ジャンルもスタイルもさまざま。独自の感性と多彩な表現力で活躍する日本人アーティスト、6名の活動をのぞいてみました。PART.2はこちら!
ミュージシャン/作家
千葉県出身 一桝茉莉 さん
(ボウ・アンド・ヤロー/リトル・オゼ)
昨年、結成したロックバンド「ボウ・アンド・ヤロー」のメンバー。左からボブ・ラブレスさん、一桝さん、トニー・ファントジーさん
一桝さんがロックに魅了されたのは中学生の頃。自らエレアコ(エレクトリック・アコースティック・ギター)を購入し、作詞・作曲を始めた。アメリカ西海岸のインディーズ・ロックに特に心を奪われ、その探求心は高校時代、ワシントン州への1年間の留学につながる。その後、学生生活を経て2009年、シアトルへと拠点を移し音楽活動を開始。パンクバンドのギタリスト、さらにブルーグラスバンドではフィドル(バイオリン)奏者として、長年両方のバンド活動を続けてきた。しかし、コロナ禍前に大切なバンドメンバーを亡くし後者が解散。前者も活動を終えることとなる。一桝さんにとってこの出来事が転機となり、昨年新たに結成したのが「ボウ・アンド・ヤロー」だ。これまでに書きためた心の奥から生まれた詩や曲を「自らフロントに立って届けたい」と初のボーカルを務める。聴く人の心にそっと寄り添うような柔らかなメロディーに英語と日本語を織り交ぜた歌詞をのせて歌う。
パイクプレース・マーケットにある書店「チン・ミュージック・プレス」の壁に飾られた旅猫のポストカード。同店にて購入可能
一桝さんのお気に入りの猫たち。クジラが好きなビオラちゃん(上)と大柄なシャム猫のルドウィグくん(下) 音楽活動と並行し、約10年をかけて制作したのが、旅の身支度を整えた48匹の猫が詩とともに登場する本『旅する猫たち』(以下、旅猫)だ。アメリカで音楽を通じて出会った個性的な人たちや、旅人のように過ごした日々、当時抱いていた孤独や哀愁、期待感などが入り交じった感情がインスピレーションとなり自然に猫となって生まれてきた。描いた猫の数は本に登場する倍以上にものぼり、完成するたびに癒しが得られたと話す一桝さん。語り口からは一匹一匹に向けられた愛情も伝わる。2024年に開いたシアトル日本庭園での原画展は、旅猫の制作において区切りになったという。なぜなら当時と同じ心境を再び経験するまで、今後、猫は生まれないかもしれないからだ。しかし、一桝さんの中に猫たちは常に存在する。バンド結成時には猫たちに背中を押されたそう。これからは音楽を主軸に据える。 旅猫も音楽も、創作の原点は自身の内面の奥。内面を見つめ直す作業は欠かさず行っていると語る。
リトル・オゼ
www.littleoze.com instagram:@littleozemari /@furcoatsandbackpacks
新たに3匹の猫が加わった『旅する猫たち』(『 FUR COATS AND BACKPACKS 』)の第2版が11月末に出版予定
ボウ・アンド・ヤロー
https://bowandyarrow.bandcamp.com instagram:@bowandyarrow
出演予定のイベント
場所:Seattle Center –The Vera Project
305 Harrison St., Seattle, WA 98109
日程:10月8日(水)
チケット・詳細: https://theveraproject.org/events
キャンドル作家
大分県出身 井上穂菜美さん
(キャンドルもも)
キャラクターの顔など細部まで絵の具ではなくロウを用いて仕上げる
井上さんのキャンドルは素材も香りも天然で着色料も一部を除き天然成分を使用。加えて、最後まで安全に燃えきるようキャンドルの底には必ず座金 という金具を付けている。
昨年に続き、今年もジャパンフェアに出店した
ワークショップでの様子。「キャンドルもも」の名はコーギーのまん丸な桃尻が由来。かわいしく香りもよい「桃」のイメージが作品のコンセプトともマッチ
ゆくゆくはテナントを借りて店舗を構え、少人数制のワークショップを頻繁に開催したいと語る。最近では、愛犬のコーギーをモデルにしたTシャツや箸置きなどのコーギーグッズ制作にも力を入れている。
キャンドルもも
www.candlemomo.com instagram: @candlemomo
Issaquah Salmon Days
場所:155 NW. Gilman Blvd, Issaquah, WA 98027
日程:10月4日(土)·5日(日)
Holiday Bazaar
場所:Eastlake High School PTSA
400 228th Ave. NE., Sammamish, WA 98074
日程:11月8日(土)
Urban Craft Uprising Winter Show
場所:Seattle Center Exhibition Hall
301 Mercer St., Seattle, WA 98109
日程:12月5日(金)~7日(日)
舞台監督
東京都出身 交野みみさん
(座 ·トランス ·パシフィック ·プロダクションズ)
紫式部と清少納言のライバル関係を、J-POPのサウンドに乗せてコミカルに描いた「アンライバルド」
15歳でカリフォルニアの高校に単身留学し、演劇部に所属。本格的な舞台活動を通して舞台への思いが強くなり、ボストンのエマーソン大学卒業後約10年間、役者として活動。その後、街が持つ演劇の活発さにひかれ、シアトルに移住した。シアトルでは、青少年向け演劇団体のユースシアター·ノースウエストの芸術監督として、26年間子どもたちやその家族など、多くの観客へ質の高い演劇を届けることに尽力。感受性豊かな子どもたちの心を豊かにするような作品づくりを目指した。近年は、フリーランスの演出家として活躍している。
今年6月にはユースシアターを引退し、個人事業として「座·トランス·パシフィック·プロダクションズ」を立ち上げ、今後はプロデュース業に専念する。ユースシアターでも行った紙芝居を通じた交流を引き継ぎつつ、日本人·日系アメリカ人作家の作品を中心に扱い、日米の文化をつなげていく。日系レストランやカフェでの朗読劇、日本庭園での怪談や紙芝居といった新しい切り口で演劇を届けようと模索中だ。手頃なチケット代でありながらも、舞台が持つ生き生きとしたエネルギーをシアトルに暮らす多くの日本人に楽しんでもらいたいと、日々アイデアを練っている。
シアトル・シェイクスピア・カンパニーがワシントン州の複数の公園で巡回公演を行った「お気に召すまま」
東洋の民話を、アジア系アメリカ人学生の視点から考察し描いた「ソングス・オブ・ザ・ムーン:ファンタスティカル・フォーク・テールズ・フロム・アジア」
また、東京で子ども向けのミュージカル教育のプログラム事業を行うNPO法人のジョイ·キッズ·シアターと、ユースシアター・ノースウェストを橋渡しするコーディーネーターとしての協働も続けており、ホームステイや短編映画撮影プログラムなど、国際的なプロジェクトにも力を注ぐ予定だ。
今後は地域のレストラン、カフェ、音楽家とのコラボレーションも検討している。興味のあるの方は気軽に連絡をしてほしい。
公式ウェブサイト
www.mimikatano.com
出店予定のイベント
Himitsu (秘密)
場所:Theatre of Jackson 409 7th Ave S, Seattle, WA 98104
日時:10月26日(日)6pm~
料金:$20
詳細:www.ztpproductions.com(座・トランス・パシフィック・プロダクション)
舞台公開に先立って俳優陣が台本を朗読し、作品の世界観を表現する朗読劇を実施予定。ハワイへの日本人移民一世たちの歴史を基にしており、サトウキビ畑での苦労や、実際に起きた暴動、リンチ事件といった史実を扱う。脚本はマイケル・マークリッチさん、演出は交野みみさんが務める。


















