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サステナビリティとジーンズと私。ゆる〜くSDGsな消費者生活Vol.10

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

2015年、ニューヨークで学生をしていた頃のこと。イーストビレッジでポップアップのビンテージ・ショップをのぞいた。若い店員さんが90年代のリーバイスを「ビンテージ」と呼んでいて、私もビンテージをリアルタイムで知る歳になったのか……と、いささかショックを受けた。そして70ドルというその価格にも。その数年前、ポートランドの古着屋で30ドル程度でリーバイスがずらりと並んでいたことを思うと衝撃的な値付けだった。小学生の頃(まさに90年代真っただ中!)、ちょっと背伸びをして兄のお下がりの501や505を履いていたが、「取っておけば良かった!」と切実に後悔した。

上から高いと言いながら結局買ってしまった90年代ビンテージ2枚LAのセレクトショップで見つけたリファビッシュの501昨年にセールで購入したウォーターレス製法によるリーバイス右はブルックリンの古着屋のお姉さんがタグが最高だと評したいかにも80年代なバルーンデニム

思えば、この時期くらいから古着ジーンズ(希少な、いわゆる「ビンテージ」ではない80年代以降のもの)の値段がまた上がり始めていた気がする。ちょうどマム・ジーンズ(お母さんのクローゼットから引っ張り出してきたようなデザインのジーンズ)の流行とも重なっていた。実際、2017年にもともと住んでいたシアトルへ戻って以降、結構なお値段のリファビッシュやリメイクのリーバイスを西海岸のおしゃれセレクトショップでも多く目にするようになった。

近年、ジーンズ業界にもサステナブルな製品作りのブームが押し寄せているようだ。そもそもジーンズは、その製造から販売の過程で、環境に大変な負荷がかかるらしい。ジーンズ一着を製造するにはおよそ7,500リットルもの水を使用し、原料のコットン生産には大量の化学肥料や農薬を用いる。インディゴ合成染料を使うことで、有害な化学物質を川や海へ流してしまう……。が! この10年ほどで続々とサステナブルなアプローチで生産するブランドが登場してきている。

Photo by Quang Nguyen Vinh
コットンの生産はそのほとんどがインドや中央アジアなどの開発途上地域で行われており、児童労働など働き手の人権問題は深刻。オーガニックコットンの認証はその点も考慮している。2019-2020年度は総生産高の1%とまだわずかだが、年々増加している

たとえば、最近よく耳にするのはLA発のリフォーメーション。製品製造のトレーサビリティにこだわることで、個々の製品がもたらす環境負荷や生産の労働環境を明らかにしている。日本産ジーンズ発祥の地、倉敷発のジャパンブルージーンズは、大量廃棄され大気汚染の一因ともなるバナナの茎を再利用した「バナナデニム」を開発。大手ブランドでも、ユニクロがデニム生地製造にかかる水の使用量を99%削減するなど、エコロジカルな取り組みを始めている。

ちなみに私が今いちばん気になっているのは、メゾンエウレカのビンテージ・リワーク・ジーンズだ。古いモノをアレンジして新たな付加価値を持たせるアップサイクル(この言葉も最近知った)もまた、サステナブルな取り組みのひとつ。大好きで毎日履くものだから、これからも持続可能な商品を選んで大切に使っていきたいものである。

■Levi’s

www.levi.com

サステナブルな製品生産において業界を牽引するリーバイス。独自のウォーターレス製法の導入で2011年以降、42億リットルもの水を節約してきた。また、使用する全コットンを2025年までにサステナブルなものに切り替えると発表している。

■Reformation

www.thereformation.com

「裸がいちばんサステナブルなファッション、2番目は私たち」を合言葉に2009年、ビンテージ・ショップとしてスタート。さまざまなオリジナル・アイテムを展開し、SDGsへの取り組みを毎年ウェブ上で公開している。シアトルではユニバーシティー・ビレッジに出店。

■Japan Blue Jeans

https://japanblue-jeans.com

「桃太郎ジーンズ」で知られるジャパンブルー社によって、海外向けラインとして2011年に販売開始。生産にかかる水80%の再利用を実現するなど、「世界一エシカルなデニム」を目指している。オンラインにて購入できるほか、シアトルのブルー・オウル(www.blueowl.us)でも取り扱いあり。

■MAISON EUREKA

www.maisoneureka.de/m

ベルリン在住の日本人デザイナー、中津由利加氏によるブランド。ビンテージ・リワーク・ジーンズは、ビンテージ・アイテムを解体し再構築するため、1点1点風合いが異なる。

 


国連(https://news.un.org/en/story/2019/03/1035161
リーバイス(https://www.levi.com/CA/en_CA/features/sustainability

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。