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そうだ、買い物という名の選挙へ行こう。ゆる〜くSDGsな消費者生活

​SDGsとは「持続可能な開発目標」。環境対策や貧困撲滅、ジェンダー平等などなど、大きな目標はたくさんあるけれど、私にもできることって? サステナブルで豊かなおうち時間を目指すべく「地球に、人に、そして自分に優しく」をテーマに、今気になるモノやコトを紹介!

「国連開発計画(UNDP)の山角さんに聞く、消費活動とSDGsは共存できるのか?」後編では、いよいよ本題に切り込む。

筆者(以下ひ):どんなにエコな物でも、生産によって環境に負荷がかかるのであれば、消費とSDGsの両立は無理なように感じます。私たちに何ができるでしょう?

ⒸLes Kaner
トゥー・グッド・トゥー・ゴーのアプリ利用は、レストランや商店を検索し予約、オンライン決済で支払いを済ませた後、指定の時間にピックアップと手軽だ。食品や料理はオリジナル紙袋に入って手渡される

山角さん(以下や):私は、一市民、一消費者の行動が実はすごく大切だと思っています。まずひとつには、投票権を持つ私たちは政府を形作るその一角だということ。政府によるSDGs政策やサステナブルな環境作りのためのシステムを変えていくのも、私たちひとりひとりの声なんです。だからこそ、自分たちの思いを声にしていくことが大事。そして、もうひとつが、何を買うのか。これは投票と同じで、自分たちがお金を出してどの企業を支持したか、ということなんです。どうやって循環型経済にしていくのかを考えながら物を買う。「これは本当にサステナブル?」と、調べるワンステップが変化につながる。ここ数年、自分たちの商品がどれだけサステナブルなのかをうたい始めた企業がたくさんあると感じませんか? これって、今私たちがそれを求めているからだと思うんです。そして、私たちがその企業メッセージを知って物を買うのは、毎日何かに投票しているのと同じこと。こうした動きは、より多数派の人たちを巻き込んで大きな流れになっていくのではないでしょうか。

:山角さんが最近気になる企業や商品はありますか?

山角さんおすすめフーギブズアクラップの再生紙100のトイレットペーパーと竹100で森林に優しいティッシュを早速お試しカラフルでポップなラッピングがかわいいモットーは世界に人にお尻に優しくだそう

:このティッシュ! フー・ギブズ・ア・クラップって、ちょっとバカバカしい名前のブランドなんですけど(笑)。サステナブルを意識し、自分たちでウォーター・プロジェクト(誰もが安全な水にアクセスできるようにするための支援活動)を元NGOの人たちを雇用して進めるなど、すごく面白いなと思う企業のひとつです。あとテクノロジーでは、トゥー・グッド・トゥー・ゴーというアプリ。飲食店がその日売り切れなかった食品を、アプリを通じて安く売ることができるんです。これだと食品ロスを減らせるし、店側も少しだけど収入になる。周りでも使っている人は多いですよ。

:それはぜひ試してみたいです。私たち消費者の選ぶひとつひとつのアクションの積み重ねが、瑠璃色の地球を守るんですね! これからも地道に、そして自信を持って消費者生活を続けていこうと思います。

:目先の経済回復を理由にCO2排出を許容していくモデルはもう難しいし、環境配慮のある社会モデルを今作っておかなければ私たちの次の世代はより険しい道を歩むことになってしまいます。小さい一歩でも良いので、多くの方がこの重要な変化の担い手となることを願っています。

山角恵理■兵庫県芦屋市出身。英国マンチェスター大学大学院修了(経済学学士、開発学修士)。UNDP本部総裁室(プログラム専門官)にて気候変動を担当。元外務省・専門調査員(在ウガンダ大使館)およびG7伊勢志摩サミット・外務大臣会合事務局・専門員。2016年よりUNDPケニア事務所へ。その後UNDP本部の対外関係アドボカシー局およびファイナンスセクター・ハブ勤務を経て2020年1月より現職。

■Who Gives A Crap

https://us.whogivesacrap.org

2012年にオーストラリアでサイモン・グリフィスさんらが創設したトイレットペーパー会社。世界総人口の約40%が安全な水にアクセスできないという事実に衝撃を受け、クラウドファンディングでスタート。目標金額達成までトイレに座り続けるというアピールで資金調達に成功した。エコフレンドリーな生産・販売方法にこだわり、利益の50%を発展途上国のトイレ建設や水道整備のために寄付している。

■Too Good To Go

https://toogoodtogo.com/en-us

2016年にデンマークで誕生した食品ロス削減対策アプリ。登録店舗にある廃棄寸前の売れ残った食品を探し、格安で買うことができる。ヨーロッパを中心に人気となり、今年6月にはシアトルでもサービスを開始。今後、ワシントン州全体に拡大する見込みだ。また、シアトルのフードバンク団体、フード・ライフラインとの提携も発表している。

 

東京都出身。早稲田大学第一文学部卒。ニューヨーク市立大学シネマ&メディア・スタディーズ修士。2011年、元バリスタの経歴が縁でシアトルへ。北米報知社編集部員を経て、現在はフリーランスライターとして活動中。シアトルからフェリー圏内に在住。特技は編み物と社交ダンス。服と写真、コーヒー、本が好き。