の影響により永住権申請(ステータス・アジャストメント)審査の遅延が続いていますが、それに合わせるように、永住権審査で必要となる健康診断の有効期間の延長を決定しました。有効期間は本来2年間ですが、9月30日までに審査が終了する申請に関しては、4年間有効となります。このポリシー変更は8月12日に発表されており、9月30日まで有効です。

このポリシー変更は、すでに申請を提出済みで健康診断の有効期間が間近に迫る方は恩恵を受ける一方で、これから申請を提出する方にとってはあまり影響がないと言えるでしょう。

神戸市出身。明治大学卒業。大手外資系コンピュータ会社でのシステム・エンジニア職経験後渡米。 アメリカのハートランド、カンザス州のワシュバーン大学ロースクール(法科大学院)を卒業、ジュリス・ドクター(J.D.)取得。 カンザス・ワシントン両州において弁護士資格を持つ。K&I Lawyers設立以前は、 ロサンジェルスおよびシアトルにある移民法を中心とする法律事務所での勤務を通じて、多様な移民法関連のケースの経験を積む。 また、移民法以外の分野、特に家族法、遺言・検認・遺言状執行、会社設立、その他民事訴訟にも精通する。カンザス州およびワシントン州弁護士会会員、 米国移民法弁護士協会会員。移民法関連のトピックにおいて、たびたびセミナーを開催。 6100 219th St., SW, Suite 480, Mountlake Terrace, WA 98043 ☎ 206-430-5108 FAX 206-430-5118